銀の匙 Silver Spoonのレビュー・感想・評価
全93件中、61~80件目を表示
早すぎる
なんか色々詰め込みすぎて
展開早すぎ
正直面白くなかった
駒場はもうちょい熱血てきな感じを想像してた
南九条はもうちょいバカな感じをだしてほしかった
中島先生は中村獅童さんだとやっぱ違和感ある
でもやっぱ一番はストーリーだ、脚本だ
もうちょい映画オリジナルの展開とかできなかったかな?
無理なら仕方ないけど、原作みてるから途中で飽きたよ
あと主演の中島さんは最初から最後までカッコ良かったです
ジャニーズでした
たまこと富士先生と校長先生はよかったと思います
普通の青春ドラマ
農業高校という、少し特異な環境ゆえに、少し違ったシチュエーションがあるものの、普通の青春ドラマで、あまり心動かされることはなかったかな…というのが正直な感想。
まあ、無茶苦茶悪くもなかったけど…。
正直あんまりだった
先に漫画で内容を知っていたせいか、
期待してたより薄い内容で残念。
笑えるところも少しありましたが
2時間が長く感じました
でも友達は楽しかったって言ってたし
漫画とかを知らない人は見て
楽しめるんじゃないかなと思います!
グレイトフル・グレードダウン…
まさに、グレイトフル・グレードダウン…
映画的には、吉田監督はいい仕事しているのだけど…
原作大好き、リアル八軒じゃん!なんて言われる主人公との親和性を差し引いても。
薄ら寒いのは自分が昭和人なのだからだろうか。
文句は無い、けどとにかく映画化には時期尚早な雰囲気。
いや、若年層向けには凄く上手く纏まってるんだけどな…
原作の良さである『時間経過に伴う成長/変化』は無く、要素を摘み食いしたダイジェスト作品でした。
酷かった。
原作の「イイ所」と思しき部分の嫌な摘み食い。
何となく「銀の匙 Silver Spoon」が分かった気になるダイジェスト作品でした。
その過程で原作の良い部分が全て無くなっていました。
原作の良さとは。
八軒の大蝦夷農業高校生活を『時間を掛けて』描いている点である、と思っています。
一見何も起きていないような日常の描写がありつつ、少しずつ登場人物たちが成長する。
八軒が時間をかけて悩み抜いて不器用な立ち回りをしつつ周りと理解を重ねて成長していく。
その過程を楽しみ、全ての登場人物たちに愛着を深めていく。
この『時間を掛けて』という点が非常に重要な作品であると。
で、本作。
八軒の大蝦夷農業高校入学から始まり、豚丼、乗馬部、夏休みバイト、石釜造り、駒場農場の顛末、学園祭までを描いています。
…正直詰め込み過ぎ。
見せ場を学園祭のばんえい競馬に持っていきたかった作り手側の思惑は分からなくはないですが。
そこまでの話のテンポがあまりに早く、誰にも(八軒にも)感情移入が出来ません。
原作の良さが台無し。
111分に無理矢理詰め込んだ結果。
流れる映像自体の箍も緩んでおり設定ガタガタ。
駒場農場の顛末の際に残された家族が乗る車 !!
ピッカピカの新車、ファミリーカー。
借金抱えて愛しの牛売って。人間様が乗るのは新車かい!!
あそこで出すべきは泥まみれのハイエースか軽トラだろうが。
そういう観る側への配慮に欠けた作品でした。
豚の屠殺場面等も変に隠さないでキチンと見せて欲しかった。
あと細かい点なのですが…食堂の前に飾ってある「銀の匙」の向きが毎回変わるのは何か意味があるんでしょうか?
