パーフェクトマン 完全犯罪のレビュー・感想・評価
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追い詰められていく気持ちになる名作
作家を目指している主人公が既に死んでいる男の手記をそのまま出版社に送り、小説家デビューをしてしまった話。
主人公は大作家として名声を得るも次回作は書けない。しかも身の丈にあってない美人の彼女もでき、少しずつ嘘を付いていく。
一つの嘘は次の嘘を呼び、だんだんと雪だるまのように大きなって行く。
そこに主人公の元に「お前は嘘つきだ」という年配の男が現れ…。
見ているとこっちが追い詰められていくような名作です。
タイトルなし
リプリーを思い出す。嘘から名声を手に入れた作家の男が殺人まで手に染め、取り返しの付かない、ラストは、自殺に見せかけ、妊娠中の恋人のもとを去る。自分が書いた本当の作は世に出て、子供模目の前にいるのに諦めざるを得ないのが切ないが自業自得。
犯罪を、妖しい色気へと転換させたサスペンス
全て見栄と虚像を守るための空虚しい殺人。最初は一つの小さな完全犯罪から始まる。それは魔が差すようにして手を出してしまった「盗作」という犯罪。証拠を残さずにうまく行ったかに見えたが、そこから坂道を転がり落ちるように主人公は、自らの見栄と虚像を守るための犯罪を積み重ねていく。
計画性はない。緻密さも低い。そんな危ない殺人だけれども、主人公を演じるピエール・ニネの美貌と妖気がそれを魅せるものに変える(「イヴ・サンローラン」でもサンローランをちょっと妖しく演じていて好きだった)。比較にはならないことはもちろん承知の上で、ついうっかり「太陽がいっぱい」のアラン・ドロンを思い出してしまった。さすがに21世紀の「太陽がいっぱい」と呼ぶには、主人公の度量の小ささ、犯罪の動機のチンケさなどで憚られるが、趣としては近いものがあるかな、と。罪に汚れ。罪に怯える姿を「色気」や「妖気」に置き換えて表現していた部分は非常に気に入ったところ。
映画が描いているのはひたすら美青年の殺人。そのテーマ一本に完全に絞っており、その分物語は至ってシンプル。それ以外のサブストーリーとなるようなエピソードもほぼ入ってこないストレートさで、さながら短編小説の一篇を読むような感覚に近い気がした。そしてこの作品に関してはその感じがよく合っているような気がした。
無計画
演出が悪いのか俳優が悪いのか、あまりにも主人公が衝動的で短絡的で焦りが顔や態度に出ちゃってて魅力もなく、それに振り回される人達が間抜けに感じるし都合が良過ぎる。
事が起きて崩れたり疑われたりのやり取りは面白いけれど、単調でテンポも良くなくイマイチ盛り上がりに欠けた。
まさに毒を食らわば皿まで。悪事を重ねた男の行く末とは。
【賛否両論チェック】
賛:1度の過ちで名声を得た主人公が、その過ちを隠すために次から次へと悪事を重ねていく様子が、観ていて身につまされる。
否:展開はやや都合が良すぎる感がある。話の進み方も淡々としているので、眠くなりそう。
ふとした出来心から行った盗作で、一気に夢を叶えてしまった主人公が、その過ちをごまかそうとするあまりに、次々と悪事に手を染めていく様が、淡々とした中にも緊迫感満載で描かれていきます。「毒を食らわば皿まで」とは、まさにこのことでしょうか。
やがて取り返しのつかないところまで来てしまった主人公が下す、あまりにも切ない決断にも、因果応報とは思いつつも、考えさせられてしまう部分があります。
ストーリーはややご都合主義で、淡々としているので眠くもなりそうではありますが、他山の石とするのにふさわしい作品と言えそうです。
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