ヒメアノ~ル インタビュー: 森田剛、壮絶な狂気まき散らす「ヒメアノ~ル」で体現した“普通でいること”

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ヒメアノ~ル

劇場公開日 2016年5月28日
2016年5月27日更新

森田剛、壮絶な狂気まき散らす「ヒメアノ~ル」で体現した“普通でいること”

森田剛吉田恵輔監督作「ヒメアノ~ル」で映画初主演を飾った。役どころは、普段のイメージとはかけ離れた猟奇殺人犯。自らの存在意義を誇示するかのように凶行を重ね、壮絶な狂気をまき散らしていく役に、どのように向き合ったのかを聞いた。(取材・文/編集部)

「話を頂いた時はちょうど舞台をやっていたころで、その時も人を殺す役だったので、その流れでいけると思いました」。森田は淡々と、オファー当時を振り返った。質問にはシンプルな語り口で答え、朴訥とした雰囲気を漂わせたかと思えば、時折り軽やかな笑みをのぞかせ、周囲を和やかにする。一筋縄ではいかない空気感と人懐っこさが同居するたたずまいは、内面に広がる深淵をうかがわせる。

原作は、「ヒミズ」「シガテラ」の古谷実氏が生み出した“実写化不可能”の問題作。ビルの清掃員として働く岡田(濱田岳)や安藤(ムロツヨシ)と、カフェ店員・ユカ(佐津川愛美)のコミカルな恋愛譚が描かれる裏で、ユカを執拗に付け狙う森田正一(森田)の地獄の日々が同時進行で映し出される異色サスペンススリラーだ。

三度の食事をとるかのように、当然のごとく人を殺していくシリアルキラー・森田正一を体現してみせた森田。その不気味さは、“怪演”の言葉がふさわしい。

鉄パイプでの殴打、放火、強姦、銃撃、包丁でメッタ刺し、ひき逃げ……。原作の森田が持つ“動機”を薄め、代わりに暴力性を際立たせたことで、殺人を肯定することなく突き放し、共感不可能なモンスターを創出した。「(役に対し)共感や理解はできなかったです。映画の中の森田正一は、高校時代のいじめが(殺人衝動の根源として)大きかったと思いますが、だからといって人を殺していいわけではない。いじめは、ほとんどの人が大なり小なり経験したことがあると思う」。それだけに精神的な葛藤はあったようで、「1日で3人を殺さなければいけない(撮影)日は、流石に重い気持ちになりました」と話し、「引きずることはないんですが、ちょっとイラッとしたり、違う自分が出てくることが多かったです」と述懐する。

そんな難役に挑む森田に、吉田監督は「何もやらないこと、普通でいること」を注文した。森田は「監督の演出が絶対」とポリシーを打ち明け、「監督の言う『普通』が、やっぱり大きかったですね。(役から逸脱し)変わっていくことが怖かった」と語る。殺しが「普通」のこととなった森田正一になりきるうえで、「衣装」が重要なポイントになったそうで、「暗めの衣装に監督はこだわれていて、衣装合わせに時間をかけた分、スッと入っていけました。セリフのニュアンスも、シーン毎に監督に演出してもらっていましたね」と説明した。

暴力性全開のアクションでも、吉田監督はウェルメイドではない生の迫力にこだわった。「よりリアルに見えるように、ということは監督が特に意識されていたことでした。殴り方や刺し方、体の預け方など、監督から細かく指示があったので、それに応えなければという意識がありました。アクションはもっと動きたくなるんですが、なるべく普通でいるという気持ち悪さにこだわっていました」。演じるうえで過酷だった場面として「警官を殺すひと幕は、体力的に一番しんどかった。あと精神的に疲れたのは(共演の)山田真歩さんを棒で叩くところ」を挙げる。「相手もいるわけだから力芝居で100%は出せないんですが、監督は『100%でやってくれ』と。無茶だと思ったけど、そこも大事だと思ったので、100%でいきました。普段、ポカーンとしているやつから出る必死さを狙っていると思いました」と吉田監督への信頼感をにじませた。

そうしたシーンの連続でささくれ立った心を癒すため、撮影の合間にはペットショップに通ったという。「ちょっと時間が空くと、ペットショップに行っていましたね。現場はほとんどロケだったので、行く先々でリサーチして必ず行っていました」と明かし、「ハードなシーンが多かったから興奮しているし、真逆なことをやっていたほうがいいのかなと。途中で動物を見て、すっと気持ちを落ち着かせて、また次の殺しのシーンの撮影現場に行くという繰り返しでした」と苦笑した。

映画出演は「人間失格」(2010)以来、約6年ぶり。近年は蜷川幸雄さんや宮本亜門らの寵愛を受け、「血は立ったまま眠っている」「金閣寺」など舞台の世界で研鑚を積んだ。宮本が「絶対に世界に通用する才能」と認める表現力が、「ヒメアノ~ル」での“普通でいること”を実現せしめている。

V6」メンバーの反応も気になるところ。「メンバーには見てもらいたいですね。家族に見てもらう感覚に近いです。岡田(准一)に『一緒に見に行こう』と話してしまったんですが、映画館は行きたくない。お客さんが入っていなくてガラガラだったら、気まずいじゃないですか(笑)」と照れ笑いを浮かべた。

最後に、観客には今作をどう受けてもらいたいかを聞いた。「ドキドキしてもらいたいですね。良いことと悪いことは紙一重。そういう恐怖感をこの映画で感じられたら、最後まで釘付けで見てもらえる。普段なかなか見てもらえない男性にも見てほしいですし、そういう人たちが『面白い』と言ってくれたら、ニヤリとしますね」。

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3.9 3.9 (全191件)
  • 殺害シーンが豊富で良かった!! 劇場で見逃したので観ましたが、殺害シーンが豊富で良かったです。やはり原作にない過去のエピソードはあった方が良かったのかわかりません。ヒロインの体があまりにも貧祖で、森田が和草の婚約者を犯さなかっ... ...続きを読む

    DAIMETAL DAIMETALさん  2017年1月16日 21:04  評価:3.5
    このレビューに共感した/0人
  • 森田剛が シガテラ、ワニとカゲキスなどの古谷先生作品が好きなので見てみることに。森田くんがバイオレンスでその演技に引き込まれました。猟奇的な精神面をしっかり表現できていたかな。でもやっぱり原作の方が俺は好... ...続きを読む

    プラド プラドさん  2017年1月15日 11:05  評価:3.5
    このレビューに共感した/0人
  • 演技力とちょっとした意外性 まあまあグロがあるのでそういうのが苦手な人は注意かもです。 森田剛さんはじめ、俳優陣の演技力によって引き込まれたりちょっとした意外性を感じれたりした事がこの映画の良さに感じました。 構成も良か... ...続きを読む

    K Kさん  2017年1月15日 01:33  評価:3.5
    このレビューに共感した/0人
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