劇場公開日 2016年1月16日

「この恐怖、傑作」インシディアス 序章 ベチィさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0この恐怖、傑作

2016年11月9日
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鑑賞方法:DVD/BD

監督の入れ替え。1作・2作と同じ監督&スタッフが携わることで成功した作品の場合はあまり歓迎したくない層も居るだろうが、本作では事情が違ってくる。

新たな監督リー・ワネルは前2作の監督ジェームズ・ワンが鮮烈なデビューを遂げたホラーの傑作『ソウ』が同作のパイロット版となる短編撮ったとき既に共同でアイディアを出しており、以降も多くの作品でパートナーの役割を果たしている。恐らくはホラー映画についての理解もかなり相通じていると思われ、このシリーズを引き継ぐなら、間違いなく最適な人材だと感じた。

そういうわけで、雰囲気に関しては旧作をしっかりと受け継いでいるのは間違いない。
当然のことだが世界観は踏襲、このあとに控える本篇のために伏線も設けられており抜かりはない。
ただやはり、前2作と比較するとインパクトには乏しい。
監督として洗練されていない、というのも勿論あるだろうが、しかしこれは前日譚という形で引き延ばしてしまったが故の宿命だろう。

また、やはり演出には携わっていなかったが故なのか、旧2作と比べて、驚かす類の恐怖演出が大半を占めているのが惜しまれる。それはそれで怖いのも事実だが、悪い意味で後を引かない。全体のオカルト的趣向が抑えめであることとも相俟って、初見のときは衝撃を受けるが、あまり記憶に残らないのである。

上階の気配の源を確かめに行った親子が窓を覗き込むシーンの呼吸の巧さには唸らされたが、あとはもうひとつ、という気がする。

とは言え、それでもきちんと恐怖ポイントを多数設け、一つ一つをきちんと活かして見せる手管はさすがに慣れたものだ。
脚本から自身の手で作り上げているからこそ、恐怖の扱いにはほとんど無駄がない。

なかなか辛口な物言いをしてしまっているが、改めて三作通して観るとやはりよく出来ている映画である。
後付けかもしれない序章を違和感なく前2作につなげられる構成力はお見事だし、はじめから長いシリーズにする前提で小出しに見せているとすれば今後も期待して間違いないと思わせる壮大な物語の隙のない魅せ方には頭がさがる。

ベチィ