ボーダーライン(2015)のレビュー・感想・評価
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究極の我田引水は良いが。
・結末がなんとなく分っちまうし、悪者が弱っち過ぎちゃう。
・『娘を見ている様だ』臭すぎる台詞。
・『ここは狼の土地だ』相変わらず、捕食者を悪者にする。じゃ、お前は何なんだ!さしずめ、自由と民主主義の仮面を借用したク◯野郎!
究極のズッコケ映画。
やっば、タランティーノだねぇ。
メ◯シコなんだから、プロレスを勉強しないと。
『情け無用◯ジャンコ』には程遠い。
原題 Sicario
製作年 2015年
製作国 アメリカ
劇場公開日 2016年4月9日
上映時間 121分
映倫区分 R15+
とにかく脚本が素晴らしい
採点4.3
麻薬カルテルとの争いを描いた作品。
あの冒頭の吊るされている死体。
あれメキシコだと本当にあるそうで、警告の意味で歩道橋からよく吊るされるみたいです。
カメラがその緊張感をよく捉えていて、街を走ってるだけなのにピンと張った空気がすごいです。
印象的だったのが夜間の作戦ですね。
夕方から日が暮くれ闇に、そこから暗視スコープの映像になる。
これが段階を追った映像で、とても良い緊張感を出していました。
それと、とにかく脚本が緻密で素晴らしいですね。
仲間なのか敵なのか、善なのか悪なのか、全部が曖昧な位置ですごく引き込まれました。
デルトロの実に淡々とした芝居も良かったですね。
いや、これは面白かったです。
ヨハン・ヨハンソン最高
日本では見慣れない砂漠的な乾いた映像と
ヨハン・ヨハンソンの重厚かつ宇宙っぽい
不協和音めいた音楽が最高で、サントラ的に
何回も観ている。
麻薬カルテルや国境問題、複数組織の
玄人の共同作戦が絡み合って誰も幸せに
ならない感じがめちゃ面白かった。
エミリー・ブラントが良かった。
女性FBI捜査官が元々神経衰弱気味なのに、
とことんやられてしまうのがいい。
法律やルールブックが通用しない世界で、
パッと見女性が主役に見えるが、実際は
なんら役にたっていないのがいい。
ある意味リアルが描かれていたと思う。
打ちのめされているのが痛々しい。
気持ちは分かるが綺麗事だけで話が通じる
世界じゃなく地元警察やFBI的仕事は出来ても、
軍事作戦や闇世界の汚い世界ではジョシュ・
ブローリンやめちゃ怪しいCIAドノヴァンや
何者?的なデル・トロが活躍するリアルな感じ
がいい。
淡々とした日常(日本からしたら非日常すぎるが)
淡々とした作戦、淡々とした挫折、
ただの作戦が一つ消化されただけな結末で、
完全な勝利がないのがいい。
デル・トロが復讐を成し遂げたはずだけど
多分もう何も感じていない感じがいい。
最後、サッカーをしてた息子もきっと恐らく
父親と同じように汚職に手を染めるかもしれ
ないし、ギャングや組織の人間になるかも
しれない救いがないほの暗さがまた良かった。
銃撃の音が日常の平和な一コマがみんなが
逞しくて悲しい。
原題の"シカリオ"もカッコいいけど、
1作目に関しては邦題の"ボーダーライン"も
色々意味深で良かった。
エミリー・ブラントを主役とするなら
明らかなラインが他の人達と比べてあって
多分良心を残した人間には踏み越えれない
世界なんだろう。
そこでも突き抜けた存在のデル・トロが
2作目でエミリー・ブラントポジションに
なるのが解せない。
自分の中では2作目はヨハン・ヨハンソンも
亡くなっていたし無かったことになっているw
3作目が進行中らしいが、観たいような観たく
ないような。
狼の死刑宣告。 いや、お前が主人公だったんかいっ!!
