劇場公開日 2016年6月11日

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「皮肉たっぷり、いかにもウディ・アレンらしいブラックコメディでした」教授のおかしな妄想殺人 スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0皮肉たっぷり、いかにもウディ・アレンらしいブラックコメディでした

2017年11月21日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

笑える

楽しい

怖い

ジャケ写や予告編はラブコメ風だったので、そう言う作風の映画なのかなと思って見始めたら、結局いつも通りのウディ・アレン作品でしたね。
ウディ・アレン監督作品は、ジャンルの枠を超えてもはやウディ・アレンなるジャンルが確立している印象もあったりするのですが、まさしくそんな感じの作品だったかと。
これが違う監督の作品だったら、正直この内容はどうなのかなと思ったかもしれません、でもウディ・アレン監督作品だと知って見ると、妙に味わい深い作品だったような気がしてくるからホント不思議なもので・・・。
序盤から入り込み難い会話劇が続くのもいつも通り、これ最後まで見るの苦痛そうだなと、序盤はそう思いながら見ていましたが、いつの間にかウディ・アレンの作り出す独特の世界観に入り込んで、何だかんだでブラックで不条理なユーモアを楽しんでいる自分がそこにいました。

全てにおいて疲れ果て、無気力状態に陥った主人公エイブが、生きる気力・意義を見出したその理由が何とも皮肉たっぷり。
人って、ちょっとしたことで劇的に変わるものだなと、ある意味感心させられた映画でもありましたが、その見出した答えが何ともウディ・アレンらしい皮肉たっぷりな内容すぎて、笑っていいのやら、どうしていいのやら・・・。
それ、違う方向に持っていけないのかと、もどかしい気持ちにもさせられましたが、エイブの生き生きとした表情を見てしまうとねぇ、しかしそれで男性機能も・・・要は気の持ちようってことなのか・・・。

サスペンス的な部分に関しては正直ザルザルだった気がしましたが、何故かこの作風には妙にフィットしていたようでこれはこれで有りかなと思いました。
ちょっと古臭い完全犯罪、と思いきや・・・な見せ方が、まるで落語のような、ウディらしい味わい深さで、ある程度は楽しめました、さすがに全盛期のようなキレはなくなってきましたが、まだまだウディには頑張って欲しいです。
しかし毎度のことながら、何でこんな主人公が同僚や生徒にモテモテ設定なんでしょうか、思わず苦笑いしてしまうぐらい、ホアキン・フェニックスの腹もポテっと出ていましたが(役作りですよね?じゃなかったら悲しいですから)、やはり女性はどこか妖しげな男に惹かれてしまうものなのでしょうか、優しいイケメン君よりお腹ポテっとな変人とは、いつも通りウディ・アレンのおかしな妄想が炸裂でしたね(ある意味邦題通り!)

エイブに惹かれる学生を演じたエマ・ストーンも美しくて目の保養になりました、さすが女性を見る目だけは確かなウディだけに、エマがホント美しく撮れている、その表情の変化が作品そのものを表しているようで、分かり易かったのも私的には好ポイント、でも、エマは嫌悪感を示した顔がちょっとブサ・・・いやブサ可愛いと言っておきましょうか。
結局哲学的なようで、その実は・・・な感じが皮肉たっぷりでしたね、ちょっと大味になるラストもこれはこれで面白かったです、小道具の使い方もナイスでした。

スペランカー