劇場公開日 2017年9月16日

「ハリウッド製犯罪映画に飽き気味の人は是非!!」汚れたダイヤモンド MPさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5ハリウッド製犯罪映画に飽き気味の人は是非!!

2017年9月17日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

怖い

瞳孔とダイヤの輝きをダブらせた冒頭の鋭くて危険なイメージは、その後もずっと映画を支配し続ける。ダイヤの研磨師だった亡き父の恨みを晴らすため、周到に復讐計画を進めていく主人公は、監督がベースにしたという「ハムレット」より、むしろ、その怒りと飢餓感に於いて、「太陽がいっぱい」のリプリーがダイヤ業界に蘇ったかのよう。計画遂行の過程で待っていた女性との宿命的な出会い、彼を助ける年老いた共謀者の父親のような眼差し、そして、すれ違いが招く衝撃的な幕切れetc。これは、フランス伝統のフィルムノワールに先端的味付けを上書きした必見作。設定やディテールのきめ細やかさは勿論、復讐に伴う代償を描いたラストに漂う荒涼感は、鑑賞後もしばらく後を引く。喧噪に終始するハリウッド製犯罪映画に少々飽き気味の人に是非お薦めしたい。

清藤秀人