劇場公開日 2017年9月9日

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「「戦争」そのものを描いた作品」ダンケルク サブレさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0「戦争」そのものを描いた作品

2017年10月12日
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鑑賞方法:映画館

ひたすら、ただひたすらに「現実っぽさ」にこだわった作品、だろう。たぶん。戦争に言ってないから現実かどうかはわからないけれど。
面白いかと問われると答えに困る。悪くはないし、ドキドキハラハラはする。なぜ面白いと胸を張って伝えられないかというと、感情移入できる先がほとんどないからである。
話は3場面で展開される。ダンケルクに取り残された兵士と、救助に向かう遊覧船乗組員と、援護に向かう空軍パイロットと。兵士は疲弊しているのか助かることだけ考えていて、ほとんどしゃべらない。遊覧船乗組員はダンケルクに近づき、トラブルが増えるにしたがって口数が少なく、目の前のことのみに集中するようになる。唯一パイロットのみがよくしゃべり、人間味を感じさせる。しかも格好いい。
なので、本当に「戦争」というイベントを、人間を媒介にしてスクリーンに映し出しているという印象が強い。人間は戦争を描くために必要なマクガフィンでしかなかった。たまたま必要だったから使ったツールのひとつなのである。そう見えた。

いわゆるハリウッド映画に慣れ親しんでいる人には少しきつい映画かもしれない。しかもちょっとした時系列シャッフルが入っているから混乱する可能性もある。人を選びそうな作品だけど、自分にはばっちりはまったのでよし。最高。

サブレ