劇場公開日 2016年7月29日

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「ゴジラ出現!どう対処する!?政府の対応を笑いながら見る映画。」シン・ゴジラ YuuuuuTAさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ゴジラ出現!どう対処する!?政府の対応を笑いながら見る映画。

2017年8月24日
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鑑賞方法:DVD/BD

笑える

楽しい

単純

シン・ゴジラは1954年(昭和29年)に初放映された
特撮怪獣映画「ゴジラ」の第29作だ。
これまでに放映された「ゴジラVSキングギドラ」
「ゴジラVSモスラ」「ゴジラVSメカゴジラ」などの
平成VSシリーズ(1980年代後半~90年代前半)とは
ちょっと趣向が違う。

ゴジラ以外に怪獣は出てこないし、
ゴジラに対抗する近未来的な特殊部隊もいない。
この映画は、国家存亡の危機に立ち向かう中央省庁を中心とした
政治家たちのやり取りを楽しむ映画だと感じた。
なんと、行政を滑稽に見せるため
ゴジラが引き立て役に甘んじているのだ!
手順を踏まないと何も決定できない行政の役所的な部分を
ディスるシーンが何とも面白い。

3つほど例を挙げてみよう。
1つは「ムダ手間」について。
官邸の大会議室にて
東京湾に異変が起こったとき
(※まだゴジラの全容が分かっていない)の対処を巡り
議論するシーンがある。
海底火山?魚雷?…様々な意見が出る中、
TVでゴジラのしっぽをとらえた映像が放送された。
その映像を見た官僚は即座に会議を中止させる。
総理執務室へ移動し、改めてTVをつけて映像を検証するのだ。
現状を確認したらまた大会議室へ集まって会議をする。
決められた手順を追わないと話を進められないという描写は
何とも役人っぽくて納得してしまった。
若い議員のセリフに
「無駄な会議が多くて話が全く進まない」というような
趣旨のものがあったが、まさにその通りだと思った。

2つめは「ムダに長い会議名」だ。
東京湾横浜沖・成田空港沖で水蒸気爆発が起き、
アクアライン アクアブリッジが損傷した時の対策会議名は
「アクアトンネル浸水事故及び
東京湾における水蒸気爆発に関する複合事案対策会議」。
複合事案の原因が未確認巨大生物の出現だと
分かった際の対策会議名は
「巨大不明生物に対する緊急災害対策本部の設置に
関する閣僚会議」とのこと。
会議名はテロップ表示されるのだが、
長すぎて一時停止しないと読み切れなかった(笑)。

関連する事象を会議名に入れなければいけないのかもしれないが、
もう少し要点を絞った会議名でもいいのではと
思うのは自分だけだろうか。

3つめは「総理大臣の優柔不断さ」についてだ。
ゴジラが東京都心部に攻め入ってきたとき総理は
「都民を捨ててこの場を離れるわけにはいかん!
俺はここに残る!」と言い切った。
おっ、初めてカッコイイことを言ったと思った。
が、次の瞬間、副長官に説得され
二つ返事で官邸を立ち去ることを決意した。
政治家にいいイメージを持っていないからなのか
大杉連演じる大河内総理の姿が
”総理あるある”に見えて仕方なかった。

また、総理が「未確認巨大生物は上陸しません!」と
記者会見で言い切った直後に上陸しちゃう
ゴテゴテの展開がダメ総理を演出していると思った。

政府の対応をディスりながら進める展開はある種コメディだ。
ゴジラに対して適当に対処しようとする政治家は
一人もいない。みんな真剣。
なのに、笑える。弄りかたが上手いのだろう。

それから自衛隊機が好きな人には
テンションの上がるシーンがちりばめられている。
陸上・航空自衛隊機を中心に拝めるのだ。
F-2、アパッチ、B-2、CH-47J、タイガー、スーパーピューマ、
EC-225LP、MQ-9 リーパーなど見どころ満載だ。

面白い所がたくさんあるのだが
一方で足を引っ張っている部分が2つあると感じた。

1つはCG。
ゴジラのCGははっきり言ってショボイ。
特に火を噴いたり、放射性?のレーザーのようなものを
放出するシーンはチープと言わざるを得ない。

そして2つめ。
石原さとみの大根っぷりだ。
これはこの映画最大の汚点だと自分は思っている。
石原は米国大統領特使役で
米国サイドの要望を伝える人物として登場する。
祖母が日本人ということらしい。

この特使には、会話中に出てくる英単語をネイティブに
発音するというキャラクター設定がある。
(例:「このハンバーグおいしい!
デミグラスソースとよく合うね!」の
ハンバーグとデミグラスソースの部分をネイティブに発音する)
が、これが全くできていないのだ。
イントネーションが微妙すぎて、
聞いてるこっちが恥ずかしくなってくる。
「ベラァー(Better)」
「カァピー(Copy)」
「ウワァスィントン(Washington)」
「十三プゥワァースェント(13%)」
「ティーム(Team)」
「ベイ(B)」など挙げればきりがない。
明らかな技量不足だ。

それにこの米国大統領特使は40代での米国大統領を
目指すほどの自信家で傲慢。
上から目線でものをいう役なのだが、
興奮してまくしたてるあたりのセリフが聞き取りずらい。
滑舌が悪くて何度も巻き戻して聞き直してしまった。
まくしたてる演技にいっぱいいっぱいになり、
しっかり言葉を発するところにまで
気が回っていないように感じた。

国会議員をはじめとした政治家同士のやり取りが
面白い映画なだけに、ここで足を引っ張られると、
そのシーン全てがチープに見えてしまう。
もう少し演技を練習してほしいものだ。

自分は平成VSシリーズ時に子供時代を過ごした世代だ。
あのころとは一風変わった、
「ゴジラに頼らないゴジラ映画」と呼べなくもない。
一種のドラマ作品として、ストーリーを楽しんでもらいたい。

Trinity