バケモノの子のレビュー・感想・評価
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良質なカンフーアクション映画
親子関係と師弟関係を照らし合わせながら、強さとは何かを問う、男の子向けの作品。
母の死でストリートチルドレンとなった少年・蓮を、バケモノの熊徹が拾い、九太と名づけて自分たちの世界に連れてゆくところから物語は始まります。
ガサツな熊徹にウンザリしながらも、持ち前の粘りづよさと飲み込みのよさでどんどん強くなり、バケモノの世界で認められてゆく九太。
大きく成長してふとした事から人間界に顔を出し、そこで人生の指針となる存在・ヒロインの楓と出会います。
学校に通う事を決め、父との再会も果たして人間の世界に戻る事を決める蓮ですが……。
熊徹のライバル猪王山との鞘当てと、本戦となる次期宗主決定戦の、力強くもキレのあるアクション演出。
そして九太の合わせ鏡となると存在・猪王山の子、心の闇に飲まれ圧倒的な力を無差別にふるう一郎彦からの、恐ろしくも迫力満点の逃走。
「アイツは俺が倒さなければならない」
追い詰められて覚悟を決めた、蓮と楓、そんな二人を救う一振りの剣、果たしてその正体は?
冒険と格闘と仲間とのきずな、男子が大好きなものが全てつまった魅力的なアクション映画、どうぞたっぷりと堪能してください。
いい悪いはそれぞれだから二分する
意見は二分される映画だろうな。
だってストーリーはそんなに練られてないもんね(笑)
ただキャストは華が有るし🌼そういう点でファンはある。で、僕はいい悪いは表面する必要はないと思うのである。だから、この映画で一番ハッとしたところを書き出しグーとしたい。久太と楓が会話するシーン。楓が親の期待を一心に叶えようと頑張るもそんな気親知らず。と言う。そこは正に今だよなぁ。とハッとしてウンと頷いた。きっと今の子は風の子どころかバケモノの子なんだよ、。我欲に忠実で周囲見渡せず責任取らないオトナこそ現代のバケモノなのだ。と映画の問うメッセージを受け止めた◎
キャラクターデザインの線は好き
個人評価:2.7
夏休みに見たくなる監督、細田守。
残念ながらその夏休み感、またテーマ性、どちらにも振り切れていないので、どちらかというと短編に向いた物語。
キャラクターの線はとても綺麗で好きだが、やはり主人公が少女の方が、細田作品は活き活きするなと思う。
見応えはあったけど・・・
マーケティングの結果で世界観構築して、チーム分けして作業して、繋げたらこうなった、みたいな・・・。
この監督特有の作家性みたいなものが見えてこない作品で、エンターテインメントとしては色々見応えあったけど、映画を観たぞ、っていう手応えは全くないという、何ともいえないもやもや感が残った。
観る人の人生経験による
何に関してもそうだけど
共感できるかどうかは
人生経験による。
自殺レベルの孤独を
感じたことがある人は
この映画に共感できると思うし
そんな孤独を知らない人は
ただのアニメとしてしか観ないから
つまらないと思うんだろう。
自分と全く同じ人生を生きる人は
絶対に存在しないから人は皆孤独。
そのなかで少しでも
他人と分かち合えるものがあれば
支え合って生きていける。
それがこの映画のテーマだと感じた。
私はこの映画が好き。
後半からの展開がイライラ
前半の修行から九太と熊徹との師弟関係を構築していくところはとてもワクワクしながら観ていたのですが、九太が人間界に戻っていったところからとても、観ていられなくなりました。
ヒロインの楓の登場からクライマックスにかけての強情さというか、空気の読めなさにとてもイライラして、最後は渋天街の宴にまで顔を出す始末、、。面の皮が厚いというか、サマーウォーズとおおかみこどもの時から思ってたのですが、ヒロインがマジで感情移入出来ないです。
