劇場公開日 2017年7月1日

「クズだらけの痛快時代活劇」忍びの国 オカマ声ちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5クズだらけの痛快時代活劇

2017年9月2日
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鑑賞方法:映画館

期待以上に面白かった!

始まって10分、主人公が金に汚いクズ。
その主人公の暮らす環境や周りの人間が倫理、自尊心とは無縁のクズ。伊賀忍者『虎狼の軍団』と言えば聞こえは良いけど、子供なんか替えの利く消耗品で「命の尊さ、何それ美味いの?」状態の欲望待った無しサイコパス集団。
主人公と敵対する織田軍の大将は、見栄だけは父よりデカい、強い家来に隠れて命令するだけの小者のクズ。
「この作品クズしかいねぇ。スゲェな」と笑っていたら、そのクズ共が戦を通して何かに目覚める。
置かれた環境の異常さに、上に立つ者の器量に、今まで感じたこと無い沸き上がる感情……なのも見所ではあるけど、やっぱり戦闘シーン!!!

2回の『川』も良かったけど、伊賀忍者達が戦場に戻るシーンは圧巻!
黒い虫のようにワラワラ湧いてくる忍者に「アレ? 私、いつの間に『テラフォーマーズ』見てた?」と思うほどの気持ち悪さ!
しかも、普通の映画なら「故郷を守るぞ!」的に皆の心を1つに戦いに戻り、感動するシーンなのに、清々しいまでに『金欲』それしかない! ここまで来るとクズっぷりが気持ちいい!
切って切られて、刺して刺されて、殺し殺され入り乱れるシーンはTVではなく劇場で見て良かった!

ただ残念なのは、夏休みに合わせ、家族で鑑賞出来るようにするためか、合戦なのに血が飛ばない。たぶん、若い嵐ファンにも配慮したんだろうな。
しかし、それを差し置いても血が滾った!
この監督『殿、利息でござる!』もそうだったけど、緩急のバランスも良く、最後までだらける事なくキレイに静かにオチまで持っていくのは流石!
次に似たような作品を作るときは、ぜひとも遠慮なく血飛沫をドバドバ飛ばして欲しいわ!

オカマ声ちゃん