劇場公開日 2017年2月25日

「鑑賞記録」彼らが本気で編むときは、 ハッピー・ホーガンさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0鑑賞記録

2017年3月26日
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鑑賞方法:映画館

年末に観た『土竜の唄』から間を空けずにやってきた生田斗真主演作品。当たりハズレが多いよなぁなんて、土竜の唄を観ているときは思っていたのですが、今回は良かったんじゃないかな!

セクシャルマイノリティーの人たちが出てくる作品ってたくさんあるとは思うのですが、自分がそのような人たちがいるのだと認識したのは上戸彩が出ていたシーズンの金八先生。あれから十数年くらい時が流れ、社会、いや世界的に考え方も制度も変わってきたように思います。本作で出てきた小池栄子のキャラクターのように、そのような人たちを奇異な目で見る人というのは今でこそいれども、もう数年経てば当たり前だと受容されているのではないかと思います。

ただ、今回のテーマは社会とか世界とかじゃなくて、目の前の「お母さん」に受け容れられるということのデカさだと思うのです。仕事柄、親との愛着関係について考えさせられることが多々あるのですが、子にとって親の存在がいかに大きく、代わりのないものかということを本作は描いています。自分は自分だと、強く立ち向かっていくことが後ろ盾なしに一人でできる人もいるかもしれないけど、「あなたはあなたで良いのよ」と言ってくれる肉親がいるという事実は、その人が前向きに生きていけるかどうかを大きく左右するんじゃないかなと感じさせられたのでした。

メジャーな俳優を揃えながらも芝居自体は抑制されたトーンで心地良い。桐谷健太があんなぬぼーっとした感じを出せるなんて…。トモちゃんこと柿原りんか(本作で初めて知りましたね)もいい!この子に関しては是非「涙のタイミング」に着目してほしい。絶妙!出演シーン自体は絶対的に少ないはずなのに存在感抜群の小池栄子も、すごい女優になってきたのかもなと思ったり。

今の時代に作られる意義のある作品なのではないでしょうか。もうすっかり上映は終わってしまっているかもですが、多くの人に観てもらえたらと思います。

ヤッター