アメリカとメキシコ麻薬カルテルの抗争を描いたクライム・サスペンス。
優秀なFBI捜査官のケイトは、麻薬カルテルのボスを逮捕するため国防総省の顧問マットが率いる特別捜査チームに加わるのだが、そこで彼女は想像を遥かに超える”戦争”を体験することになる…。
監督は『プリズナーズ』『複製された男』のドゥニ・ヴィルヌーヴ。
脚本は当時俳優として活動していたテイラー・シェリダン。後に映画監督としても大成する。
FBI捜査官、ケイト・メイサーを演じるのは『プラダを着た悪魔』『オール・ユー・ニード・イズ・キル』の、名優エミリー・ブラント。
チームを指揮する国防総省の顧問、マット・グレイヴァーを演じるのは『グーニーズ』『メン・イン・ブラック3』のジョシュ・ブローリン。
アリゾナ州の警官、テッドを演じるのは『ナイト ミュージアム2』『ウルフ・オブ・ウォールストリート』のジョン・バーンサル。
捜査チームに加わる謎のメキシコ人、アレハンドロ・ギリックを演じるのは『ユージュアル・サスペクツ』『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の、オスカー俳優ベニチオ・デル・トロ。
うわぁ、面白ぇ……。
メキシコ麻薬戦争を舞台に、二転三転する状況に翻弄されるFBI捜査官ケイトの成長と活躍を描く物語。…かと思いきや。まさかそう来るか〜!
全く先の読めない物語運びと、硬質かつシリアスな作劇、そしてバキバキにキマりまくった映像美。何から何まで一級品。これはちょっと文句のつけようがないんと違う?
監督はドゥニ・ヴィルヌーヴ。彼の作品は『ブレードランナー2049』(2017)しか観たことが無く、「退屈なSF映画を作る人」という程度の認識だったのだが、まさかこれほどまでに本格的なクライムムービーを作れる監督だったとは!!心底驚いてしまいました。正直こういう路線の方が向いてるぞドゥニさん。
ドキュメンタリーかと勘違いしてしまうほどにリアルで緊張感のある絵作り。その丁寧な仕事ぶりと手腕に惚れ惚れしてしまった。
とはいえ、確かにシリアスな雰囲気と上品なルックにはドゥニ・ヴィルヌーヴらしさを感じるものの、この作品からはテイラー・シェリダンの味を強く感じた。
彼の脚本家デビュー作でもある本作。全てを観ているわけではないが、鑑賞した範囲で言えばシェリダンの作る映画はいずれも極限の状況下で繰り広げられる死闘と目を覆いたくなるような人間の業が描かれている。
西部劇の正統進化形とも言える、地に足のついた骨太さが彼の作品の魅力だが、脚本家としてのみ携わっている本作もまさにザ・シェリダンといった味わいで、一筋縄ではいかない過酷なメキシコ麻薬戦争の現状が確かなタッチで描き出されていた。
デビュー作から作家性を醸し出し、しかもこのクオリティで仕上げるって、この人マジで天才なんじゃないの?
ヴィルヌーヴが監督、シェリダンが脚本、そして撮影が名匠ロジャー・ディーキンス。この座組に加えて主演がエミリー・ブラントとベニチオ・デル・トロ。そりゃ映像も物語も凄いことになるよねぇ…。
物語の見せ方も上手い。
主人公ケイトは右も左も分からないまま、カルテルとの戦いの渦中に巻き込まれる。ケイトと同じように、観客も何が何やらよくわからないままこの麻薬戦争の只中に放り込まれる。観客はまさに彼女の目と耳を通して、彼女とまるで同じ心境になりながらこのメキシコ麻薬戦争という出来事を追体験出来る訳です。観ているうちにケイト=自分のような感覚に陥ってくるので、凡百のクライム・ムービーと比べるとその没入感は段違いなものになっていると思う。
しかし、終盤になるとガラッと様相が変わる。ケイトはダミーの主人公であり、実の主人公はギリックであることが判明するのである。
ギリックが主人公になってからは、五里霧中だった物語の焦点がバシッと定まり、ストーリーの骨子が明確になる。まさに暗いトンネルを抜けたかのように視野がスッと開けるといった感じであり、ケイトが暗いトンネルを抜けるとそこには…というストーリー展開と観客の心理の変化が完全にリンクしている。このクールすぎる演出に大いに興奮してしまった🤩
残念だったのはエミリー・ブラントの肉体。せっかく『オール・ユー・ニード・イズ・キル』(2014)であれだけの肉体美を作り上げたのに、本作では痩せすぎなぐらいに体を絞ってしまっている。
もちろんケイトを演じる上での役作りなんだけど、筋肉フェチの自分としてはムキムキのままのエミリー・ブラントが見たかった。いやほんと、『オール・ユー』の時の彼女の腕立て伏せ姿が美しすぎて、夢にまで出てきたからね。あの上腕二頭筋と三角筋は芸術です!!
