Mommy マミー

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劇場公開日:

Mommy マミー

解説

「わたしはロランス」「トム・アット・ザ・ファーム」などで世界の映画界から熱視線を浴びるカナダの俊英グザビエ・ドランの監督第5作。2014年・第64回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、大御所ジャン=リュック・ゴダールの「さらば、愛の言葉よ」と並んで審査員特別賞を受賞した。15歳の息子スティーヴを育てる、気の強いシングルマザーのダイアン。スティーブはADHD(多動性障害)のため情緒も不安定で、普段は知的で純朴だが、一度スイッチが入ると攻撃的な性格になってしまう。そんな息子との生活に右往左往していたダイアンだが、隣家に住む引きこもりがちな女性教師カイラと親しくなったことから、少しずつ日々に変化が訪れる。精神的ストレスから吃音に苦しみ休職中だったカイラも、スティーブの家庭教師を買って出ることで快方に向かっていくが……。

2014年製作/134分/PG12/カナダ
原題:Mommy
配給:ピクチャーズ・デプト
劇場公開日:2015年4月25日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第67回 カンヌ国際映画祭(2014年)

受賞

コンペティション部門
審査員賞 グザビエ・ドラン

出品

コンペティション部門
出品作品 グザビエ・ドラン
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映画評論

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Photo credit : Shayne Laverdiere (C)2014 une filiale de Metafilms inc.

映画レビュー

5.0これで伝わるよね?はい十分だと思います

2024年2月14日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

架空の法案の説明から始まり、およそ善良とは言えないような母子の姿から物語は動き出す。
息子スティーブは間違いなく問題児だし、母ダイアンは言葉も態度も少々悪い、問題ある人物に思える。
しかし観ていくうちに二人とも違った一面を見せ始める。特にダイアンは、良くあろう、良い人間であろうと努めている事に気付きはじめ、そして、二人はとても愛のある親子に見えてくる。いや、実際に愛に溢れた親子なのだ。
今を取り巻く状況はよくないかもしれない。悲劇的な状況かもしれない。それでも今より良い未来を掴める気がしてくるし、今の二人だって、裕福で不自由ない生活とは程遠いけど、不幸かと問われれば、いいや、幸せそうに見えると答えるだろう。

イケメン監督のグザヴィエ・ドランは幸せに見える母子を画面サイズと隣人カイラで演出した。
カイラは映画を観ている私たちの視点キャラクターで、その彼女の態度と言葉の変化が私たちの気持ちを誘導する。この二人をどんな気持ちで見守ればいいのか、どう感じればいいのかを。
もう一つの画面サイズは、左右を切って画面を狭くすることで、余計な情報をシャットダウンし、より人物にフォーカスできるようにした。
カメラが凄く近いシーンも多く、つまり、画面一杯に人物が映ることで、その人の中身まで見えてくるような撮り方は神がかってると思ったね。

複雑でじんわりする感動が襲うなか、冒頭の法案が暗い影として不幸な未来を想像させ続ける。
甘いと酸っぱいの相乗効果のような、絶妙に絡み合った感情の渦は、ドランの天才性を確信させた。単なるイケメンじゃねーぞと。
ただでさえ力強いショットとカットの連続で溺れそうなのに、画面サイズが広かった瞬間の感情の高まりは驚くほどだったしね。

物語を動かすようなセリフは余り書かないイケメン脚本家ドランだけど、今回は印象的なセリフが二つあったね。
「過去はクソ!未来をわしづかめ」と「世の中に希望はわずかしかない」だ。
どちらも甘いと酸っぱいの渦の中に内在している真理のように作品内に取り込まれていて、ストーリーテラーとしてのイケメン・ドランの才能も感じたよね。

共感できないとか自業自得的なレビューの人がチラホラいるけど、この作品は共感するようなタイプの作品じゃないと思うんだよね。
イケメンドランは自分の一部を作品に取り込むことと映画観を語っている。
ダイアンのラストカットで、耐える母、強い母、愛してくれた母、愛すべき母の姿を写し出した。
自身も母と子だけだったイケメンの、母への感謝と愛情表現だったと思うのね。
幸せそうな他人のホームビデオに愛情を感じれば温かな気持ちになるでしょ。それと同じだよ。
画面には写っていないイケメンの深い愛を感じるべし。

ただ、愛情表現が濃すぎて、自分がドランの母親だったら息子が死ぬ気なんじゃないかと心配になるけどね。

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つとみ

5.0ドラン監督、若くしてこの才能

2023年10月30日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

ティモシー・シャラメとダニエル・カルーヤの対談で彼らがグザヴィエ・ドラン監督を絶賛していたので、まず監督のこの作品を観てみたのだが、いや、すごい。今まで色んな映画観てきたけど、こんな感覚になる映画ははじめて。何がどうって言葉で表せない。多分、演出がすごく緻密で、計算されていて、画角比の変化も後から気付いたくらい不自然さがなくて、でもそれが実は視聴者の感覚にすごい効果を及ぼしていて。こんな衝撃受けたのほんとはじめて。
さらに脚本も素晴らしい。音楽の使い方も映像とドンピシャ。すごい。すごいしか言えない。
最後の母親の妄想シーンなんて、映画を見てるのか絵画を見てるのか分からなくなる、どこか違う世界へ連れて行かれる。
役者陣も素晴らしいし、文句のつけようがない作品。ドラン監督の他の作品も絶対観る。

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Ran

3.5画面がーーーーーーーーーーー こう横に伸びる開放感を味わう映画。

2023年9月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

途中で横に画面が開放されていくシーンが一番良かった。それまで制限されていた画角から広角への開放感は劇場で味わえたことは筆舌に値する。映画のビジュアルが気になってみてみたけど、劇場で見て良かった。

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kenken

4.5タガタメ

2023年3月14日
iPhoneアプリから投稿

心にジィーーンとくる作品!
二人三脚親子愛じゃなくて、凸凹親子のリアルな日常を表した映画。家族二人と隣人さん、それぞれが問題を抱えて疲労していく、息子の幸せを願う気持ちが自分を壊す。決断の時は騒々しくて静寂。

挿入歌がすごい!特にoasisの「wonderall」が良き!あと、スクリーン比が1:1なのが、クライマックスのシーンで大きくなる。
それが母親の妄想であることと、心から息子の未来を信じているからこそ広く大きくなる必要があった!、

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