劇場公開日 2017年6月24日

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「戦時下で貫いた信念の強さ。戦争の中で痛感させられる、命の尊さ。」ハクソー・リッジ 映画コーディネーター・門倉カドさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5戦時下で貫いた信念の強さ。戦争の中で痛感させられる、命の尊さ。

2017年7月15日
PCから投稿

泣ける

悲しい

怖い

【賛否両論チェック】
賛:“武器を持たずに負傷者を助ける”という信念を、どんなに虐げられても決して曲げなかった主人公が、極限状態の戦闘下の中で、多くの命を救っていく姿に、深い感動を与えられる。命の儚さや尊さを痛感させられるのも印象的。
否:戦闘による人体の損壊等、かなりリアルでグロテスクなシーンが多いので、苦手な人は観られない。

 人を殺すことが当たり前の戦場にあって、己の信念を貫き通し、どんなに虐げられても武器を持つことを拒み続けて、負傷者を救うことに専念し続けた実在の主人公・デズモンド。師団が撤退し、敵だらけの孤立無援の中で独り奔走し、1人助けるともう1人、もう1人助けるとあと1人と、命ある限り歩みを止めないその姿には、敬意を越えて畏怖すら感じさせるような雰囲気すら漂います。
 そんなデズモンドを最初こそ軽んじていた周りの戦友達が、次第にその信念の強さに気づかされ、敬服していく様子も、また感慨深いものがあります。
 しかし同時に、人が人を殺す戦争の真の悲惨さも、かなりリアルな描写を通して描かれていきます。劇中で語られる、
「平時には息子が父を弔い、戦時には父が息子を弔う。」
という言葉が印象に残ります。
 全く軽い気持ちでは観られませんが、命の尊さを思い知らされるような、そんな作品です。

映画コーディネーター・門倉カド