もう一つ気になる点を挙げるとすれば、ケイトとテッドの出会いからその結末までがあまりにも性急すぎたところかな。テイラー・シェリダン作品にはお馴染みの俳優、ジョン・バーンサルの登場にはおおっ!となったけど、ちょっとこのシークエンスには取ってつけたかのようなチープさを感じてしまった。
『ブレードランナー2049』の時も思ったけど、あんまりヴィルヌーヴは男女のラブシーンが上手くないような気がする。
と、少し文句も言ってしまったが、これは重箱の隅をつつくようなもの。結論を言えば大満足!キャラクター描写、ストーリー、映像、緊張感、善悪を超えたビター過ぎるエンディングまで、とにかく完成度の高い素晴らしいサスペンス映画でした👏
これは続きも観てみたいぞ!!
女子子供も容赦しないベニチオ・デル・トロによる壮絶な復讐劇に、カルチャーショックを覚えた
ドゥニ・ビルヌーブ 監督テイラー・シェリダン脚本による2015年製作(121分/R15+)のアメリカ映画。
原題:Sicario、配給:KADOKAWA、劇場公開日:2016年4月9日。
ビルヌーブ 監督作品ということで、意外性への期待値が大きいこともあってその点では少々物足りなさも感じた。一方かなり個性的な脚本であり、色々考えさせられる、とても興味深い映画であった。また、ストーリーが込み入っていて理解が自分には難しく、2回見て初めて映像の意味が分かったところも幾つかあった。
FBI捜査官を演じたエミリー・ブラントが主役ということなのだが、視聴者目線で正義のヒト視点もあるよという言わばアリバイ作りの様なもので、真の主役はベニチオ・デル・トロ演ずるSicario(殺し屋)であった。
映画の前半は謎だらけだった彼は、妻と愛しい娘をメキシコの新興麻薬カルテルに殺された元検事で、復讐することを目的で生きている1匹狼のコロンビア人。何処の仕事も引き受けるらしいが、今回はコロンビアの老舗麻薬カルテルに雇われていることが後半になって判明。
その彼の復讐を、当初国防省コンサルとか言っていたCIAのジョシュ・ブローリンたちが、混乱よりも秩序を望む大統領の指示下、超法規の立場で全面的にアシストする。つまり、米国国家組織が隣国で、老舗不法組織を使うことで新興不法組織を壊滅させるという非倫理的な構図。
主役たるベニチオ・デル・トロは、良き父親であることが丁寧に描れていたメキシコ人警官を、いともあっさり予想外に殺害。更に、復讐相手のメキシコ人カルテル親分の家に単身乗り込み、無実であるはずの妻及び2人の息子を、本人射殺の前に、息子だけは助けてと頼む彼の目の前で射殺。コレには、かなり衝撃を受けた。今時、主人公が問答無用の家族全員の皆殺しとはと。新しいかたちのハードボイルド像なのか?
一連の違法行為に納得出来なかったエミリー・ブラントだが、ジョシュからは腕力でねじ伏せられ、ベニチオには防弾チョッキの上からとはいえ狙撃され更に銃で脅迫もされて、抵抗できなくなってしまった。米国人的には、強い力にはもっと強い力で対抗するしか無いということなのだろうか。ただ自分の日本人的感性ではそうではないだろう、何か別のやり方がきっと有るはずという気持ちはかなり残った。テロ事件が契機とは言え、多くの民間人をイスラエルが毎日殺害しているという報道の中、特にそう思いたい自分がいる。
監督ドゥニ・ビルヌーブ、製作ベイジル・イバニク 、エドワード・L・マクドネル 、モリー・スミス、 サッド・ラッキンビル、 トレント・ラッキンビル、製作総指揮ジョン・H・スターク、 エリカ・リー エレン・H・シュワルツ、脚本テイラー・シェリダン、撮影ロジャー・ディーキンス、美術パトリス・バーメット、衣装レネー・エイプリル、編集ジョー・ウォーカー、音楽ヨハン・ヨハンソン、音楽監修ジョナサン・ワトキンス。
出演
エミリー・ブラントケイト・メイサー、ベニチオ・デル・トロアレハンドロ、ジョシュ・ブローリンマット・グレイバー、ビクター・ガーバーデイブ・ジェニングス、
ジョン・バーンサルテッドジョン・バーンサル
ダニエル・カルーヤレジー・ウェインダニエル・カルーヤ
ジェフリー・ドノバンスティーブ・フォーシングジェフリー・ドノバン
主役陣達皆の活躍ぶりが見どころ
派手なドンパチが随所にありなかなかの迫力だったが、家族絡みの残酷な場面や表現等が結構あったので、個人的にはスカッとはできなかった。ただし、主役の女性捜査官だけでなくその他主役陣達皆の活躍はとても格好良く描かれていたと思う。
ストーリー的にも終始ハラハラドキドキの展開で、あっという間にラストへ。
本作は映画的としては雰囲気的に少々物足りなさを感じるものの、ドラマ的にはじゅうぶん楽しめたかな。
でも観終えて思うこと、やはりベニチオ・デル・トロの存在感が凄まじ過ぎるんだよね。結局は彼の出演作は全て、良くも悪くも彼の独壇場になってしまう。
エミリー・ブラントを主演に迎え、アメリカとメキシコの国境地帯で繰り...
