劇場公開日 2014年7月12日

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「修行を終えた様な気分になる、ドキュメンタリーを観ました。 私の愛し...」大いなる沈黙へ グランド・シャルトルーズ修道院 Chiharuさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0修行を終えた様な気分になる、ドキュメンタリーを観ました。 私の愛し...

2018年1月3日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

修行を終えた様な気分になる、ドキュメンタリーを観ました。
私の愛して止まない、リキュール(シャリュトリューズ)の生みの親である修道院のドキュメンタリー「大いなる沈黙へ ーグランド・シャルトルーズ修道院(Die Grosse Stille)」
構想から21年もの歳月を費やして、制作されたというこの作品、(申し入れから16年後に返事が来て、準備、撮影、編集合わせて21年)最近多く見られるナレーションが無いだけではなく、音楽もない。最も厳格と言われている修道院をあるがままに撮影したドキュメンタリー。
最近、作り手のガイドが無く、観客が感じ取るドキュメンタリーが多く見られますが、この修道院、私語が許されない場所だけに、セリフも無い。生活音とグレオリウス聖歌以外は静寂の中、淡々と日々が流れてゆく様、観客はまさにその場所に生活している様な、共に祈りを捧げている様な感覚に陥るのです。
フランスアルプス山脈の断崖絶壁の端の様な、辺鄙な場所に立ち、世間との関わりが一切立たれているこの修道院、どんな世界が中で繰り広げられてるのだろう?俗世間に生きる私達は、覗き見したい欲求にかられるのではないでしょうか?
学生時代、通学路に療養所と呼ばれる、鉄格子の付いた窓のある建物があったのですが、遠く見るその窓に写る人影に、中の世界が気になって気になってしょうがなかった、そんな事を思い出します。
1084年設立以来の内部公開、なんて触れ込みも、ますます覗き見欲が駆り立てられます。
確かにこの修道院の一日は、ゆったりした映像とは裏腹に、ストイックな祈りと共に流れていて、睡眠時間は3〜4時間が2回以外は、ほとんどの時間は房と呼ばれる、個室にて1人の祈りの時間になっているのです。
修道士を辞めるのも自由、修道院が辞めさせるのも自由、選ばれし人だけが過ごすこの場所は、無駄が無く、美しく研ぎ澄まされているのです。
観るだけで、清く正しく美しい気分になる、俗世界の私達にフッと、爽やかな風を吹きかけてくれる作品です。

パプリカ