劇場公開日 2016年6月11日

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「若さと自由の輝き」裸足の季節 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0若さと自由の輝き

2016年12月22日
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鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

幸せ

萌える

開幕早々、海辺で制服姿のままびしょ濡れになって遊ぶ美しい5人姉妹。
クッソ、一緒に戯れてぇ…。

絵に書いたような美人姉妹の物語と言うと、昨年邦画でも秀作「海街diary」があった。
が、本作はあちらのような見ていて癒されるハートフルな作品ではなく、瑞々しさの中にも刺がある「ヴァージン・スーサイズ」のような雰囲気を醸し出す。

トルコの田舎町。
両親を亡くし、厳格な祖母と叔父に育てられた5人姉妹。
海辺での一件が事の始まりだった。
男の子たちとただ遊んでいただけなのに、淫らな行為と決めつけられ、以来家に軟禁。
度々抗うが、やがて大人同士が勝手に決めた見合いで、上から一人一人嫁いでいく…。

まず目も心も奪われるのが、眩く光輝く5姉妹の無邪気さと映像美。
とにかく、この5姉妹がヤバい!
皆、揃いも揃ってボリューミーなロングヘアーの美人。
その魅力は「海街diary」の4姉妹や「ヴァージン・スーサイズ」の5姉妹といい勝負。
陽光を浴びながら、生足を重ね合わせて5人で寝そべるシーンは官能的な匂い。
クッソ、一緒に寝そべりてぇ…。
彼女たちの輝きを余す所無く映し捉えている。

あまり馴染みの無いトルコという国。
その田舎町の現状をまじまじと見知らされる。
封建的な制度、古い習わし、厳しい躾…日本だったら一体いつの時代だ?と思わされるしきたりに縛られる。
映画だから過剰に描かれているのもあるだろうが、全てがフィクションではない筈。

その窮屈さ故に中盤突然起きた事件にドキリとした。
5姉妹や映像の美しさを取り除けば、本作は危うさと脆さを秘めている。
そんなデリケートさを、感受性豊かな瑞々しい作品に仕上げた女流監督デニズ・ガムゼ・エルギュヴェンの手腕に魅了される。
話の主軸は末の妹ラーレ。演じたギュネシ・シェンソイのあどけなさと初とは思えない達者な演技力が一際印象に残る。

映画は、ラーレのある反抗と脱出で締め括られる。
思い切った行動だが、これは精神面の自立や意志の強さと感じた。
大人の言う事にいちいち反抗するワガママ娘たちと思われたって別にいい。
満ち溢れた若さと輝きと自由は、誰にも抑えられない。

近大