ノクターナル・アニマルズのレビュー・感想・評価
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圧倒されました
衝撃的というか、この物語を一筋縄ではいかない予感をさせるオープニング。もうそこからラストまでグイグイと引き込まれ、気がついた時にはエンドクレジット。凄かったあ、重かったあ、ストーリーにも映像美にも音楽にも俳優陣の演技力にも圧倒されました。
現実と過去と小説を行ったり来たりだったが、難解さも不快さも全く無く、それが敢えて自然な形。ラストの解釈は鑑賞者に任せたいという事だろうが、私は元夫の復讐劇と単純にしたくない。
サスペンスフルで重厚で高レベルな恋愛映画としたい。
素晴らしい映画をありがとう。
私の記念すべき100本目のレビューとしたかったが、残念!
上流階級の怖い絵と過去
一品でも数億円は下らない今をときめく現代美術の数々がこれでもかと出てくるのですが、これが一つづつ不気味な暗示になっており、とてもイヤ~な気分になってきます。
私の場合、まず冒頭のダンシングシスターズで打ちのめされますが、美しいエイミーがすぐ出てきてくれてなんとか持ち直しました。しかし、美術館のデミアンハースト作『セントセバスチャン 優美な痛み』あたりから悪夢と悪趣味がぬぐえなくなります。あくまでも上品で美しいのですが、過剰なのです。
ここからストーリーも救いようのない恐ろしさに突入していきますが、これはあくまで映画中の小説のことであり、それをあえて過剰に美しく映像化している点がこの映画を特別に感じさせる点です。
不条理な暴力の恐ろしさ
時間軸や、現実と小説世界を行ったり来たり。
主演の二人がそれぞれの時間、世界を演じ分けていて、見応えがありました。
ファッショナブルな映像があり、テキサスの乾いた空気があり、夜の匂いがある。
それぞれ良かったけれど、暴力描写については、良くも悪くもファッショナブルな感じで、薄っぺらかった。
前半、中盤と良かったので、最後はもうちょっと追い込みたい気分でした。
過去からの復讐劇
本作は確かに復讐劇だと思います。でも、個人的な見解では、エドワードからスーザンではなく、過去のスーザン自身からの復讐劇に思えました。
言い換えると、生きてこなかった本当の自分から、偽りに生きてきた現実の自分が復讐される話。ついに20年分のツケが回ってきたスーザンが心理的に破産しかける物語と言えそうです。
マイノリティーの兄やアーティストのエドワードへのシンパシーを持つような、母親とは違うタイプのスーザンがエドワードに惹かれるのは自然だと思います。だが、エドワードとの生活は不安定だし、エドワード自身も不安定。そんな中でスーザンも不安定になっていく。
なのでエドワードに見切りをつけます。しかし、ハッキリと描かれていなかったと思いますが、スーザンは自分を騙して別れたように感じました。
決定的な一件の前からスーザンは言い訳がましく逃げ腰でした。かなり最後の方までエドワードを愛していたが、自分の弱さに負けてベストを尽くさず、自分に対して誠実になれなかった。
つまり流されて見切っただけ。肝心な勝負所でがんばれず、自分を偽ったからエドワードのことがしこりとして残っているです。
しかも、なまじ経済的社会的にいい感じなもんだから、振り返るチャンスもなく20年来てしまった。
その結果、軽蔑していた母親と同じようになってしまった。ダークサイド堕ちってやつですね。
ホドロフスキー師匠流に言えば、自分を生きることができなかった。自分を生きない人間に待っているのは虚無です。
一方、エドワードはダメなりに自分を生きたと思われます。以前はスーザンに作品をダメ出しされてスネるようなダメ男だったけど(ダメばかりだけれど、若き日のエドワードは絵に描いたようなダメ男だ)、小説を諦めなかった。人生諦めが肝心な時もありますが、作品を形にして出版にこぎつけたのは凄い。ここで彼は作家としてのアイデンティティーを確立できたと考えられます。だから過去の重要人物に作品を贈ることができたのです。
なのでエドワードとスーザンの対比は「自分を生きた」vs「自分を生きなかった」かな、と。そんなスーザンの元に、しかも虚無と心理的孤立が顕在化したタイミングで小説が贈られてくるわけですから、恐ろしい復讐ですよ、過去からの。
