劇場公開日 2014年1月25日

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「今、観るべき映画の一つだと思います。」神奈川芸術大学映像学科研究室 Opportunity Costさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0今、観るべき映画の一つだと思います。

2014年2月9日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

非常に良かった。面白かった。
「桐島~」の前野朋哉(『おっまたぁ』の人)を目当てに行きましたが思わぬ拾いモノでした。

初期衝動をまま注ぎ込んだ荒々しい作品…という訳では無く。
特殊で限られた環境の中で起きる小さな出来事を
淡々と、そして滲み出る確かな面白さで描き切っています。

まずヒトの描き方。
描かれる組織は芸術大学の映像学科。
特殊のように観えますが、登場人物は所詮ヒト。
程度の差はあれ、どの組織人にも共通する性格を持つため共感を持ちます。
上司、部下、クライアントの困った側面。
そして、その関係性の中で板挟みになる中途半端な自分。
その構図は組織に属する者全てが多かれ少なかれ経験した感覚だと思われます。
共感を得るヒトの描き方が良かった。

また「えっ」という台詞と場面。
本作、様々な「えっ」が様々な人から出てくるのですが。
その間の取り方、そして役者の表情が良かった。
撮影後、監督が間の時間を編集したという話をしていたので
これは監督のセンス勝ちと言っていいと思います。

あと役者の顔も良かった。
特に主人公である奥野を演じる飯田芳。
松山ケンイチにエッジ利かせたような
一昔前のカンフー映画に出ていたような、その顔。
その顔が状況に応じていい具合に変わっていく。
特に苦笑いと不貞腐れている顔。
非常に良かったです。
笠原千尋が演じる安藤の白髪アップシーンも最高でした。

前野朋哉が演じる斉藤の話と本筋の絡み方が微妙という気になる点もありましたが、それ以外は上映70分が本当に充実していました。

新鋭監督が知り合いの(そのまた知り合いも含めた)若手俳優で撮った本作。
監督も、俳優も今後活躍していくでしょうが、この座組、この環境、この鮮度で観られるのは本作のみ。
本当に今観るべき映画の一つだと思います。

オススメです。

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Opportunity Cost