劇場公開日 2014年6月4日

「ひと夏の体験が、少年を成長させた」プールサイド・デイズ スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ひと夏の体験が、少年を成長させた

2016年3月29日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

楽しい

14歳の少年ダンカンがひと夏の経験から成長を遂げる話、と言ってしまえばありきたりですが、この「ひと夏」の描き方がとにかく秀逸だったが故に、少年の成長具合がたまらなく愛おしいと思える作品に仕上がっていましたね。
シチュエーションは被らないけど、どこか自分に重なるような部分もあったりで、思わず感情移入させられました。
思春期のもどかしさは、万国共通なんですね、忘れ欠けていたあのもどかしさ、きっと見た方はあの頃の懐かしい想いに駆られること必須でしょう。

しかしまあダンカン少年のシチュエーションなら、それは自分の殻に閉じこもってしまう少年になるのも、ある意味必然でしょうね。
私はどちらかと言うと真逆の環境で育ったので、(離婚した)母親とその恋人とその連れ子でリゾート地にて夏休み期間4人で一緒に過ごすなんてシチュエーションを体験したことはないですが、その描き方がとても秀逸だったので、ホント居心地の悪さが手に取るように伝わってきて、もどかしい気持ちで一杯になってしまいましたよ。

またその恋人を演じたスティーブ・カレルの生理的に受け付けない嫌なヤツ臭たっぷりの空気感が抜群だった為、余計にそんな気分にさせられましたね。
更には連れ子の今時ギャル臭も後押しして、少年の居場所の無さ加減が痛いほど伝わってきました。
大人のエゴに付き合わされた少年の受ける圧迫感は、夏に親戚の家に滞在しなければいけなかった際の、あのやるせない感じに似ていて、思い出したら変な汗が出てきちゃいましたよ。

一方、その対比的に描かれた、プールの運営スタッフ(リゾート地なのに海じゃなくプールなのがまたいい)、特にサム・ロックウェルが演じたオーウェンのキャラが本当に素晴らしかった!
全て適当でチャラけたオヤジなんだけど、ちゃんとダンカンを理解してあげていたまさにかけがえのない「友達」、この出会いが少年を変えていくんですよね。
最後は本当に感動しました、ダンカンのお母さんの成長具合も、ある種見応えの一つだったと言えましょうか。
ひと夏のピュアな恋もこれぞ青春って感じで良かったですね、相手役のアナソフィア・ロブの健康的な雰囲気が、爽やかさを後押しして作品をより良い物に引き上げていたと思いました。

スペランカー