スポットライト 世紀のスクープのレビュー・感想・評価
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アメリカはプロテスタントが多数派だと思っていたが
そんな単純でもなく、ボストンはアイリッシュが多くてカトリックが多いとかだろうか。
それはさておき、2023年時点で思い返してみると、また新たな感慨もある。派手さはないが、本当に堅実に丁寧に作られているように思った。最後のアレで余計に恐ろしい。
これを観てから『2人ののローマ教皇』を観ると良い。
タブーに踏み込んだジャーナリストに敬意
カトリック教会の神父らが長年に渡って、子供たちに性的虐待を行っていたという聖職者の犯罪行為について、切り込んだジャーナリストたちの活躍を描く。日本でもジャニーズでの性的虐待が、噂されていたところにBBCからの外圧があって、やっと報道が腰を上げたというところと重なっ
て、大変興味深かった。マスコミ業界も、自分たちの利害関係があって、なかなか報道できないネタも多数あるのだと理解している。ウクライナ戦争、新型コロナウイルス感染症、国際情勢、食品や添加物、農薬問題などなど。報道の自由が、どこまで保障されているのか、今の社会は大いに怪しい。
この映画のボストングローブのように、市民の立場に立って、悪事を追及できるようなマスコミがあって欲しいと思う。薄々と何かおかしいと感じながら、大量に流される情報に受け身になって、深く掘り下げないで生活していると、そこにある問題に気づけない。
この映画が描く恐ろしことは、神父たちの犯罪を隠蔽することで、被害者たちは、この後もトラウマ等に苦しみ、アル中や薬漬けになったり、自殺してしまっても、決して明らかにされないことだ。報道する側が選択しなければ、まるでその事実が存在しなかったのように闇に葬られて、そのまま社会が存続していくことだ。
大きな権威を告発するには、膨大な資料と調査、聞き取り、判例、協力者等が必要であるということが、この映画を通してよくわかった。映画を視聴しながら、このボストン・グローブの記者たちの長期にわたる取材に敬意を表したくなった。現代人が見るべき映画と確信した。
すぐに記事にしたい!
という部下の思いを冷静に受け止め、この問題の根本に取り組もうとするデスク、ロビーにプロを、感じた。
また、これが報道の本懐、と気づかせる。
正しいとのほ正しい、悪いものは悪い
そして正す、
当たり前のことができない世の中。
スポットライトチーム、本当に立派です。
報道の在り方
私自身はキリスト教徒でも他の宗教に強く傾倒しているわけでもないので「神聖であるべき神父が・・・」の部分は、相当ショッキングなのは間違いないだろうけど、そのスキャンダラスさの度合いは計り知れない部分があるんだけど、それにしてもよくこんなセンシティブでタブーとも言えるテーマを映画化したものだ、と感服してしまいました。社会的なインパクトや興行的なリスクなど考えるとその勇気は相当なものですよね。
アメリカで実際に起こった「多数の聖職者による児童への性的虐待」というあってはならない事件を映画化した作品なんだけど、派手な演出や脚色がない(たぶん)ことがさらに展開を鬼気迫るものにしてました。結局、こういう事件っていつも標的にされるのは家庭環境や経済的に問題のあるような社会的弱者で、必ずそこには自分の立場を利用し相手の弱みにつけ込むような非道な奴らがはびこっているんですね。
今、日本でも新興宗教の二世問題や芸能事務所の児童性虐待問題で揺れ動いていているんだけど、果たしてこういった由々しき問題が正しく報道され我々一般国民に伝わるのかな。結局、文春みたいな野次馬相手の媒体に、おもしろおかしく報道されて何も解決されないまま、また同様の大きな事件が起こるまで忘れ去られてしまうんじゃないのかな。
