ネオン・デーモン インタビュー: 執着、倒錯、ナルシズム…ニコラス・ウィンディング・レフンが考える美とは

ホーム > 作品情報 > 映画「ネオン・デーモン」 > インタビュー > 執着、倒錯、ナルシズム…ニコラス・ウィンディング・レフンが考える美とは
メニュー

ネオン・デーモン

劇場公開日 2017年1月13日
2017年1月12日更新
画像1

執着、倒錯、ナルシズム…ニコラス・ウィンディング・レフンが考える美とは

ドライヴ」「オンリー・ゴッド」など卓越した映像表現で知られるニコラス・ウィンディング・レフンの新作は、エル・ファニングを主演に迎え、ファッション業界に渦巻く欲望と狂気を描くサスペンスだ。これまでのハードボイルドな男性主人公を描いた作品群から一転、若く美しい少女を主人公に据え、現代人の“美”への執着を耽美的な映像と音楽で描き出す。独特の美意識を持つ鬼才が、カンヌで賛否両論を巻き起こした新作を語った。(取材・文・写真/編集部)

「これまで美は、女性の強さを定義づけるものとして描かれてきたが、美とは複雑なものなので、深く考察するだけのものではないと感じていた」そうで、以前から「美しさ」に焦点を当てた作品を制作したかったという。自身が考える「美」は「不完全であること」。「エル・ファニングはユニークなものを持っていて、言葉では表しにくい。そういう俳優は男性であれば、ライアン・ゴズリング。完璧ではないが資質のようなものを持っている」とキャスティングの理由を明かす。

そして「この映画はナルシズムの祝福」だと断言。「美しくありたいというのは、人間誰しも抱えている感情であり、美しさにとらわれるなんて浅はかだ、重要なポイントではないというのは嘘だと思う。デジタルレボリューションをきっかけに、見られることに価値を置くようになっているので、その流れは加速していっていると感じる」と現代社会における美のあり方について言及する。「僕は美というものを恐れる必要はないと思うし、美についてだけでなく文化についても、マス(大衆)の目線は気にする必要はないと思う」

劇中の音楽を「ドライヴ」以降タッグを組んでいるクリフ・マルティネスが担当。冴えわたったエレクトロミュージックが、映像の一部となって倒錯的な物語を完成させているといっても過言ではない。

「もともと僕は、動かない映画を作る可能性を考えてきた。観客の心の中で状況が動いていくが、絵が動くわけではない、というようなことができないかと。ほとんどの映画は、観客が見ていて、A地点からB地点へと話が動いていくけれど、それがもし動かずに観客の内なる経験としてのみ動く作品を考えたときに、音楽が重要な一部になると思った」

「音楽は快感でも、恐怖でも感情をより喚起させることができ、人の欲求を解放することもできるもの。だから、我々の感情の色彩のパレットに届く。そして、映画の場合“サイレンス(沈黙)”も正しい形で使えれば音になりうるということ。この映画の半分は音楽で成り立っていると言える」

カンヌで賛否両論を巻き起こしたことに関しては「アートの形とは、どういう風にリアクションしたかによって定義づけられるが、アンチの方が記憶に残ったりするもので、感情が両極化する方が作り手としては正しいことをしたと感じる。クリエイティビティとは、善かれ悪しかれ何かのエモーションを想起させるものでなければいけない。みんなが同じものに同意することは、人生はシンプルになるかもしれないが、クリエイティビティはダイバーシティにつながるものだと思う」と持論を語る。

美に執着する女性を描いた今作で「『ブロンソン』以降の、自分の執着が今回で完結したとも言える」と達成感を得たようだ。監督自身がもし生まれ変われるならと問うと「絶対に女だね。もっと面白そうな人生になりそうだからね」と笑みを浮かべる。次回作の構想は「誇張された現実というものに興味を持っている。映画も、見ていて心地良くないものよりは良いものを作りたいと思っている。リアリティを改めてつづるようなことに僕は興味がないから」と方向性を語った。

関連コンテンツ

関連ニュース

関連ニュース

映画評論

ファニングの多面的な魅力が陶酔をもたらす、エキセントリックな寓話
映画評論

「キャリー」ミーツ「マルホランド・ドライブ」とでも形容しようか。催眠的な美しさとエキセントリックな魅力に満ちたホラーだ。ジャンル映画を愛し、映像美に徹底したこだわりを持つニコラス・ウィンディング・レフンが、ロサンゼルスのネオンと人工美...映画評論

フォトギャラリー

DVD・ブルーレイ

トランボ ハリウッドに最も嫌われた男[DVD] マレフィセント MovieNEX[Blu-ray/ブルーレイ] マッド・ガンズ[Blu-ray/ブルーレイ] ロスト・ルーム[DVD]
トランボ ハリウッドに最も嫌われた男[DVD] マレフィセント MovieNEX[Blu-ray/ブルーレイ] マッド・ガンズ[Blu-ray/ブルーレイ] ロスト・ルーム[DVD]
発売日:2017年5月10日 最安価格: ¥2,897 発売日:2014年12月3日 最安価格: ¥3,046 発売日:2015年9月2日 最安価格: ¥3,175 発売日:2009年5月20日 最安価格: ¥8,256
Powered by 価格.com

映画レビュー

平均評価
3.1 3.1 (全67件)
  • レフンの変態映画がここまでキタ! NWレフン監督の世界観満載の変態映画!相変わらずのグロ描写と様式美を対照的に描きつつもそこに上手く心理描写を投影させていて素晴らしい世界観を構築している作品。 冒頭からエル・ファニングが監督の世... ...続きを読む

    キース@Keith キース@Keithさん  2017年3月24日 14:41  評価:3.0
    このレビューに共感した/0人
  • 天然と人工 田舎娘が売れっ子モデルになり嫉妬される話 レフン監督の作品は「ブロンソン」「ヴァルハラ・ライジング」「ドライブ」「オンリーゴッド」と見ていた。 ファンとまではいかないが結構好きな監督なので期待... ...続きを読む

    フリント フリントさん  2017年3月19日 22:13  評価:-
    このレビューに共感した/0人
  • ネオンの心地良さ 冒頭のクレジットの鮮やかな美しさで一気にこの監督の世界に引き込まれる。 なんでもない登場人物、なんでもない物語、でも、この独特の感覚に酔わされて気持ち良くなる。期待通りの出来だ。 ...続きを読む

    かづ かづさん  2017年3月18日 14:46  評価:5.0
    このレビューに共感した/0人
  • すべての映画レビュー
  • 映画レビューを書く
このページの先頭へ

最近チェックした履歴

映画の検索履歴

他の映画を探す

映画館の検索履歴

他の映画館を探す

最新のインタビュー

  • インタビュー PとJK “似た者夫婦”亀梨和也&土屋太鳳に芽生えた敬愛と信頼
  • インタビュー サクラダリセット 前篇 野村周平&黒島結菜&平祐奈の“共闘”を支えた深川栄洋監督の魔法の言葉
  • インタビュー ひるなかの流星 永野芽郁、三浦翔平より白濱亜嵐派!? 2人の“お兄様”と恋に生きた「ひるなかの流星」
インタビューの一覧を見る
Jobnavi