「周囲に流される生き方の心地よさ」ぼくとアールと彼女のさよなら masakingさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0周囲に流される生き方の心地よさ

2016年8月30日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

笑える

幸せ

近頃は自己目標を設定し、そこに向かって自らのキャリア設計をする生き方が推奨される。
しかし、この作品の主人公は、母親に言われて仕方なく白血病の少女のもとへ出向き、「君と一日一緒にいないと母親がマジでうざいんだ。レブロン・ジェームズ並に」と少女を説得し、しぶしぶ共に時間を過ごすところから関係を始める。
完全な無気力、無目的、受動的な生き方。
でも、そういう時期、そういう生き方は確実にあるし、だからどうした。目標に向かって生きるだけが人生ではない。周りの状況に流され、毎日を事無くやり過ごすことに集中した生き方にだって、必ず何かしらの意義はあるはずだ。そう思わせてくれる映画。
自分の価値は、自分が全て知っているわけではない。だから、まずは流されてみよう。そうすることで、これまで素通りしていた物事の中に、思いがけない価値を見出すこともあるのから。そう優しく語ってくれるような作品であった。
少女に送った映像作品の完全版がDVDでは視聴できる。よく意味は分からないところもあるけれど、自分の身に起こるモヤモヤを、身近な物に託して表現したような感じがした。どこか、ミシェル・ゴンドリーに通じる作風を感じた。
某放送局の、感動ポルノ的な24時間番組を、妻に強制的に見せられたからか、口直しに最高の作品であった。

Masa_king01
Masa_king01さんのコメント
2018年12月31日

素敵な御子息がいらっしゃいますね。来年もまたよいえいがとのであいがありますように。

Masa_king01
きりんさんのコメント
2018年12月31日

最近、離れて暮らす息子から何かを父親に伝えたいのかオススメ映画タイトルとか、DVD本体とかが送られてくる。
そのひとつがこの映画だった。

自分と息子の人生を明かして語り合う、何か"文通"のようなものを感じます。

いい映画コミュニケーションですよね、これ。
(年末休みでmasakingさんにはいろいろ書いてしまってスミマセン!)

きりん