劇場公開日 2015年12月25日

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完全なるチェックメイト : 特集

2015年12月21日更新

アメリカVSソ連の「第三次世界大戦」は、チェスの決戦に委ねられた──
IQ187にして超・変わり者、実在するこの男に米は全てを託す、頂上決戦の行方は!?

「スパイダーマン」シリーズのトビー・マグワイアが製作&主演を務め、「ラスト サムライ」のエドワード・ズウィック監督がメガホンをとった「完全なるチェックメイト」が、12月25日に公開される。1970年代の冷戦時代、アメリカとソビエト連邦の威信を懸けて行われたチェス世界選手権、歴史を動かした頂上決戦の真実がいま明かされる。

実在した狂気の天才、ボビー・フィッシャーの「神の一手」とは!?
実在した狂気の天才、ボビー・フィッシャーの「神の一手」とは!?

■映画.comも世紀の対戦を「間近で観戦」してきた!
 CG・アクション・爆発もなし! なのに、なぜこんなにスリリングなんだ!?

アメリカとソ連の威信を懸けた「第三次世界大戦」──冷戦時代の72年に開催された世界チェス選手権、世紀の対戦を、映画.com編集部が「間近で観戦」=試写会で鑑賞してきた。そこには、驚くべきスリリングな戦いがあった!


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すさまじい迫力で描かれる「世界大戦」
すさまじい迫力で描かれる「世界大戦」

世紀の対戦を、まさにリングサイドで「観戦」してきたと言うのが相応しい興奮だ。70年代、アメリカとソ連が世界を二分していた冷戦時代、両国は武力での戦争を行わない代わりに、スポーツや音楽、アートの分野で両国の威信を懸けた「代理戦争」を行っていたのだ。それがまさかチェスの世界にまで及んでいたとは……。映画は72年に開催されたチェス世界選手権を描くもの。次々と明らかになる真実に、これが本当に起こっていたことなのか、映画にするために大げさに描いているのではないのかと、驚かずにはいられないのだ。


トビー・マグワイアが変わり者を熱演!
トビー・マグワイアが変わり者を熱演!

国家のシステムが完璧であることを世界に示すため、国が全面的にバックアップしていた当時のソ連。そのソ連の無敵の世界チャンピオン、ボリス・スパスキーに挑むのが、IQ187、15歳にして史上最年少グランドマスターとなったアメリカの天才ボビー・フィッシャーだ。しかし、この男がとんでもない変わり者。「自分はFBIに監視されている」という妄想に取りつかれ、試合場所の突然の変更や高額なギャラを要求するなどやりたい放題なのだ。自分の側にこんなヤツがいたら……と思うとゾッとするが、巨大な敵に破天荒なアウトローが挑む構図は、それだけでドキドキする。しかも「強い」となると、さらに魅力が増す。彼の要求は通るのか、そしてチャンピオンを倒すことができるのかと、グイグイ引き込まれて一瞬たりとも目が離せなくなってしまった。


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無敵のチャンピオン・スパスキー
無敵のチャンピオン・スパスキー
迫真の緊張感がビリビリと伝わる
迫真の緊張感がビリビリと伝わる
フィッシャーは強敵に勝てるのか
フィッシャーは強敵に勝てるのか

「チェスのルールを知らないけど、大丈夫かな……」という鑑賞前の心配も、特に問題なかった。目の前に立ちはだかる数々の困難をフィッシャーと彼のチームがいかに切り抜けていくか、そしてチャンピオンとの駆け引き、心理戦は、勝負事に共通するスリリングさで、こちらの手に汗を握らせる。それまでの常識を破り、誰も予想できない新たな手を打ち進めるフィッシャーが、最後の最後、ここしかないというタイミング&場所に放つ一手は、ルールなんて知らなくても「神の一手」ということがビンビンに伝わってくるのだ。派手なアクションも爆発も、VFX満載のスペクタクル・シーンも登場しないのに、たまらない興奮が襲ってくる。重厚な実話が、見事に痛快なエンターテインメントに仕上がっていたのだ。




■この男ボビー・フィッシャー、《超・天才》? それとも《単なる狂人》?
 アメリカの威信を担ったこいつは、一体「どっち」なんだ!?

