劇場公開日 2016年8月6日

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「歴史を学ぶ意味。」奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ Takatanさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0歴史を学ぶ意味。

2016年11月30日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

歴史が勉強科目として苦手な人がいるかもしれない。
ペンは取らなきゃいけないし、全く聞いた事もない名前を覚えるのは難しい。
そんな時は、その時代をテーマにした映画を見るのが一番だと思っている。たった3文字にも満たない国や人の名前にも、そこには必ず"ストーリー"があるからだ。
『奇跡の教室』劇中の授業で、担任のゲゲン先生が一枚の絵を生徒たちに見せるシーンがある。
キリスト教がイスラム教を侮辱するその絵を説明する事は、20以上の人種と宗教が入り乱れたフランス国民(生徒)にとって当然タブーだった。日本人から見れば、いつものようにイスラム教徒は憤慨し、その他はただそれを見つめるの光景だ。
だがその時ゲゲン先生は、"ちゃんと考えて欲しい。この絵には、プロパガンダ(洗脳)用に作ったという"意図"があるの。"
ここで生徒達は、自分達が今ここにいる意味と、それを受け入れる準備ができたのだ。
ここまでの話は冒頭にすぎないが、彼らの努力や葛藤は、説明したシーンよりはるかにあなたの胸を強く打つと思う。後からこの作品の製作秘話も読んで納得できた。
あと1つだけ、歴史というのは儚いもので断片的である。調べようとしても、そこには文字しか情報がないのである。しかし、あなたが考えて行動して考え抜いた時、その点と点が線となって、あなたの人生をより豊かにしてくれると信じている。
その点となるには十分すぎるくらい良い映画だった。

Takatan