ゆずり葉の頃のレビュー・感想・評価

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ゆずり葉の頃

劇場公開日 2015年5月23日
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人生締めくくり。

故岡本喜八監督の妻である岡本みね子が、旧姓の中みね子で
76歳初監督を務めた作品。作風と年齢が絶妙にマッチした
主演の八千草薫がハマり役となっている。上品でしとやかで
優しい顔立ちにも関わらず凛とした佇まいを演じさせたら右
に出るものはない。とはいっても高齢の親を持つ身としては
当然息子役の風間トオルの心配と重なってしまうのがやや苦。
そろそろ社会からの引退をと願う母親がふらり想い出の地で
ある軽井沢へ赴き、以前初恋の人が描いた絵画を探し求める。
「人生締め括りの旅」という感じで出逢う人々とのふれあいも
微笑ましいが、貧困老人には叶わない豊かさがあってこその
余生満喫だということを認識する。つらい戦後をどのように
生きたかを語る飴玉の色が哀しくも活き活きと浮かび上がる。

ハチコ
ハチコさん / 2016年1月1日 / PCから投稿
  • 評価: 3.0
  • 印象:  悲しい 幸せ
  • 鑑賞方法:映画館
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何かが”いらっしゃる”佇まいと気配

ずぅ~っと「観てみたい」と思っていた作品でした。八千草薫さんと、仲代達矢さんが共演する、それだけで十分、映画館でお金を払って見る価値あり、とおもってしまいます。誰もが同じことを思うようで、神戸で唯一上映している、「元町映画館」に行ってみると、客席は平日にもかかわらず、ほぼ満席。しかも中高年の方がほとんどでした。
作品そのものはとっても静謐な作品。
佇まいがいいです。
軽井沢で、ある画家の個展が開かれました。画家は滅多に人前には姿を現さない。しかし、その絵に惹かれる人たちが数多い。いつしか、その存在自体が伝説的な画家になっていました。
 主人公の市子(八千草薫)は、この画家、宮謙一郎の、ある一枚の絵がどうしても気にかかる。一度でいいからその原画を見たいと思ってきました。いい機会です。彼女は自分の住む街から、個展が開かれている軽井沢へ向かいます。しかし、自分がどうしても観たい作品は、個人所有となっており、原画をみる事はほぼ不可能に近いことを知ります。
やがて市子は、地元の喫茶店のマスターや、彼に紹介されたレストランオーナーの計らいで、なんと、宮謙一郎画伯、ご本人に会えることになります。宮画伯のお宅に招かれた市子。そこで彼女が見たのは……
本作では、何の説明も要らないでしょう。絵画鑑賞のように映画の世界観、その雰囲気の中に身をまかせると良いでしょう。
音楽は悪くない。それもそのはず、ジャズピアニストの山下洋輔さんが、ピアノを担当してます。そのメロディーや演奏はやっぱり素晴らしい。
僕が気になったのはその音楽の使い方でした。
このシーンでは、むしろ饒舌な音楽は必要ない、と思えるシーンにまで音楽を使ってしまっている。
 実は「無音」という選択肢は、映画監督にとって実に勇気がいるのです。だから、どうしてもセリフのないシーン、人物の移動や、時間の移り変わりのシーンで、「必ず」「隙間なく」音楽を入れてしまおう、とする。その気持ちはわかります。本作では人物が動くシーンでの音楽が、やや饒舌すぎるきらいがありました。
まあ、これも趣味の問題なので、観る人がこれでいいと思えば、正解なんでしょう。
それからもう一点。一部のシーンで使われた、手持ちカメラの問題。
なんでブレブレの手持ちカメラを使ったのか? ほとんど意味不明なシーンがありました。市子の主観映像が、それに当たりますが、これは如何なものか? と首をひねりました。僕ならステディーカムを使って欲しいと思う。
いろいろと、文句を申しましたが、本作はそれを補って余りあるほど魅力的です。
やっぱり八千草薫さん、スクリーンで拝見するお姿はなんとも美しい。
この人は、老いて行くのではなく、本作のタイトルにある通り、その存在自体が「ゆずり葉」なのでしょう。
ゆずり葉は、若い葉が伸びてから、古い葉が落ち、次の世代に譲るのだそうです。
本作の見せ場は、なんといっても仲代達矢さんとの二人芝居でしょう。オルゴールの音に合わせて、八千草さんと仲代さんが、ダンスに興じるシーンがあります。
お二人が、子供の頃に戻ったかのように、無邪気に踊るシーンは印象的です。
ロケーションも本作の大きな魅力です。
「龍神の池」と呼ばれる池があります。清水が湧き出てくる、常に新しく、命溢れる水が、しんしんと湧き出てくる。その生命力と透明感あふれる小さな池のほとりにたたずむ主人公、市子。
「ああ、ここにはなにか”いらっしゃる”」と思えます。
岸部一徳さんが演じる、マスターの喫茶店「珈琲歌劇」この雰囲気もいいですね。エンドロールを見ていると、この喫茶店、実在するようですね。
レンガと木組みで作られた古い喫茶店。中に入ると、年代を重ねたと思われる銘木で作られた、カウンターのどっしりとした重み。客は少なく、これで経営が成り立つのか?と思えるのですが、静かに味わい深い珈琲を、じっくりと楽しむにはぴったりの雰囲気です。店員の服装は、清潔感あふれる真っ白なシャツに黒のエプロン。言葉使いが丁寧です。接客はどこまでも超一流ホテル並みです。そんな喫茶店のカウンターの奥。マスターは珈琲をじっくり丁寧にドリップしている。画面から、程よく焙煎された、珈琲の香りが漂ってきそうです。マスターの友人が営むレストランも、これまた素敵です。
ここは2組だけですが、宿泊もできる。地元で採れた食材でフランス料理を出している。
市子はこのレストランで、宮画伯の絵に出会うのです。
本作では、おもわず「一度は行ってみたいなぁ~」と思わせる、魅力的なお店、画廊、数々の美しい風景が取り上げられております。
年齢を積み重ねてゆくことで得られる、ある種の気高さ。
「私もこんな風に歳を重ねて行きたい」
本作を見て、誰もがそんな風に思うのではないでしょうか。
ゆずり葉のように、すくなくとも心持ちは「緑のままで」歳を重ねて行きたいものですね。