当時のフィッシャーは英雄視されていた
当時のフィッシャーは英雄視されていた
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希代の天才ながら、数々の奇行でも知られた実在のチェス・プレイヤー、ボビー・フィッシャー。ここでは彼が残してきたチェス・プレイヤーとしての栄光の数々と、同時に行ってきた不可解な行動を比較しておこう。天才と馬鹿は紙一重と言われるが、なぜフィッシャーがこうした奇行に染まっていったのか。それは彼の母親が共産主義者で、FBIに監視されていたこととも大きな関係があると言われている。さらには常に150手先を考えるというチェスに没頭することが、日常生活での先読みや人付き合いでの勘ぐりを過剰にさせ、強迫観念症的にさせてしまったこともあるだろう。

チェスへの没頭が精神にも影響を及ぼす
チェスへの没頭が精神にも影響を及ぼす
わずか6歳でチェスを開始。頭角を現す
わずか6歳でチェスを開始。頭角を現す

実際のフィッシャーは晩年をアイスランドで過ごし、08年に同地で亡くなっているが、これはアメリカの制止を振り切り、92年当時、経済制裁中のユーゴスラビアで試合を行ったことが大元の原因。逮捕状を出されてしまったアメリカには戻れず、なんと00年から04年にかけては日本に滞在。東京・蒲田を拠点にフィリピンと行き来しながら生活を送っていたという(その後、日本出国の際に入国管理法違反で拘束、受け入れを表明したアイスランドに亡命することとなった)。

圧倒的な才能を誇りながらも、周囲を驚かせる言動を繰り返したフィッシャーは、まさに「チェス界のモーツァルト」。リスクをはらむ「爆弾」とも言える人物なのに、アメリカは彼に命運を託すしかなかった。映画以上に映画的な人生を送った「見逃せないキャラクター」なのだ。


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■「スパイダーマン」T・マグワイア×オスカー受賞歴を持つ「ラスト サムライ」監督
 このタッグだから実現したクオリティは、映画ファン必見!

監督・脚本のエドワード・ズウィック
監督・脚本のエドワード・ズウィック

なぜこれほどスリリングな作品となったのかは、スタッフ&キャストの布陣を見れば映画ファンは納得だろう。メガホンをとったのは、プロデューサーを務めた「恋におちたシェイクスピア」でアカデミー賞受賞経験を持ち、監督作「グローリー」でデンゼル・ワシントンに初のオスカーをもたらしたエドワード・ズウィック。トム・クルーズ主演「ラスト サムライ」、レオナルド・ディカプリオ主演「ブラッド・ダイヤモンド」ほか、実話を基にした重厚なテーマを、一級のエンターテインメントに仕上げる手腕は、映画好きには知られるところ。脚本を務めたのは、「イースタン・プロミス」「オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分」のスティーブン・ナイトであることも大きなポイントだ。


セコンド役にはP・サースガード
セコンド役にはP・サースガード
T・マグワイアは製作も兼任
T・マグワイアは製作も兼任
L・シュレイバーがスパスキー役
L・シュレイバーがスパスキー役

エキセントリックなフィッシャー役を演じたのは、「スパイダーマン」シリーズ、「華麗なるギャツビー」のトビー・マグワイア。彼はプロデューサーにも名を連ねており、作品への入れ込みようは、スクリーンで披露されるこん身の演技から伝わってくるはずだ。共演陣にそろうのも実力派の面々。「フライトプラン」「ブルージャスミン」ほか良作・話題作に欠かせないピーター・サースガードがフィッシャーのセコンドとしてともに世界戦に挑むチェス・プレイヤーの神父役、フィッシャーが挑む世界チャンピオン・スパスキー役を「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」「大統領の執事の涙」で存在感を誇ったリーブ・シュレイバーが務めている。

一流のスタッフ&キャストが集結しているだけに、映画ファンの見逃せない高クオリティ作品と言えるだろう。

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