劇場公開日 2014年10月25日

「ボーグマンに気を付けろ」ボーグマン 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ボーグマンに気を付けろ

2017年7月24日
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鑑賞方法:DVD/BD

怖い

難しい

タイトルから想像するに、“ボーグマン”なる異形の化け物が登場するホラー映画かと思ったら、違った。
最初は設定がよく分からず、あんまり面白くないかなぁと思っていたら、見ている内に段々と。
これは、洗脳の恐怖を描いた異色のサスペンス・ドラマであった。

“ボーグマン”という謎の怪集団がいる。
森の中に潜んでいた彼らが何者かに追われ、男一人が町へ。
風呂を貸して貰おうと住宅地を訪ね歩き、とある裕福な家でトラブルになり、その家の夫に殴られる。
夫が外出し、さすがに罪悪感を感じた妻は手当てでその男を家に入れ…。
そこから、この不条理なドラマが始まる。

手当ては済んだのに、広い敷地の離れ家に住み着いた男。
妻が出ていってと言っても、何かと理由つけて出て行こうとしない。
子供たちもなついてるような感じ。
そろそろ出て行こうとした時、今度は妻の方からまだ居てと止められる。
いつの間にか、妻の心の奥底に入り込み、マインドコントロールされ始めていたのだ。

そうなると、後はもう容易い。
仲間を呼び、さらにこの家族に浸食していく。
その手段を選ばない方法は…、恐ろしく狡猾。
さらに、別の出会い方で再び夫とも対面。
この時夫は、男を覚えていない。ちょっとばかり社会的地位が高い輩は、自分より下の者の顔など覚えていないのだ。

裕福で平穏だったこの家庭。
ボーグマンの出現によって、崩れ始める。
ボーグマンはただのきっかけだったかもしれない。
幸せそうなのは見かけだけ。勝手に壊れていったのは家族の方だったのだ。

妻はボーグマンにある恐ろしい頼みをする。
それは…

ラストも意表を付く。
確かに説明らしい説明も、彼らの行動の目的も納得いくような描写は語られない。
しかし、この不条理な作風が不思議と何とも言えぬダークな後味残す。
“ボーグマン”は、ああして人の中に入り込んで、また仲間を増やしていく…。
彼らは次は…?

近大