そして、九太以外の熊徹の弟子だったり、最初に出てくる大人達だったり、楓をいじめるチャラい同級生だったり脇役がしっかり脇役で記号的にしか描かれていないところもなんか、「こうゆうの出しとけばこう観れるっしょ」みたいな細田監督の表現の薄っぺらさが随所に見られてとても不快でした。
プロフェッショナル仕事の流儀で最後のセリフのディレクションがとても抽象的なところを観ると、細田監督はそのぐらいのビジョンでしか脚本を書いてないのかと思い。子どもを育てている身としては、これが父と子の成長物語として打ち出している事にとても遺憾でした。
男の子を一人前に育てる
龍とそばかすの姫を観てあまりにモヤモヤしたので、バケモノの子をもう一度観てみた。
やはりバケモノの子は良い。
血が繋がっていようがいまいが、人間だろうがバケモノだろうが、男の子を一人前の男に育て上げる姿は胸を打つものがある。
ストレートに伝わってくるものがちゃんとそこにある。
熊徹の白い歯と笑顔も好きだ。
うん。
もう細田守作品なんて観るもんかといっしゅん思ったけど、やっぱりおおかみこどもの雨と雪とバケモノの子はいいな。
ちょっと遠くからこれからも細田守作品を観ていこうと思い直した。
ヒロイン不要論
うーーん。ストーリーは普通に面白いし、キャラも良かった。ただ、広瀬すずが声優のヒロインに尺取りすぎ。そのせいで物語後半で一郎彦が堕天した理由も少ししか触れられてないし、いきなりおかしくなったように見える。また、最後のヒロインの説教シーンがうざすぎた。
このヒロインがいなかったら、普通に良作だったと思う。
心の闇を制する「胸の中の剣」というのは、周りの人が自分に注いでくれ...
心の闇を制する「胸の中の剣」というのは、周りの人が自分に注いでくれた愛情という事なのかなと思った。シンプルで力強いメッセージで、良い作品だなと思いました。
【習うこと、学ぶこと、考えること、教えること、離れること、感謝すること、助け合うこと、受け継ぐこと、成長すること】
勉強も、習い事も、スポーツも、仕事も、案外重要な心構えは同じなんだと思う。
大人になって当たり前のことが、子供の時分は、かなり難しいことだったりする。
そこから習ったりしながら、いろんなことを覚えていくけれども、改めて他の人に教えてみて、自分が理解出来ていなかったところを確認したり、自分の正しさを再認識したりして、知識や経験の幅を広げたり、深めていくのだ。
大学の教養課程の体育で、個別競技を専攻した時に、講師の空手の先生が、守破離について説明していた。
これは、僕が習っていた書道でも重要な考え方で、初めは師に従い習っていても、ゆくゆくは自分らしさを加え、更に、師とは異なる自分のものにしていくという道程を表したものだ。
この「バケモノの子」は、こうした考え方を示すと同時に、師に感謝し、時には助け合い、更に、成長することが出来るという可能性も示しているのだと思う。
空手とか書道とか東洋的なものを例にとったけれど、これは万国共通なんじゃないのか。
熊徹の心は、九太に宿ったのだ。
己の闇とどう向き合うか
バケモノの世界に迷い込んだ少年がそこで出会ったバケモノ熊徹と師弟関係を結び、互いに反発し合いながらも修行に励み、成長していく物語。
‘師弟愛’‘ 親子とは?’‘強さとは?’‘学びや成長’‘心の闇’‘自己受容’等々様々な事について考えさせられました。詰め込みすぎ・薄味等のご意見も拝見しましたが、確かにそれもわかるような気もします(メッセージが多かった分、私もこのレビューをどうまとめようか迷いました)が、単純なせいか私はそれ以上に大きな感動を味わいました。特に、九太と熊徹の不器用な二人が互いに心をぶつけ合い、絆を深めていく姿には涙しました。