もう一つ考えさせられたのは報道の在り方について。勇気をもって社会悪に向かって新聞という媒体を使ってその実態を世間に知らしめた記者たち。これはこれで勇敢な行動なんだけどメディアって一方通行で加害者と言われてる人たちの中には言いたいことも言えずに涙をのんでる人もいるんだろうなって。もっと言えばこのほぼドキュメンタリーに近い映画もアカデミーまで獲って世界に向けてこの事件について問題を投げかけたんだけど、やっぱり映画も一方的な媒体でその裏にはいわれもない不利益を被っている人もいるんだろうなと思うと、本当に怖いことですよね。考えすぎかな・・・
仕事について考えながら観た。
そんなに昔の話ではないことに驚く。
新聞記者が事件を明らかにしようと、それぞれの想いを持って行動している姿にぐっと来た。
全くの異業種であるのに、自分の仕事について考えてしまった。
自分は全く信仰心はないが、強いもの、有り難いと思わされる(思ってしまう)ものへ謙ってしまう心理は良くわかるので、被害者へのインタビューのシーンは観ていて泣きそうになった。
登場人物の関係性が少しわかりにくかった。
難しめだった(笑)、
やるせない、いかがわしい実話に基づく作品。
登場人物多め?だったりで、しっかり見てないと流れも話の内容もわかんなくなる(笑)
でも、いつの世もどこでも、こんないかがわしいことや、そのあとの隠蔽、権力うんぬんはあるもんだな、と。
見て見ぬふり
をしていたのは、カトリック教会組織だけでなく、そこに通わせる親や街の関係者、少しでも携わったことのある全ての人、つまりそれは我々であり、私自身ということである。小児性愛者による虐待だけでなく、学校でおきるイジメや、内ゲバ、会社組織でのパワハラなど、人間の闇が浮きぼりになり、自分自身の過去と向き合うことを突きつけられた映画だった。
信じるものから裏切られる真実
2023
29本目
実話であり、掘り下げれば掘り下げるほど悲惨な事実が出てくる。実際、日本でもあった話。
無教徒の多い日本では、聖職者、神父に対してもさほどの思いも自分はない。
しかし貧困やイジメなど心が荒んだ時に神父が助けてくれる。そんな子供達には神父=神となる。
その神の性的虐待…
まともに生きて行く事が出来ず、麻薬や自殺をした人も少なくない…
こんな事実が何十年もカトリック教側で隠匿されつづけた世界。
神父が何故、子供に対して性的虐待を行ってしまうのかについては詳しく掘り下げられてはいないが、世界中の聖職者5~6%にその疑いがあるとの事だがその理由は…?
本当に簡単な話ではない。
本当に「世紀のスクープ」でした
【鑑賞のきっかけ】
アカデミー作品賞受賞作として、注目はしていたものの、未見であった本作品。
動画配信で鑑賞してみることにしました。
【率直な感想】
「世紀のスクープ」という副題は、邦題特有のものですが、この表現に偽りはない作品でした。
私は当初、ある一人の神父が、子どもたちへの性的虐待を行っていて、それを報道によって明らかにしていく物語かと思っていました。
ところが、一人どころか、何十人という神父が性犯罪者であり、最後のテロップでは…驚くべき数字に。被害者数もとてつもない数に。
鑑賞後、ネットで調べていたら、この「世紀のスクープ」の影響は、現実世界で、地球的規模で広がり、世界各地でも神父による同様の性的虐待があることが分かって、遂には、ローマ法王がカトリック教会全体の見直しに乗り出すまでになり、その見直しは、2020年代に入っても続けられているようです。
日本はキリスト教信者が割合として少ないせいか、報道されておらず、世界的な騒動になっていることを知りませんでした。
ということで、ここで一見の価値ありとして、レビューを締めくくることとなっていたことでしょう。
もし、公開当時の2015年に鑑賞していれば。
しかし、2023年現在の私の脳裏には、2022年に日本中を騒然とさせた、あの宗教法人のことがあります。
本作品とは被害の内容が違うけれど、類似している部分もあります。
それは、信者の子どもたちが被害者になっていることです。
信者が自分が信仰している宗教を、子どもにも信仰してほしいと考えることは理解できることではあります。
