劇場公開日 2017年4月7日

「らしさ全開突き進め湯浅」夜は短し歩けよ乙女 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5らしさ全開突き進め湯浅

2017年11月9日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

笑える

楽しい

難しい

『夜明け告げるルーのうた』と共にほぼ同時期に公開された湯浅政明監督作。
レンタルで先に見たのはあちらだが、公開はこちらが先。
あちらも独特の湯浅ワールドだったが、こちらはもっともっとらしさ全開!

黒髪乙女の後輩を振り向かせようとする主人公“先輩”の恋愛奮闘劇で、一見ラブコメ的だが、湯浅監督の手にかかれば、
クセが強いんじゃ!

たまたま奇遇を装って、(な)なるべく(か)彼女の(め)目に留まる。
「黒髪の乙女振り向かせ作戦も子供っぽいですから、“なかめ作戦”としましょう」「では、なかめ作戦を開始する!」(某映画より)
…でも、先輩、やってる事ほぼストーカー。
奇遇を装って黒髪乙女の前に現れるのは勿論、彼女を振り向かせる為なら、激辛鍋を食べ、黒髪乙女が幼少時好きだった本を手に入れ、黒髪乙女がピンチヒッターで出る事になった劇の相手役に文字通り“飛び入り”参加する。股間にソフトクリーム付けられたり、フル○ンで黒髪乙女の前に…。
でもでも全ては黒髪乙女の為。
恋路は遠し走れよ先輩!

で、先輩ゾッコンの黒髪乙女。
純情そうな可愛らしい娘ではあるが、彼女またなかなか不思議ちゃんなクセモノ。
魅惑の大人の世界に憧れ、酒は強いわ、ヘンテコな詭弁踊りするわ、代わりに劇のヒロインやるわ、風邪ひいた皆を見舞うわ…。パンチも強い。

本作、この二人以上に一癖も二癖も三癖もある強烈個性キャラのオンパレード。
女装趣味のある学園祭事務局長、パンツを履き替えた事の無いパンツ総番長、エロい日本画収集のオヤジ、古本市の神、妖怪みたいなジジイ…。
ファンタジーでもあり、時々ミュージカル。
酒くらべ、古本市、学園祭…これら全て、一夜の出来事!
独特の作風、作画、演出。シュールで奇想天外な世界観。

正直、意味不明なシーンも多々。
でも、一本の作品の話としては『夜明け告げるルーのうた』の方が筋が通ってるかもしれないが、この不思議なノリ、テンポ、雰囲気はこちらの方が好きかも。
それでいて最後は先輩と黒髪乙女のラブストーリーとして終着。
天晴れ!
好きになったら、これ、ハマる。

近大