九太と熊徹は似たもの同士。強がりで意地っ張りだけど本当は寂しがり屋。互いに孤独と闘っている。似たもの同士だから、顔を合わせれば反発ばかりだけど、徐々に相手の中に自分を重ね、心を通わせていく。鏡のような関係とも言えるかもしれない。共に過ごすうちに、自分を見つめ、自分を知る事ができた。そして修行生活の中で、九太も熊徹も、自分の弱い部分や足りない部分を認め受け止める事ができたのだろう。
九太と一郎彦も似ている。というか一郎彦はもう一人の九太だ。二人ともあの世界では異質な存在であり、共に闇を抱えている。九太も一郎彦と同じ道を辿っていたかもしれないが、熊徹との出会いが彼を変えた。独りで苦労しながら強靱な身体能力を身に付けた熊徹は、同じく孤独であった九太にとって希望の光だったに違いない。
闇に呑み込まれた一郎彦。自分はなぜ父親のように牙が無いのか?鼻が伸びないのか?バケモノにも人間にもなりきれず、自分の居場所が見出せない。ありのままの自分が受け入れられなかった一郎彦。闇は知らぬ間に彼の中で大きくなっていった。
闇は誰の中にも存在する。不安や悲しみ、怒りや憎しみ等、様々な形や大きさで。強がってそれに打ち勝とうとするか、気付かぬ振りをするか、静かに向き合うか。
自分の中の闇に気付き、それを受け入れる事が出来れば、人は一段と強くなれるし、より奥深くもなれると思う。物事は自分の受け止め方次第で、光にも闇にもなる。(スターウォーズでは無いけれど)光と闇のバランスを整え、‘心の剣’を鍛えたい。
劇団四季に期待!
そんなに細田作品は見てない。テレビ放送でもあまり…。が、劇団四季がミュージカルにすると聞いて、興味がわいた。
父と子の絆を描いたというのはわかった。ただ、九太の本当の父も出てくるし、実の父よりも熊徹と強い結びつきがある感じはしなかったなー。それなら一郎彦が猪王山を慕う方が、よほど説得力があった。
絵もきれいだし、声の演技はみなさん素晴らしいので、やはり脚本が難ありなのかな。あと、製作するにあたってお金は必要なので、スポンサーは必須だけど、金も出すが口も出してたのではと想像する。この俳優を押さえたから、もっとこの役を出せとか、エピソードを追加しろとかの無茶振り。劇団四季に作品化の権利を与えたのなら、ミュージカルにする時に独自の改変は許して欲しい。ぜひ、物語を整理して、シンプルに九太と熊徹にフォーカスした作品になるとよいと思う。
人間の闇
独立してからの細田監督。若者向けに作られた『時をかける少女』と『サマーウォーズ』は好きだけど、その他は好きになれない。誰のために作られたかと考えると、やはり対象年齢が下がってきているとしか思えない。
バケモノの世界と人間世界。人間を見下していたり、“闇”を宿して混乱を招くといった渋天街の常識を宗師ならば変えられるという設定は面白いのに、終わってみると単なる親子愛という平凡なメッセージに変化していたように思う。蓮という名前を持ちながら、熊徹につけられた「九太」という名前を甘んじて受ける。小学生とはいえ、彼のアイデンティティは一体どこへ・・・
渋谷のモブシーンは丁寧な作りでダイナミクスを感じるし、9歳の少年にして喪失感や高みを目指す反抗心には胸打たれたのだが、バケモノたちが可愛いためだろうか、異世界の恐怖も全くない。あ、やっぱり子供向け。ただ、そこから西遊記みたいなメンバーでの修行の旅で多くの賢者たちに会ったり、ジャッキー・チェンを思わせるような修行の日々がまた良かったりする。人間世界の描き方が素晴らしかったため、可愛いバケモノとのギャップが残念でならない。
関係ない話ですが、金沢市には富山県南砺市との県境に医王山(いおうぜん、標高939m)という山があります。細田監督も富山出身なので知ってるはずで、熊徹のライバルとなる猪王山(いおうぜん)の名前もここからなんだろうな~。
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