ところが、信仰によって豊かな人生を過ごす可能性のあった子どもたちが、その宗教に関わることで、逆に、その後の人生がうまくいかなくなるような精神的ダメージを与えられてしまう。
これほどの悲劇があるでしょうか。
2022年の報道を目にして、私は、国内でそうした悲劇が生まれていることに愕然としました。
そして、今回、被害の内容は違うけれど、「精神的ダメージ」を与えているという点で共通の悲劇が、世界中で起きていたことを知ったのです。
【全体評価】
本来、心の癒しを与えるはずの宗教が、精神的ダメージを与える側になっていたという衝撃。
「報道の自由」のあるメディアが、不正をきちんと報道することで、社会を変えるきっかけを作ったというすばらしい実話をベースにしています。
アカデミー賞作品賞受賞も納得の作品でした。
実話をドキュメント風に描いた作品
アカデミー作品賞受賞作品ということで期待して鑑賞。
カトリック等々宗教に馴染みがあればこの実話は衝撃的で感情も高ぶると思うが、私のようにあまり馴染みがないと置いてけぼり感あり。本当にひどい事件だとわかりつつも、身近な感覚がないためこの作品の訴えるところにうまく入り込めない。
話題作であり全体を通してしっかり作られているが、流れがドキュメント風のため出演者の演技力が最大限に活かされず、私的には淡々とした印象だったかな。
負の連鎖になりませんように
始まってしばらくは、人の顔と名前がぐちゃぐちゃで、ついていけてなかった。淡々と事実を追い、スクープをあげるのではなく、本丸を落とすまで妥協しなかったのがすごい。粘り強いわ。
清く正しく美しく。そうありたいと努力していても、やはり折れることもある。それを自分に向けるならよいが、弱い立場の子供に向けるのがイカンのよ。それがバレてもクビにならないから、そりゃ止めないわな。宗教も組織となれば、腐っていくのだろう。
被害にあった子供たちが、自分を責めず、自分の人生を生きられることを祈る。起こったことを忘れるのは無理でも、許すことはできると思うから。
BS日テレ日曜ロードショーを録画で。
報道の力を描いた映画
宗教団体の闇は日本だけではないようだ(もちろん、すべての宗教団体がそういうわけではないのだろうけれど。)。
まるでドキュメンタリーのように緊張感、緊迫感が伝わってくる良作でした。
正義と平和を守るのは武力ではなくて報道の力だと思う。報道の自由のない国は、独裁や無秩序が蔓延る。
レイチェル・マクアダムスに魅了されました。
記者たちの挑戦
ボストングローブ紙は、リーヴシュナイダー扮するマーティバロン局長に代わり協会の虐待問題をスポットライトでとらえようとした。新聞社が協会を訴える。しかし、性的虐待の対象者は子供たちだ。マークラファロ扮するマイクレゼンデスが取材に当たった。被害者の話だけでなくしっかりした証拠がつかめるのか。神父なのに立場を利用して子供たちに迫るなんてね。それも13人も。誰にとっても驚きの人数だ。協会は何でも出来る。記者たちの挑戦は極めて重要だった。
絶対てきなもの。
賞を獲ってるだけあって、良くまとまった映画でした。
安易な性描写もなく、あくまでもジャーナリストの目線で書かれていたのが印象的でした。
子供はなぜ親に虐待されても言えないのか、幼いから、怖いから、逃げ場がないから、助けがないから、たぶんそれでも親だから。それらすべてだろう。
キリスト教徒にとって神父は、親同然それ以上かもしれない、親に替わりがない様に、神の替えなどないのだ。
信者は、神父のすることを非難することなどできるはずもなく、よりその罪は重く、信仰を立場を悪用したその卑怯な手口は許し難く、辛くてたまらない。
今の教皇さまはこの問題に14年たってやっと本気で取り組み始めている。
事実があるなら、神父たちは、自分とむきあってその職を離れて欲しい。
信仰は赦しを私たちに試練として与える。
罪には罰と赦しが必要で、ただ、赦すのは被害者であって加害者やその他ではない。罪があるならきちんと罰を受ける覚悟を持ってもらいたい。
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