劇場公開日 2018年1月26日

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「変わったバランス感覚の拾い物」風の色 AuVisさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0変わったバランス感覚の拾い物

2018年1月30日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

悲しい

東京で暮らす男・涼。付き合った女性・ゆりの親族から電話があり、彼女が死んだという。ゆりがかつて語った、自分とそっくりの女が北海道にいるという言葉を頼りに、北の地へ旅すると、果たして彼女と瓜二つの女性・亜矢が。亜矢は涼とそっくりのマジシャン・隆と付き合っていたが、隆は大がかりな脱出マジック中の事故で行方不明。東京と北海道、2組の男女。涼と隆、ゆりと亜矢はドッペルゲンガーなのか、それとも?

「猟奇的な彼女」で知られる韓国のクァク・ジェヨンが監督と脚本。韓流らしい大甘なメロドラマだが、ファンタジックな要素と、リアリズムに筋を通す要素のバランス感覚が独特だ。古川雄輝と藤井武美、ともに感情を全開にせず思いを内に秘めた演技を見せ、韓流のケレン味と抑えた日本的情緒のバランスも悪くない。網走の流氷の海を砕氷船で行く映像の美しさとスケール感は特筆に値する。この場面で映画全体が引き締まった。

高森 郁哉