草原の河

劇場公開日:

草原の河

解説

チベットに暮らす家族の姿を幼い女児の目を通して描いた、チベット人監督ソンタルジャの長編2作目。厳しい自然の中で牧畜を営む一家。幼いひとり娘は、母が新しい命を授かったことを知り、生まれてくる赤ちゃんに母を取られてしまうのではと不安になっている。村人たちと接することなく暮らしている父のグルは、かつて家を出て僧侶になった祖父から十分な愛情を与えられなかったという思いが強く、自分の父親をいまも許せないでいた。それぞれがぎくしゃくした関係のなかで生きる祖父と父、父と娘。そんな家族三代の関係が変化する時がやってくる。娘役のヤンチェン・ラモは上海国際映画祭2015で最優秀女優賞を受賞。日本では15年、第28回東京国際映画祭のワールド・フォーカス部門で上映(映画祭上映時タイトル「河」)。17年、日本で初のチベット人監督作品として劇場公開される。

2015年製作/98分/G/中国
原題:河 Gtsngbo
配給:ムヴィオラ
劇場公開日:2017年4月29日

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映画レビュー

4.0何事にも代えがたい豊かな後味をもたらす秀作

2017年4月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

幸せ

チベット映画人による長編作が日本で劇場公開されるのは初だという。ソンタルジャ監督はアムド地方に生まれ、大学の美術科で学んだ後、奨学金を得て北京電影学院に進んだとのこと。すべての原点には幼い頃に観た移動映画の記憶があったそうだ。

本作の映画に触れて、キアロスタミを始めとするイラン映画を思い出した。グローバル社会、情報化社会の速度とは比べものにならないほどゆっくりとした時間。幼い子供の目線を借りて見つめる世界。そんな子供の一途さにほだされるように変わりゆく大人たちの心。20年前はちょっとしたブームにさえなっていたイラン映画も今ではほとんど上映されなくなり、この類の作品に触れたのは本当に久しぶり。無限に広がりゆく厳しい自然環境で浮かび上がる親と子、さらに世代を超えた祖父と孫との親密な絆が、何にも代えがたい豊かな後味をもたらしてくれる。シンプルだがそのメッセージは強くて普遍。ワンシーン、ワンシーンを大切に見つめたい映画だ。

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牛津厚信

4.5チベットの自然と生活と、子供の目線

2021年4月13日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

河は、誰にでもある「世代間の意識格差」
主役の6歳くらいの子供を通じて、子供目線や感覚が勉強できる。
子供にも生きることを伝えてあげられる、秀作。

ぜひ大切なお子さんと一緒に見てください。
社会を達観できる、優秀な子に育つと思います。

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国立大学国際ビジネス研究会

3.5チベットを知る

2017年7月20日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

チベット人監督の中国映画。
どのようにしてこういう映画の評価がちゃんと高くなっていくのだろう。わかる人にはわかるってこと?
自分も観終わって、観た甲斐はあったと思う。きれいな映像、チベットの自然を観続けて、あたかも行ってきたかのような気がするし、ストーリーもそれなりにあったし。
ただ、エンタテインメントに慣れた俺は、この映画に4はつけないだろう。
こういう映画は叙情性が高いっていうのかなぁ。そういう面を評価する力が、自分はまだ少ないのかな。
主役の子役、父親の演技も上手というか、伝える力が強く、とてもいい映画だったことは、間違いないです。
映画も見て、そしてチベットに旅行に行ったら、それなりのチベット通になれそう。

ちなみに今回ジャックアンドベティ初見参。この横浜市黄金町という町が赤線後のその手の猥雑な町から脱却しようとしている歴史を知った。

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CB

3.0いずこも同じか

2017年5月29日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

チベットで放牧を生業とした生活って、こんな感じなんだというのがまず最初。一族三代それぞれの葛藤は、いずこも同じってことかというのが2番。悩んだ時に語り合う自然の雄大さ、流れる時間のゆったり感がうらやましい。

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こばりん
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