劇場公開日 2017年5月13日

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「実話のようなリアリティ、過去から逃げられない現実」マンチェスター・バイ・ザ・シー osanさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5実話のようなリアリティ、過去から逃げられない現実

2018年3月27日
PCから投稿

悲しい

自分自身とは全く異なる世界のフィクションなはずなのに、まるで実話のようなリアリティ。主人公に感情移入しまくって、自分が映画の中で生活しているかのような錯覚を覚える。

主人公とその周囲の喪失感と、自分自身の経験した喪失感がシンクロする。とても他人事とは思えない。

過去に対する後悔の気持ち。現在進行の描写と過去記憶的な描写を混在させて表現してくるので、観ている自分自身が記憶の彼方に意図的に投げ捨ててきた後悔の気持ちがふつふつとよみがえってくる。

人間は過去とくに後悔の記憶とは無縁ではないが、健康に生きていくために無意識に無縁にしようとしているのだろう。けど、完全に捨て去ることは不可能。過去の記憶・後悔は永遠に人間を苛むのだろうか。つらい過去と上手く共存することはできないのだろうか。

osan