ようこそ、大統領！

イタリア映画お得意のコメディなんだけど実は社会風刺作品。
こう言うの好きですよ。
「ビバ！公務員」を思い出す。
政治家の汚職はどの国でもあるんだろうけど、
コネ社会と言われるイタリアでは、
人にばれなければいいという庶民の「慣習」的な悪への自己批判がこもっているようだ。

冒頭のイタリア各地の風景の美しさにも息を飲むが、
話の折々に登場するゴージャスな建物内もまさに目の保養。

ローマを舞台に、山奥の村で図書館員として働いていた中年男のジュゼッペ・ガリバルディが運命の悪戯でイタリアの大統領に選ばれるという有り得ない設定のポリティカル・コメディだが、政界を痛烈に皮肉ったり、政治家を楽しく揶揄したりして、最初から最後まで大いに笑えます。
主人公を演じたクラウディオ・ビジオがとても魅力的で、下ネタギャグを炸裂したり、側近の若い女性と恋に落ちたり、更には見事なローラースケートを披露したりする。
「もし大統領になれたら」という大人のおとぎ話のようなこの映画は単なる爆笑物ではなく、政治とは、政治家とは如何にあるべきかをさり気無く描いていて心に響きます。