劇場公開日 2017年12月9日

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DESTINY 鎌倉ものがたり : インタビュー

2017年12月8日更新
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初共演で“ラブラブ”に!? 堺雅人&高畑充希が過ごした摩訶不思議な鎌倉の日々

幽霊、神様、仏様、そして魔物や死神が仲良く暮らす古都・鎌倉。山崎貴監督の最新作「DESTINY 鎌倉ものがたり」で描かれるファンタジックな世界に身を投じた堺雅人高畑充希は、初共演にも関わらず、誰もが羨む“理想的な夫婦像”を体現してみせている。摩訶不思議な世界での日々を和気あいあいと振り返る2人の姿から、撮影を通じて結ばれた固い絆が垣間見えた。(取材・文/編集部、写真/間庭裕基)

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原作は「三丁目の夕日」で知られる西岸良平氏が第38回日本漫画家協会賞大賞を受賞し、累計発行部数1000万部を突破した人気漫画。“人ならざる者”がはびこる神奈川・鎌倉で、鉄道模型やプラモデル、骨董蒐集など多くの趣味を持つミステリー作家・一色正和(堺)と嫁いできた妻・亜紀子(高畑)が、怪事件の数々に直面していく様を描く。

NHK大河ドラマ第55作「真田丸」とNHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」で、ともに“座長”を務め上げた堺と高畑。本作への出演が決まった後、初顔合わせとなったNHKの社屋だったようだ。「私にとって堺さんは、いつも拝見させていただく存在だったんです。いつかご一緒したかったんですけど、年齢差もあるので、夫婦役と知らされてビックリしたんです。NHKでお会いした時に『今度、一緒だね! 嬉しいよ』と仰ってくれて、少し肩の荷が下りました」と高畑が初対面の思い出を振り返ると、堺は「(撮影中は)ずっと緊張されていたみたいで驚きましたよ」と目を丸くする。「『なんでもこい』『どんとこい』というタイプだと思っていたんですが、まだお若いですからね。周りもベテラン勢ばかり。相当緊張なさっていたんだなと。でも、全くそれを感じさせない堂々となさった芝居でした。本当に信頼していましたし、なんなら少し先輩くらいの気持ちで接しさせていただきました(笑)」と称賛の言葉を並べた。

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クランクイン前、一色夫妻を演じる堺と高畑に対して、山崎監督が伝えたキーワードは“ラブラブ”。「周囲が困ってしまうほどラブラブでいてくださいという演出でしたね」という“夫”堺の言葉を受けて、高畑は“妻”としての在り方を示した。「物語の後半では“黄泉の国”に向かうというスケールの大きい作品。最初は全てを理解しようとしていたんですが、途中からはあまり悩まないようにしました。亜紀子さんは愛情表現が真っ直ぐな女性でしたし、とにかく『正和さんのことが大好き!』ということだけを考えるようにしていました」と語っていた。

山崎組初参加となった堺と高畑の記憶に深く刻まれたのは、意匠の凝らされた一色邸のセットだ。正和の祖父が大正時代に建てたという設定の洋館住宅には、書斎や八角形の応接間、縁側のある茶の間、台所、寝室などがつくられており、“絶対に開けてはいけない”という納屋には、ジオラマやプラモデル、資料や標本がズラリと並ぶ。書斎に置かれた本は、原作漫画の大ファンである古書店の主人が「一色正和の書斎だったら、この本がいいんじゃないか」とチョイスし、鉄道模型のコレクションは阿部秀司プロデューサーの私物が使用された。堺と高畑にとって、細部にまでこだわられたこのセットは、役を構築するうえで欠かせない場となっていたようだ。

堺「一色邸のセットから撮影をスタートしたことが、とてもありがたかったですね。家に住まう夫婦が初共演、そしてそこへ訪れる人たちが山崎組の常連俳優の方々。ある意味、ゲストとホストが逆転しているんですよね。その空気が面白かった」

高畑「一色邸のセットが本当に素晴らしくて。初めて入った時、おばあちゃんの家にいるような懐かしい感じがしたんですよね。特に縁側が大好きなんです。本当に鎌倉で生活しているような気持ちになれる完璧なセットだなって思いました」

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“黄泉の国”を舞台にしたシーンで多用されたグリーンバックでの芝居については「天頭鬼(声:古田新太)との撮影が難しかった」という高畑。そこに存在しない天頭鬼の代わりに目線の目印になった猫型の絵“にゃん頭鬼”を相手にした芝居を述懐するなかで、堺は「古田先輩の凄さを改めて感じた」と告白した。「最小公倍数の声を当ててくるんですよ。こちらがどんなに演技を変えても、芝居にハマる。古田さんの声でかなり引っ張ってもらいましたね」という言葉に、高畑も「本当に上手いですよね! 必ず動きに合っているんです」と激しく同調し、ポスプロを経て完成した作品を見ると「あんなにすごいCGになっているなんて想像もつかなかった」と山崎監督の“魔法”に驚嘆していた。

また、撮影中に「素敵なシーンになる」と手応えを感じた瞬間が共通していたようだ。声をそろえて話題に出したのは、ある怪事件に巻き込まれて幽霊と化してしまった亜紀子が、正和のために“黄泉の国”に旅立つ決心を固める場面だ。「撮影の前から『このシーンが好き』と言っていたので、当日は妙な緊張感があったんです」と話す高畑は、山崎監督に芝居の動きを提案しながら、笑いの絶えない日常を紡ぐ前半パートと、“冒険”という言葉が相応しい“黄泉の国”を舞台にした後半パートをつなぐ重要な撮影に臨んだ。

高畑「もしもダメだったらやめようと思っていたんですが、(正和の隣に)寝転がってみたら採用してくれて。山崎監督は、役者の提案をいつも受け入れてくださる方なんです。センチメンタルなシーンなので、『ここは泣いちゃってもいいのかな? それとも我慢した方がいいのかな?』と悩んだりしたんですが、撮影が始まる前に『泣いてしまったら、泣いてしまったで大丈夫です』と仰ってくれて。だから無理に我慢することもなく、リラックスして臨めました。カメラマンの柴崎幸三さんもとても丁寧に撮ってくださって、穏やかな気持ちになりましたね」

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「(一色夫妻の)書斎での何気ない会話や、食事の時間も好きなんです」とほほ笑む高畑に対して、堺は「鎌倉署の心霊捜査課の話はきちんと見てみたいですね」とニッコリ。心霊捜査課は、正和に怪事件の捜査協力を依頼する大仏署長(國村隼)、水晶玉での占いを得意とする川原刑事(大倉孝二)、降霊術を駆使する恐山刑事(神戸浩)、嗅覚の優れた稲荷刑事(要潤)といった個性あふれるキャラクターばかりだ。「川原刑事が持つ水晶玉は巨大な凸レンズだから、日光を浴びると熱を帯びてしまって。大倉君が毎回『熱い!』と騒いでいた(笑)」「神戸さんと(死者を演じる)瀬戸(たかの)さんの芝居が全然シンクロしなくて。降霊術だから合わせないとダメなんだけど、全然シンクロしない。あれは見ていて、おかしかったなぁ~」と堺が“珍事件”を暴露するなか、高畑は「絶対にスピンオフがつくれますよね!」と期待を寄せていた。

互いの言葉に聴き入り、時に深く頷き、時にはクスリと笑い合う。堺と高畑は、取材の始まりから終わりまで、夫婦として過ごした日々をスクラップした“記憶のアルバム”を愛おしそうにめくり続けていた。

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