劇場公開日 2016年8月27日

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はじまりはヒップホップ : 映画評論・批評

2016年8月23日更新

2016年8月27日よりシネスイッチ銀座ほかにてロードショー

不自由なフィジカルを自由な心で克服!シニアたちの挑戦を追う痛快ドキュメンタリー

ニュージーランドの小さな島。運動室に集まった品のいい白髪の男女がこれから踊る。社交ダンス? フォークダンス? 否、お年寄りが挑戦するのは、ヒップホップダンス。しかも、ラスベガスで開催される世界大会を目指すというのだ!

平均年齢83歳、最高齢は94歳。振付担当兼マネージャーのビリーは、ヒップホップダンスが得意なわけでもなく、「振付師としては世界でも最低レベル」と認める。ヒップホップを選んだ理由は明らかにされないが、新しいことを試すなら、ほかがやっていない、ワクワクすることに挑戦したかったのだろう。

ビリーは日頃からメンバーたちの生活をサポートしていて、信頼は厚い。だから彼女が「死んだら骨つぼに入れて(ベガスに)持っていくわ」と毒舌をかましても、みんな嬉しそうに笑っている。その直後に始める振り付けは、“ゴースト”の動き。お迎えが近そうな高齢者たちが幽霊の格好をしている絵というのも、かなりシュールだ。

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メンバーたちのプロフィールも多彩で、かつて太平洋での核実験に反対した平和活動家だったり、元オペレッタ歌手だったり、がんサバイバーだったり。共通しているのは、新しいことに挑戦するのと、人と交流するのが大好きなこと。もう飛んだり走ったりはできないけれど、シニアなりの動きを工夫し、振り付けを懸命に覚え、次のステージを目指す。

かくして予選でのパフォーマンスが認められ、晴れて世界大会に特別枠で出場できることに。しかし、渡航費調達のためのスポンサー集めに苦戦するなど、試練は続く。彼女たちの旅が必ずしも順風満帆ではなかったことを、カメラは隠さず伝える。だからこそ、ラストのベガスの舞台で見せるパフォーマンスと表情が一層胸を打つのだ。

そうそう、グループ名は「ヒップ・オペレーション・クルー」。初期のメンバーたちが股関節の手術(hip operation)を受けていたことに由来し、ヒップホップ(hip-hop)とも韻を踏んでいる。老いてなおこのユーモアセンス、見習いたい。

高森郁哉

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