劇場公開日 2015年7月11日

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「少年を通して皆が成長する物語」バケモノの子 ダンペーさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0少年を通して皆が成長する物語

2017年6月24日
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よくわからないままに化物の国に迷い混んだ少年九太が、迷いこんだ先で出会った化け物・熊テツと共に、成長していく物語。

九太が幼い頃は熊テツの短気さも相まってとにかく反発・反抗。それが成長するにつれ人間なんかと蔑まされていた九太も認められ、また熊テツも九太を育てることを意識することで一人前になっていく。
この辺りで人間界と化物界を行き来するようになり、育ての親と生みの親とのどちらも大事にしたいが共存はできない葛藤等見所も多く、楽しくみることができた。

だがラスト付近はフワッフワで、「このキャラ達がそれぞれこう動いたからあの結末にたどり着いた」感はほぼ無く「この結末にたどりつかせるためにキャラ達にこういった行動をさせた作品」だったなという感じ。

ラストの「心の中に剣が〜」のくだりをやりたいが為に、序盤のチンピラ同然の熊テツに「心のなかに剣が~」と急にキャラ違いなことを言わせたように見えた。
私生活もだらけていて、しかもこのセリフの直前は「ガーッ!」やら「ドーン!」とか言ってたヤツからそんなセリフ出るか?と違和感があったがまさかそれがオチに使われるとは・・・

あとは一郎彦が鯨になる展開をやる為に白鯨の本を九太に持たせ続けたようにしか見えない。その展開に持ってきたいが為にキャラに無理なセリフ・行動を与えているのが見る側に伝わってしまい、さらにそのセリフや行動がストーリーの根幹のメッセージに直結するためそれこそ1番の見せ場であるラストシーンが茶番劇に見えてしまった。
あとヒロインが本当に影が薄くてコイツ必要か?って思うレベル。

あとは説明口調がすぎる場面もあった。
熊テツが負けている時に来た九太に対して仲間が「元気づけてやってくれ」といい、その後喧嘩を始めた2人に「なんで喧嘩するんだ?」と2人の関係を全く知らないような口ぶりでこの後の展開を煽っているようにしか見えなかった

神を決める戦いまではホントに良い作品だと楽しんで見れただけに、後半の適当な雰囲気押しにガッカリした。
非常に惜しい作品だと思った。

ダンペー