劇場公開日 2015年4月25日

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シンデレラ(2015) : 映画評論・批評

2015年4月14日更新

2015年4月25日よりTOHOシネマズ日劇ほかにてロードショー

ゴージャスな舞踏会シーンが圧巻。アニメ版に忠実ながら「今っぽい」アレンジで女性の共感を呼ぶ新しい「シンデレラ」

アリス・イン・ワンダーランド」「マレフィセント」に続くディズニー・アニメの実写版。悪役の魔女が半ば善玉化した「マレフィセント」と違い、基本のキャラクターとストーリーはアニメに忠実。ヒロインのエラ(リリー・ジェームズ)が舞踏会に着ていくドレスの色も、アニメと同じブルーだ。衣装デザインは「恋におちたシェイクスピア」のサンディ・パウエル。プロダクョン・デザインは「タイタス」のダンテ・フェレッティ。2人の匠の技が光る舞踏会の場面は、この映画のゴージャスなテイストが満喫できる見せ場だ。エラと王子(リチャード・マッデン)がダンスを始めると、その動きに連れて周囲を取り巻く人々の輪が後退し、大理石の大広間が2人の存在感で満たされていく。このロマンチックな場面を、ケネス・ブラナー監督は、「戦争と平和」の舞踏会シーンを彷彿させる華やかなタッチでまとめあげた。さすがだ。

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面白いのは、「アナと雪の女王」から流行語になった「ありのままで」がテーマになっていること。舞踏会の魔法が解けて日常に戻ったあと、エラにとっては、名もなく持参金もないありのままの自分を王子にさらけ出せるかどうかが最大の試練となる。「すっぴんで好きな人の前に出られるか?」は女子の永遠の課題だが、これに立ち向かうエラの勇気に観客の共感を求めたところが、この映画の今っぽさのポイントだ。

そんなエラと対比的に描かれる意地悪な継母のキャラも秀逸。彼女トレメイン夫人は、夫亡きあとの暮らしを維持するべくエラの父と再婚した女性。つまり、誰かに依存しなければ生きられない旧世代の女だ。彼女がエラを憎むのは、依存生活において武器となる若さと美貌と優しさをエラが完璧に備えていたから。そうした女の嫉妬心からエラをいじめぬくトレメイン夫人の哀しさを、ケイト・ブランシェットが実に見事に演じている。彼女の厚化粧が、エラの透明感を際立たせる役目を果たしている点にも注目!

矢崎由紀子

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