ユキト@アマミヤ
ユキト@アマミヤさん / 2015年8月13日 / PCから投稿
  • 評価: 3.5
  • 印象:  楽しい 知的 幸せ
  • 鑑賞方法:映画館
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岡本喜八監督をプロデューサーとして支え続けてきた妻、中みね子さん脚...

岡本喜八監督をプロデューサーとして支え続けてきた妻、中みね子さん脚本・初監督作品です。中姓は、みね子さんが脚本家を目指していた頃の名で、旧姓のようですね。

企画段階から関わった主役の八千草薫さんは、なんと84歳。
可愛くてゆったーりとしてて、お上品です。
最初は岩波ホール1館だけの公開だったのですが、平日でも500人を越すシルバー世代が詰めかけるという噂は聞いておりました。
私が観た映画館も、両親世代の方でほぼ満席でした。
映画は見る方の知識、経験、精神状態が評価に大きく影響すると思います。
なので、まだまだ未熟者の私は、的外れなことを言ってしまうかもしれません。
が、思いつくままに言ってしまいます!

(海外の)作家名が思い出せないのですが、目に入るものを全て描写していくことで、逆に非現実感を醸し出すという小説の技巧があって、日本だと小川洋子せんせがちょっとそんな感じです。
本作の登場人物は全員、正直に真っ直ぐに自分の気持ちを美しい日本語で表現します。
みんな優しくて親切で、他人に手を差し伸べることを躊躇しません。
しかも語る言葉は全部、達観した別次元から降ってきます。
悟り切った善人ばかり。
人生に迷い、苦悩している最中の人はいません。
全てを語ることで、逆に漂う非現実感。
神社の中のミステリアスな湧き水に伝わる龍神の話と、70年以上も貫き通した初恋もプラスされ、私には本作はファンタジーに思えました。
予告の印象から、美しい映像と山下洋輔さんのピアノで、動体視力が衰えた私もゆったりとした時間を過ごせるかな?と想像していたのですが……。
時折、美しい風景が激しく揺れ、動き、歪みます。
年を重ねることによって、見えてくる世界は違うと思いますが、84歳の見る風景はこんなに不安定だということなのでしょうか?
ちょっと、酔ってしまいました。

そして、仲代達矢さん82歳。
老いても尚、男を感じます。凄いです。
オルゴール曲で八千草さんと仲代さんが踊るシーンは、もの凄く艶めかしかった。
40オーバーの私ですが、初めてです。映画見ながら、両手で顔を覆ったの。
あ、ただ踊ってるだけですよ。その後も、別にいやらしいシーンではありません。
でも、今まで観たどんなラブシーンより、エロティックだったんです。
ちょっと周りを見渡したら、人生の先輩方は平然と画面を見つめてらっしゃいました。
いやはや、私もまだまだ未熟ですね!
あ、未熟者の感想としては、もっと台詞は少なく、軽井沢の美しい田舎の風景(わざわざ軽井沢で撮影してるので)と、井上洋輔さんのピアノを聞いていたかったです。

さとちゃ
さとちゃさん / 2015年7月22日 / PCから投稿
  • 評価: 3.0
  • 印象:  -
  • 鑑賞方法:映画館
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  • 共感した! (共感した人 1 件)

まったりと、しみじみ、じんわりと。

幼いころの思い出を巡る一人旅。

そこは、戦争中の疎開先。
ある有名画家の展覧会。
展示してあるかもしれない一枚の絵。
そして、母の行く先を追っていく息子。

行く先々での人々の出会い。そこから、目的以上の出会いが、印象に残る。

母の息子への想いもグッとくるものがあった。

主演の八千草薫さん。いつ見ても、品のある、綺麗さは、健在。何気ない言葉遣いまで綺麗だ。

脇を固める役者陣も良かった。

美しい緑の葉のままで散っていく、ゆずり葉のように人生を終えたい。
まるで、自分自身の女優人生観の想いを言っているようだ。

主人公のそっと胸に秘めてた想いが、十分伝わる良作。

ななまがり
ななまがりさん / 2015年7月7日 / Androidアプリから投稿
  • 評価: 4.0
  • 印象:  泣ける 単純 幸せ
  • 鑑賞方法:映画館
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