エミリー・ブラントを主演に迎え、アメリカとメキシコの国境地帯で繰り広げられる麻薬戦争の現実を、リアルに描いたクライムアクション。
正義と悪の狭間に
揺れ動く感情が描かれていました。
メキシコの麻薬捜査に挑むFBI捜査官のケイト
冒頭部分から無惨な死体を発見して
建物に踏み込んだ警察官たち。
仕掛けられた爆弾により爆発するシーン!
メキシコの治安の悪さ、違法が罷り通るような警察官の汚職!
テーブルに並んだ『お食事』を前に銃で撃たれる家族たち。
警察官の汚職に気が付いても、それを見過ごさなければならなかった現実。
アレハンドロの射殺。
マットの拷問。
レジーにハメられたかのような策略も
あり違法と知りつつ、銃殺することが
出来なかったケイトの口惜しさ
思うようにいかない気持ちが伝わってきた
ストーリーでした。
現実を見つめて観るか❓‼️視点で観るか‼️❓
現実の、メキシコ麻薬カルテル対策を米国はテロ対策と同等と位置付けているため国防総省陸軍デルタフォースが中心となり平和時の法を逸脱して行動するわけです。
でも、この映画のヒロインはそのことを知らされていないていで進行していくため、わかりにくいのです、現実に作戦を知らない構成員がいれば致命的ですが、ミステリー、サスペンス的にしようとする製作意図です、失敗してますが。
メキシコの腐敗度にはリアリティがありますが、作戦のリアリティはありません、もう少し計画的です、成功不成功を別にして。
復讐も中心に据えていますが、軍事作戦ですから、命令系統を遮断すると滅されることになります。
そんな現実との乖離を把握していれば、疑問なくそこそこ楽しめるでしょう。
まあ、わかりにくい映画ではあります。
映像と音響でアカデミー賞ノミネートですから、映像とヒロインの演技を楽しみましょう。
後味の悪いラスト
冒頭の衝撃シーンから、緊迫感、緊張感の連続で、最後まで画面に釘付けだったが、後味の悪いエンディングだった。結局、真っ当な人間だったのは主人公のエミリー・ブラントと相棒の黒人だけだったということか?
主人公が法を無視しても悪い奴らをやっつけるというヒーローものの映画は結構あるが、その類だったら、ベニチオ・ベル・トロが主人公だ。一匹狼で敵陣に乗り込むのは、昔で言えばマカロニウェスタンのヒーロー、最近の映画ならイコライザーのデンゼル・ワシントンかな。ところが、この映画ではエミリー・ブラントが主人公なので、結局彼は最後に偽りの報告書にサインを彼女に迫る、悪役になってしまった。つまり、エミリー・ブラントの位置づけがイマイチ曖昧のように感じる。そのせいか、次回作では彼が主人公になってるようだ、まだ未見だが。
喋らないデルトロの存在感
麻薬カルテルに対するFBIってだけで
日本人の私としては
十分「映画の中だけのお話」だが、
そのFBI捜査官ケイトをもってして
”なにが起こってるか分からない!”
