「大勢のうちの一つに過ぎない」ダンケルク みうらさんの映画レビュー(感想・評価)

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ダンケルク

劇場公開日 2017年9月9日
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大勢のうちの一つに過ぎない

公開前の強い期待と熱い宣伝によって、楽しみな反面、不安も少々ありました。

映像体験としては大変立派でおそらくノーラン監督にしかできない意欲作ですが、映画としては可もなく不可もなく、と行った印象を受けました。

物語の説明シーンやセリフは極限まで排除され、常に鳴り続ける秒針のカウントをバックに、物語が脱出という一点に収斂していきます。

散々宣伝でも言われていますが、本作はIMAXカメラをフルで使った作品なため、IMAX鑑賞は半ば必須な気がします。おそらくIMAX版でなかったら、魅力が伝わらないと思います。
とにかくIMAXという特徴を生かした画面構成が多い。冒頭イギリス兵が誰もいない通りを歩くシーンから、縦長のスクリーンを生かして奥までのびる長い道のりを表現し、ダンケルクビーチに着いた時には途方も無い距離で続くビーチに兵が並んで帰還を待っているという壮大なシーン、そして空中戦に至っては本当に体がフワッと浮かんだ感じさえする大迫力の飛行シーンさえありました。
さらに音響では銃撃の一発一発が腹に響き、トムハーディの機体が弾を撃つ度に胸がドキドキします。
そんな映像体験が始まりから終わりまでずーっと続きます。
これは確かに戦争の追体験としては素晴らしいの一言にほかなりません。

また、主人公のトミーにしても華がなく他の一般兵と見分けがつかない。なにをするでもなく、なすがままに流されて帰還を目指す。まさに大勢のうちの1人に過ぎない描かれ方は、昨今の戦争映画にあるヒロイズムの排除にも共感が持てます。

ただ、個人的にはこの映画映像体験としては秀逸でも、映画としては特に目立って面白いところがない作品と感じました。
何よりも納得がいかないのは、監督自身も指摘していますが、死体から全くと言っていいほど血が出ない。その辺に倒れている人も死体なのか、ただ寝ているだけなのか見分けがつかない。
そんな姿勢で戦争映画を描く意味ってあるのでしょうか。
さらに、最終的に30数万人救ったとか言っていましたが、そんだけの人を救った感が全くない。ビーチにいた人もせいぜい数万人。画角の広いIMAXだからこその致命点ですが、人が全然いない。
桟橋の上でこそ有象無象のように人が折り重なっていましたが、本来普通の砂浜もそんな状態なのではないでしょうか。
それなのに、数十万人救ったと言われても感動が薄く感じてしまいます。

また、映画的にも史実的にもイギリス視点では何十万人も救った世紀の大作戦かもしれませんが、フランスから見たら置いてかれ、その後ナチスに占領されてしまうのが数日伸びたに過ぎない一過性のものでしかないのも、なんとも心にモヤが残りました。

ただ、生き残ることもまた戦争において成功というメッセージは強く共感できます。

総じて、映画館でしかもIMAXで見るぶんにはそれなりの価値があると思いますが、通常の劇場で、家のテレビで見るには少し退屈してしまうのではないでしょうか。

ただ、映像体験、戦争追体験としては本当に秀逸なのは間違いありません。
トム・ハーディのかっこよさだけは健在です。

みうら
さん / 2017年9月14日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 3.0
  • 印象:  -
  • 鑑賞方法:映画館
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