「充満する親父臭」フェンス Kjさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0充満する親父臭

2017年6月23日
iPhoneアプリから投稿

人生を積み重ねていくことで人は人生観を固めていく。周りの環境が変わってもその人生観に固執する。多くはずれている。異臭を放つオールドマンとなる。まさに大河ドラマである。石にぶつかり流れを変え、氾濫せぬよう流れ着く先に流れていく。責められるべきだが、責めてどうこうできる話ではない。
新たな流れは、そこから分かれ自らの流れを作る。古い流れに呑み込まれそうになりながら、新しい環境を進む。そして、いつか彼も同じようにオールドマンになるのだろう。
黒人の物語のようだが普遍的な人生観を感じさせる。実に印象的な台詞も多い。
冒頭からデンゼルワシントンの板についた台詞回しに圧倒される。ヴィオラデイヴィスの独白の凄み。流れに身を任せていくしかなかった者のストレートな声が突き刺さる。それ以外の役者陣も役が出来上がっている完成度。名作として語り継がれる一作だろう。

Kj