劇場公開日 2017年10月6日

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「夢想の為に」エルネスト 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0夢想の為に

2018年4月19日
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鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

単純

知的

キューバ革命の英雄チェ・ゲバラと共闘した日系人、フレディ前村を描く実話ドラマ。
あのチェ・ゲバラの近くに、彼からファースト・ネームが与えられるほどの日系人が居た事は全く知らなかった。
歴史の逸話はまだまだ知らない事ばかり。

阪本順治監督の世代にとってチェ・ゲバラはカリスマ的な存在なのだろう。
監督作で初めて実在の人物を題材にし、製作に数年費やし、思い入れや意気込みのほどが窺い知れる。
しかし、全然世代じゃない者にとって、時代背景やチェ・ゲバラがどんなにカリスマ的な人物なのか、いまいちピンと来ない。
自分にとっては歴史上最も有名な革命戦士の一人に過ぎず、それは他のチェ・ゲバラ映画も然り、本作も然り。
単に自分が、興味惹かれないか歴史に疎いか、なのだが。

小難しそうな政治的ドラマではなく、フレディ前村の青春ドラマ風として描かれているのは見易かった。
ただ、本当に展開は淡々。エピソードを並べ立ててるにしか思えず、話に引き込まれるとは言い難い。エンタメ性とかじゃなく、もっとメリハリが欲しかった。
フレディが何故ゲリラ活動に身を投じていく様になったかとか、チェ・ゲバラのカリスマ性に惹かれたかとか、フレディの最期とか、そういう話の流れや設定ではあっても深みや重みに欠けた。

オダギリジョーの熱演は見事。
流暢なスペイン語をマスター、体重も絞り、抑えた中にも熱い意志や闘志を体現、賞賛モノ。

作品的にはまあまあだったが、幾つかの逸話を知れただけでも一見の価値はあった。
フレディ前村の事、チェ・ゲバラとフレディ前村の事、そして冒頭のチェ・ゲバラの広島訪問は印象深かった。
革命戦士の夢想は、平和への祈り。

近大