ってほど別世界の麻薬組織の展開。
という映画を観ると、
あまりに非日常すぎて感情移入できない
場合が多くなりがちだか
そこはさすがドゥニヴィルヌーブ。
分かりやす―く、
「次はこうなるよ」
「この人はこうなるよ」って
説明描写を入れていて、置いて行かれない。
そしてずーっと不気味な存在なデルトロ。
全編通じた不気味なBGM。
緊張感がほどけずに観ていられる。
そして、「ボーダーライン」というタイトル。
秀逸な邦題。
素晴らしい。
2023 63本目
今回で3回目
個人的に傑作ですね
エミリー✕ジョシュ✕ベニチオ この3人の
出演てだけでもう笑
スリルあり、音楽も素晴らしい。
ドゥニは現在最高の監督の1人ですね
暗視ゴーグル?視点は斬新でした
原題は殺し屋
2022年10月23日
映画 #ボーダーライン (2015年)鑑賞
メキシコの麻薬組織の摘発のための捜査チームに派遣されたFBI女性捜査官。そこでは、強引な捜査が行われていて・・・
#ドゥニ・ヴィルヌーヴ 監督が巨匠一歩手前で撮った作品
#エミリー・ブラント のアクション映画もいいね
犯罪の巣窟へ
エミリーブラント扮するFBIケイトメイサーが踏み込んだ家には無数の死体が出た。仕掛けられた爆弾で2人が亡くなった。ケイトは、身元のヒアリングを受け、メキシコカルテル捜査の連絡員に選ばれた。
何故か秘密裡に事が運ばれ無気味な感じだね。利用されたら利用された基を知る。犯罪の巣窟へ踏み込む気持ちは如何なるものかな。ちょっと位置関係が難しかったね。
此処は狼が棲む土地
強い信念を持ってFBI捜査官として挑むケイトをエミリー・ブラントが演じる。悔しさを滲ませ嗚咽する姿が切なく美しい。
作戦メンバーの一員となるアレハンドロをベニチオ・デル・トロが渋い演技で魅せる。深い悲しみを帯びた瞳が印象に残る。
通路を進む赤外線映像がリアルで怖い。
ーCIAが国内活動するにはFBIの同行が必要だからだ
BS-TBSを録画にて鑑賞 (吹替版)
根深い社会問題に解はあるのか・・
麻薬ビジネスを根絶できないとしたら、勝手やり放題のメキシコカルテルよりまだ管理可能なコロンビア組織に首を挿げ替える方が得策と考えたCIA、ただしCIAが国内で合法的に動くにはFBIとの共同作戦しか手が無い、そこで与し易しと選んだのがFBIの女性捜査官ケイト(エミリー・ブラント)でした。ところがCIAのマット(ジョシュ・ブローリン)の強引な作戦を知るにつけケイトは思ったよりストイックで言いなりにはなりません。
CIAも自ら暗殺に手を染める訳にはいかなかったのか実行犯に選んだのが麻薬カルテルに家族を殺された元検察官アレハンドロ(ベニチオ・デル・トロ)、原題のシカリオは暗殺者の意味らしい。
アレハンドロはケイトに、「ここは狼の住む地、君は狼にはなれない、法と秩序が欲しいなら小さな町に移るんだね」と言います。それでは何も解決しないことは自明です、狼より始末が悪いのが人間でしょう。極論すれば余計な雑味を入れず悪を征する痛快アクション映画の方が好みです。
毒を持って毒を制するメキシコ麻薬戦争の過激さだけでも十分映画になるのにわざわざ良識派市民のアリバイの如く葛藤する捜査官を加えたのは正統派社会派ドラマに仕立てようということか、どう思うかは観客に委ねようと曖昧な結末、確かに取り締まり強化だけでは根本問題は解決しないことは分かるが戦いはいつまで続くのだろうか・・。
映画は現実より奇なり
麻薬カルテルから家族を無惨に殺された、コロンビアの検事アレハンドロ。 復讐のために人間を捨て、泣く子も黙る修羅と化したー。
そこに、正義はあるのだろうか。
そこに、愛はあるんか、いや、あるのだろうか。
ベニチオ・デル・トロが、この際どい人物像を見事に演じている。 感情移入し辛いキャラクターだが、 脳裏に焼き付いて離れなくなるほどのインパクを放つ。 リアリティを持たせるのが難しそうなこの役に、よくもあれ程の説得力を与えられたものだ。 チャームポイントである?重く鋭い目つきのなせる業かー。
デル・トロと共に物語のリアリティを固めるのが、エミリー・ブラント演じるFBIの生え抜き捜査官。 状況の見えない場に放り込まれた捜査官の緊張と葛藤を、この俳優がまた見事に表現している。 この二人の仕事が、作品の完成度を高めていることは間違いない。
作品賞や撮影賞などの受賞で評価されているようだが、 個人的には、脚本がもっと評価されてしかるべきだと思う。 ちなみに、テイラー・シェリダンは、人間の心理描写が巧な脚本家で、「最後の追跡」という、大変面白い作品の執筆もしている。
メキシコや中南米の社会情勢を考えれば、この作品のような話が本当にあったとしても不思議ではない。 もちろん、映画と現実とは違うだろうが、この作品は、映画だからこそ表現できる「現実以上のリアリティと衝撃」をものにしている。
非常に見応えのあるサスペンスドラマである。
全237件中、1~20件目を表示