劇場公開日 2017年8月19日

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「LOVELY BABY!」ベイビー・ドライバー 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0LOVELY BABY!

2018年1月29日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

楽しい

興奮

ゾンビ映画、刑事バディ・ムービー、侵略SFを独特のユーモアとセンスで描き、映画ファンから熱い支持を得てきたエドガー・ライト。
そんな彼がさらに映画ファンに愛されるだけじゃなく、まさかこんなに洒落ててクールなエンタメを撮れるとは…!

すでに大評判の通り、音楽×アクション!
どっちから語ろうか迷ってしまうほどが、じゃあまず、音楽から。

劇中ほぼずっと流れ続ける、監督お気に入りの楽曲の数々!
脚本も音楽ありきで書かれただけあって、音楽が全てのシーンにマッチ!
開幕早々の強盗&逃走シーンに始まり、アクセルを踏むと共に音楽も盛り上がる。
極め付けは、銃撃シーン。銃撃音と曲のビートが完璧なまでにシンクロ。
また音楽が主人公の心情や台詞などにもリンク。
正直音楽はそれほど詳しくはないが、それでも聞いた事ある音楽もある。
もうとにかく全編ノリノリ!

そして、アクション。
主人公は天才的なドライバー。
その神業的なドライブ・テクはスゲーの何のって!
まるで車が生きているような危険とスレスレなカー・アクション、疾走感あふれるカーチェイス…。
しかもそこに最高にノリノリの音楽が流れるのだから、堪らない!
言うなれば、ミュージカル・アクションだ!

幾ら音楽やアクションが良くても、キャラクターや話がお粗末だったらつまらないが、抜かりナシ!
天才的な運転技術を持つ青年、ベイビー。
借金返済の為、強盗団を車で逃がす危険な仕事をしている。
無口。幼い頃の事故の後遺症で、絶えず耳鳴りが。が、音楽を聞くと耳鳴りが消える。特異体質…?
なので音楽が入ったiPodが必需品。常にイヤホンで音楽を聴いている。
強盗の計画を全く聞いてないように見えて、実は誰よりもしっかり聞いていて、イチャモン付けてきた奴を一泡吹かせる。
ベビーフェイスのアンセル・エルゴートがカッコよく見える。

犯罪に加担しているが、悪人ではない。人殺しを激しく嫌っている。
そんな時、運命の出会いが。
馴染みのダイナーのウェイトレス、デボラ。
明るくて、音楽の趣味も合う。
こんな夢みたいな出会い、滅多に無いぜ!
リリー・ジェームズが可愛い! シンデレラが垢抜けた。
音楽×カー・アクションに、LOVEも絶妙にシンクロ。

ケヴィン・スペイシー、ジェイミー・フォックスがさすがの存在感。
特にスペイシーは、強盗団のボスで冷静沈着で非情でもあるが、ラストには美味しい見せ場もあり。
スペイシーが名優である事は間違いない。ここではあの問題には触れるまい。触れるとしたら、例の映画を見た時に。
強盗チームも個性が光り、バディは凄みあり、ダーリンはセクシーな美女。
また、ベイビーの車椅子の里親もナイス。

借金を返済して足を洗った。
運命的な女性とも出会った。
人生変わる筈が…。
危険な世界に居た者は、やはりまた危険な世界に戻ってしまう。
酷い言い方かもしれないが、やはりこうでなくちゃ面白くない!
最大最悪のピンチ!
スリリングな展開はどんどん加速!
最後まで全く飽きさせない!
興奮、スリル、爽快感、最後は意外にもハートをほっこりさせて、いやはや面白かった!

音楽、カー・アクション、LOVE、ウォルター・ヒル作品や往年のクライム・ムービーへのオマージュ…。
エドガー・ライトがたっぷり詰め込んだ、“LOVELY BABY”な快作!

近大