劇場公開日 2014年4月5日

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アデル、ブルーは熱い色 : インタビュー

2014年4月1日更新
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カンヌパルムドール受賞、世界が注目の新星アデル・エグザルコプロス

アブデラティフ・ケシシュ監督とともに、主演女優ふたりがそろってカンヌ映画祭最高賞パルムドール受賞という史上初の快挙が話題となった「アデル、ブルーは熱い色」。審査委員長を務めたスティーブン・スピルバーグが「偉大な愛の映画、その一言に尽きる」と評した本作で、自身と同名のヒロインを熱演し、世界中の注目を集めたアデル・エグザルコプロスが来日し、撮影を振り返った。(取材・文・写真/編集部)

恋は男の子とするものと信じて疑わなかった女子高生アデルは、青い髪の年上の女性エマと出会った日から、人生が一変する。初めての激しい恋に落ち、求められることの喜びを知り、傷つきながらも、成長していくアデルの姿を力強く演じきった。

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「フランスの映画監督の中で最高の監督の一人」と尊敬するケシシュ監督との仕事を、「彼は完璧主義で、慣習というものにとらわれることはありません。俳優がうまくいかなかったテイクは編集でも絶対に使いませんし、私たち俳優の中から神の恩寵(おんちょう)のようなものが生まれる瞬間を必ず捉えて、それを映画に使ってくれる人です。そういう監督と仕事をすることは、俳優にとってはとても幸運なことなのです」と振り返る。

若者たち独特の会話模様、ドキュメンタリーを見るかのような自然な演技が、観客を“アデルの人生”にぐいぐいと引き込んでいく。「ケシシュ監督はできるだけ現実に近いもの、ジェンダーにも関係なく、どの国の人にとっても感情移入ができる、そういう真実を彼は求めているのです」と監督のこだわりを説明し、「その場合、私たち俳優は自分を投げ出すしかない」と断言する。そんな監督のこだわりから引き出された演技は、レア・セドゥーとともに、世界中の脚光を浴びることになった。ふたりの役作りは全くタイプが違うのだそう。「レアはあらかじめ役柄について研究する女優なので、本当は彼女に合わせて最初から私自身を投げ出せばよかったのですが、最初にレアに会ったときに、彼女は自分の役柄をとても上手に言葉で説明したので、私はレアのように説明できないわと、怖くなって、その場で泣き出してしまったほどなのです」と率直に明かす。

理性的なセドゥーとは対照的に、ヒロインの心情を本能的に捉えて演技をする点が、ケシシュ監督に評価された。「恋をしているときは、同時に自分自身を探していることと言えます。恋愛は世界で一番美しい経験だと思いますが、ひとりひとりがパーフェクトな人間ではないですから、同時につらい体験もあるのです。私がアデルを演じて感じたのは、自分と向き合うことによって成長しているという感覚と、恋愛がうまくいかなかったときの孤独感というものです」と一人の女性の生き方を、役柄を通して実感した。

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女性同士の恋という設定だが、役作りにおいて同性愛の女性についてのリサーチは「全くしていません」ときっぱり。「既にあるレズビアンたちの愛情にインスパイアされることは、良くないことだと思いました。これはふたりの人間の恋愛物語であって、人生が白紙の状態で生きているアデルが、いろんな経験をしていく中で、自分がどういう人間かを探し求めている。非常に苦しい年代でもあるのです。この映画は、レズビアンやゲイだという観点から見るべき作品ではないのです。二つの個性が出合って、そこに初恋のショックがあった、そういう形で私も演じたのです」と強調した。

昨年11月に20歳になったばかり。若くして輝かしい栄冠を手にした喜びを「女優としての信頼性が得られたと思いますし、女優を続けることが正しいという感覚ももたらしてくれました。私に光を与えてくれる、そういう経験でした」と笑顔を見せる。これからのキャリアで手本にしたい映画人を問うと、「ナタリー・ポートマンの女優としてのキャリアの進め方はとても尊敬しています。ティルダ・スウィントンをはじめ素晴らしいと思う女優はたくさんいますが、自分の将来のモデルにしようという人はいません。監督ではマーティン・スコセッシクエンティン・タランティーノ、後はペドロ・アルモドバル監督の女性の撮り方が好きですね」と語った。

インタビュー2 ~アブデラティフ・ケシシュ監督「シーンの長さは内なるリズム」
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