スーザンとトニーが重なる演出が多用されていたと思いますが、スーザンはトニーに自分を重ねていたのでしょう。
トニーは荒野に取り残された時、妻子を助けに行かずに逃げてしまった。助けに行ったところで結果は変わらないでしょうが、弱さに負けた態度が後悔につながっていったと考えられます。それはすなわち20年前にスーザンがエドワードとの関係で自分にベストを尽くさなかったことと同じですからね。逃れられない苦しみのルーツを突きつけられ、スーザンははじめて自分の弱さと向き合わざるを得なくなりました。自業自得とはいえ地獄の苦しみだと思います。
エドワードがなぜスーザンに小説を捧げたのか。
それは、スーザンとの別れがエドワードの作家としてのスタートだったからです。寝取られですから当然怒りもあったし、恨み辛みもあると思います。しかし、小説ノクターナル・アニマルズの内容から読み取れるのは後悔の念です。
心から愛した女性を大切にできなかった弱い自分自身への後悔。自らの失敗と向き合い、大いなる痛みを抱え続けたことが、彼を作家にしたのだと思います。この作品で彼は後悔を昇華できたのではないでしょうか。
エドワードがスーザンに本を贈ったのは、自分を作家にしてくれた人物に自分の成長を知って欲しかったという、非常にシンプルな理由だと思います。また、付き合っていた頃から自分を受け入れられないスーザンの弱さをエドワードはよく知っていたでしょうから、彼女に対する叱咤激励的なニュアンスもあるかもしれません。実際、彼女は小説を読んではじめて自分と向き合うチャンスを得たのですから。
そして問題のエンディング。
結構ナゾで、最もいろんな解釈ができそうです。エドワードの復讐譚とみれば復讐完了というオチだと思います。個人的にはそうではないと感じているため、唯一モヤるポイントです。公式は解ったが答えが合わないみたいな。
確かに、自分を生きた者と生きなかった者、両者は位相が違うのですれ違う可能性も高いです。が、違うエンディングであったならばスーザン側にマジックが起きるチャンスだったので
(つまり、エドワードに後悔を語れ、再生への一歩が踏み出せるチャンス)
スーザンに対してかなり辛辣で残酷なオチだなぁとの印象です。トム・フォード監督的には、そんな簡単に成長できないよ、再生するなら一度ちゃんと心理的に自己破産しなよ、ってところでしょうか。
しかし、エンディングで着るドレスがあまりにもエロすぎますぜ。個人的には最高としか言いようがないですが、そのタイミングであんなエロい服を着て行くメンタリティーがダメなんだよスーザン!なんて思いました。
とにかく、観ている最中だけではなく、観終わった後もエキサイトしっぱなしで、めちゃくちゃ楽しめた映画でした。考察または妄想が面白くて仕方ない。とても語り合いたくなる作品です。
そして主演のエイミー・アダムスがセクシー。髪の美しさが印象に残ります。もちろん、問題のエロドレスも。
映画のチカラを感じた
JMAXとやま に行き、ちょっと始まっていたが エイミー・アダムス、ジェイク・ギレンホールの映画『nocturnal animals』を観た。!オープンシーンは 度肝を抜くものだった。バイオレンスが見事にアクセントをつけて、20年前に別れた夫が送ってきた小説と現実 そして過去が絡み合い 見事なストーリィになっていた。主人公がアートの世界にいるかなりのセレブという設定だからでもないだろうが、アーティスティックな作品だと感じた。これも高評価の88点。やはりJ.ギレンホールの最近の出演作に駄作はない。先日観た『彼女がその名を知らない鳥たち』といい、今日のこの作品といい 映画のチカラを感じれる作品に出会えて幸せです。
引き込まれる
奇妙なオープニングからスタートしたが、すぐに作品に引き込まれた。しかし現在、過去、小説が交差する展開に付いていくのが精一杯。残念ながら小説の想いまでは感じることが出来なかった。
2018-6
結局何が言いたい
まず言いたい。裸祭りが不快です。無駄に裸シーン多くない?しわしわから、テカテカの裸まで。
それはともかくとして、これは小説を使ったエドワードの復讐のストーリーでしょうか?まあ、主人公も自業自得だし、ラストなんか、「どの面下げて」という感じです。ストーリーは別として、ジェイク・ギレンホールは好きです。正直言って、分かりにくい映画でした。
Beautiful!!
