最高のともだち

主人公は一転して窮地に陥る。初恋の相手に振られ、母が植物人間になり、親友が自転車を盗んだために学校を退学になる。刑務所の女囚人に走れと言われ、フランスへ渡る。数十年後、アメリカに戻り、女囚人や親友と再会する。
佳作だが、先が読めず、なかなか胸に染みる作品だった。

映画『最強の二人』同様、人同士のつながりや縁というものをこちらでも考えさせられました。
人と人が再び出会うのは神のみぞ知る、偶然でしょうか？
いえ、そればかりでは人は生きていけない。
この主人公のように、愛する家族と「未来を生きるために過去に戻る」ことが時として、必要なことも。

勇気を出して行動した先には、大切な人達との、時間や距離だけでは隔てられない、決して失うことを怯える必要のない、強い絆を感じ取ることができるのでしょう。それは存在すると渦中の人達が信じてこそ。

主人公と用務員のおじさん、主人公と投獄中の黒人女性とのその確かな絆に心が動かされました。個人的には同じ立場として、彼の母親の生き方はとても辛かった。
また、主人公が描くイラストは彼の見つめる未来、今の柔らかな心境を反映しているようで心がほぐれました。