劇場公開日 2016年6月25日

  • 予告編を見る

「「なんかおもしろいこと、ねーかなぁ」 これが高校生の頃の僕の口癖で...」ふきげんな過去 Cディレクターシネオの最新映画レビューさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0「なんかおもしろいこと、ねーかなぁ」 これが高校生の頃の僕の口癖で...

2016年7月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

「なんかおもしろいこと、ねーかなぁ」
これが高校生の頃の僕の口癖でした。
主人公のふきげんな果子(かこ)も、
「どうせ想像する範囲内のことしか起こらない」と
無力感にあふれてました。

なんかつまんないけど、
べ〜つに何にもやりたくないわ的なのは、
今っぽいのかも。
映画では
リア充的に描かれやすい高校生だけど、
終始脱力的で何かに苛立ってる彼女の方が、
現実的ですよね。

てっきり予告編で、
日常の家族ものだと思ってたら、
シュールで上質なファンタジーでした。
何かが起こって、
今の状態がぶっ壊れるのを
待ってる主人公に、
ワクワク感が続く。

そこに非現実的なお話と世界観が、
違和感を無視して入ってくるから、
全編にわたって不思議ちゃんです(笑)
劇場じゅうがクスクスと笑ってるカンジって、
暖かな気持ちになりました。

過去と未来、コドモとオトナ、日常と非日常、
不機嫌と解放。
意図的なコントラストが繰り返されるけど、
さらりとしてるから、
飽きさせずに入り込めますね。

とにかくセリフがリアルで、おもしろい。
果子を中心として、
家族や恋人との生活シズルあふれる会話は、
どこかの家族を覗いているよう。
嘘のない脚本と、
テンポや絶妙な間合いの演出が秀悦ですね。

演技派が揃ったのも、魅力的にしてる。
二階堂ふみさんの
等身大の不機嫌っぷりがよかった。
印象的な2回の二階堂さんの笑顔が、
今でも頭から離れませんよ。
小泉今日子さんの妖艶なカンジも、
さすがですね。
小学生の女の子山田望叶ちゃんは、
主役のふたりと対等な存在感がありました。

思い通りになるわけもない、
つまらない日常の中で、
ちょっとした刺激を求めてる果子。
それって
映画館に足を運んでる
僕たちと同じなんだなって、
思ったのです(笑)

普段の毎日に
少しだけファンタジーをくれるのが、
邦画のいいとこですね。

Cディレクターシネオの最新映画レビュー