物語も、台詞も、画も、演技も、音も、音楽も、間も、全てが美しい!
非常に、上質な映画を観ることができました。
強いて言えば、少しだけ終盤が長かったかも。。。少しだけですが。
あと、一部暴力シーンが入るので、その手ものもが苦手な人は辛いかも。。。
とても面白かった
物語のバランスとしていいのか疑問に思うのだが、劇中劇がちょっとペキンパーのテイストで面白くてぐいぐい引き込まれる。現実の場面がそれに比べるとずいぶん味気なかった。あんな物騒な小説を自分に捧げられる気分はどうなのだろう?嫌がらせに近いように思った。ジェイク・ギレン・ホールの演じ分けがすごかった。
小説は愛を取り戻す手段なのか、復讐の手段なのか⁉️
映像美が復讐劇をより恐怖させている。
ジェイク・ギレンホールの様々な作品を見ているが本作のような執拗で狂気じみた役は甘い顔に騙され、怖さ倍増。あとトム・フォード監督、これが監督2作品目とは思えないし、脚本も彼って事だから、今度は彼の監督作品って事でも作品観賞していこうかなぁ。
陰惨
オープニングシーンが強烈です。グロテスクなんだけれど、頽廃的な美しさもどこか感じられて。これは何かのメタファーなのかと思いました。デザイナーがこういう映像を見せるのは衝撃的ですね。
そしてエドワードの小説。
スーザンと離婚した苦しみは理解できるけれど、妻と娘を殺されるこの話はあまりに凄惨です。
別れて20年にもなる元妻に一体何が言いたかったのか。ちょっとよくわかりませんでした。20年たって力強い小説を書けるようになったという事を示したかったのか。
今の夫役のアーミー・ハマーはイケメンで目の保養になりました。
全体的には怖かった。もう車の運転できません。クリスマスケーキもあんな体になったらどうしようと思うと怖くて食べられないです。
私にとってはあまり後味のいい映画ではありませんでした。
赤毛とお尻と現代アートとテキサス
衝撃的なオープニングがまさか現代アートの展覧会に結びつくとは。
TOM FORDとテキサスも結びつかない。
20年の歳月を演じ分けるエイミーアダムスとジェイク・ギレンホール
実際の出来事なのか小説の出来事なのか判別つかなくなりそうになるギリギリの感じが心地よい。
不眠症のスーザン対してウトウト
「何者であれ、罰を受けずに逃がすものか」
素晴らしい映画体験
オープニングから驚きの映画体験。
物質に侵された生活を印象付ける凄い画でした。
本が復讐だったのか私にはわかりませんでした。しかし、本の内容はエドワードが成長して強くなろうとしたのではないでしょうか?
もしも待ち合わせにスーザンが勝負服で飾らずに、もっとカジュアルなレストランだったらエドワードはきっと現れたのではないでしょうか?
流行と物質の最前線と言えるところにいるトム・フォードの自己否定と完全には否定出来ないところが見え隠れするような作品でした。
大変面白かったです。
その原稿は彼女の過ちの証拠
華やかな仕事をこなす裏で夫との生活に不安を抱える女性。ある日元夫から小説が送られてくる。
冒頭の映像のインパクトと結末の虚無感のギャップ。
現実と想像の中間に浮遊したような、感覚を置き去られたような気分に飲み込まれた鑑賞後。
作品を通じて復讐を企てるなんてクリエイティブな発想の極みであって少し気持ち悪い。
小説の中でところどころ見える元夫の主張はなんとも虚しいものが多く、彼が求めた結果は何だったのだろうと何通りもの想像をしてしまいました。
過ぎた時間と対峙するのには必ずきっかけがあって、きっとそれはトラウマに近い。
著名デザイナーのトム・フォードならではのエンドロールで、並ぶブランド名も圧巻でした。衣装も小物も美術品も目に余る美しさの一作。
面白かった
幽霊とか呪いとかそういう類のホラーよりよっぽど怖い。物語が進むにつれてじわじわと指先が冷たくなっていった。
サスペンス映画としてすごく面白かった!
監督がファッションデザイナーなだけあって衣装もメイクもインテリアもめちゃくちゃスタイリッシュで素敵だった。目の保養。
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