説明なく表裏が引っ繰り返るので嫌な違和感を覚えていました。
ただ本作唯一の良かった点。
それは集めた俳優が原作の絵に似ていた点。
富士先生、常盤、タマ子の集めてきた感は唯一作り手の誠意を感じる部分でした。
中島先生やアキの家族はガッカリしたけど。
あと副ぶちょーの取り扱いは本当にガッカリしました。
正直111分あれば原作既刊11巻の半分くらいは読めるはず。
本作をキチンと楽しみたい方は、まずは漫画喫茶に行くことを推奨します。
「銀の匙」を受動的に上辺だけ知りたい方のみ。
オススメです。
思ったよりは
良かった。動物のと殺の場面などは少しグロテスクだったが、その場面があってこそ、作品のテーマを感じられるのかも。原作のファンだけれど、原作で一番印象的だった八軒の台詞はそのまま使われていて良かった。個人的にはタマコがハマり役だと思う。
青春映画は分かりやすいほどよい。
役者の演技や技術的なことはおいといて、わかりやすいくらい青春映画。現実を知らずなにかができると思って走っている。それがいい。その他にも食べるって素晴らしいことを教えてくれる。
私には合いませんでした……(~_~;)
序盤に、アニメ1期(11話分)で起こった大きなイベントを詰め込んで、ザッと流した感じでした。
豚丼の一連のエピソードもギュッと凝縮されて、八軒の葛藤や成長も分かりづらくなってしまっているかな、と思います。
御影の跡継ぎ云々や八軒の家庭の問題もさらっと終わってしまった印象で、少し残念でした…。
また、原作やアニメを知らない人向けなのか、キャラクターの性格が少し変わっていました。南九条なんかいい例ですね。あの改変はちょっといただけないかな…汗
全体的に、原作やアニメで繊細に描かれた八軒の葛藤や成長が上手く描写されておらず、ごちゃごちゃして粗雑な所感です。原作やアニメで伝えたかったことがこの映画からはあまり感じられませんし、結局何が言いたかったの?っていう…。役者さんたちはなかなかの好演を見せてくれただけに、脚本が惜しかったと感じざるを得ません。
偉そうに評価しましたが、あくまで個人的な感想です。気を悪くされた方がいらっしゃいましたら申し訳ございません。
ところどころ笑える部分もありましたし、最低最悪とまではいいません。私に合わなかっただけで、銀の匙とは別物として見ればギリギリ及第点です。
美味みに感謝。
原作もアニメも見ていないんだけど、とにかく監督が吉田恵輔。
それだけで期待して観に行ったような作品だった。
オリジナル脚本に拘っていた監督が、今回選んだのは原作モノ。
おそらく脚本でかなり変えている?部分もあるんだろうが、
やはり説得力のある描き方は変わらず、観応えがあった。
親の強いたレールに失敗して自分で選んだ進路が、彼の将来の
夢を象る一歩になるかどうか…というのがテーマだが、
青春モノという枠を出ずして、酪農の経済実態も描かれており、
動物の命を貰う作品を生半可な意気込みでは作れないと感じた。
もちろん私も酪農には無知で経験すらないのだが、
母が畜産農家出身であり、帰省する実家で乳牛を育てていた。
伯母の家に行くと豚もいたが、私は子供時分行くのを嫌がった。
正直、かなり臭い!のだ。どの家に行っても家畜のウンコ臭。
だから初めて八軒があの高校の家畜小屋に入った時、
臭いのことをまったく口にしないのが不思議だった。
その後、動物が大好きになった私もあの臭いは未だに忘れない。
八軒が「豚丼」と名付けた豚が出荷される時、是非自分で!と思った
彼がその肉を買い取るところは非常に印象的。彼はその豚肉を
ベーコンにして先生生徒に配る。自分達で育てた豚を自分達で頂く。
経済動物の昇華(消化)と命の有難み。美味い♪美味しい♪と声が
上がる度に、八軒は自分の学んでいることへの実感を深めていく。
同級生のアキや駒場もそれぞれが持つキャラの個性がよかった。
アキ役の広瀬アリスは主人公の中島健人同様にキラキラ感が強く、
それを消し去るのに監督は苦労したようだが、彼女の場合は動物
が大好き!ということで家畜と違和感なく戯れているのが印象的。
馬術部ということで馬との触れ合いが多いのだが頑張ったと思う。
駒場役の市川知宏はまずカッコいい(爆)クール。といった感じで
八軒とはいいライバルになるのだが、彼は家の事情で退学をする。
主人を失った酪農一家が借金を抱えながらどこまで踏ん張れるか、
可愛いとか可哀想とかそんなレベルでは語れない苦悩も描かれる。
タイトルの銀の匙の意味を知った時には少し驚いて感動した。
農家の子に生まれたからといっても、食うに困らない時代ではない。
「食うに困らない」子に育てるため、親は教育に力を注いでいるけど
生産物の根本を分かっていない子供を育てても食育にはならない。
お肉はスライスされ、魚は開かれ、野菜は泥を落としてから売られ、
それを当たり前のように購入して調理して食べる人間達がいる。
劇中では豚の屠殺シーンを見せるが、これをするから肉が得られる
ことをしっかり把握しておかなければペットと家畜を混同する人間に
なってしまうと思う。食べるには残酷なことなどたくさん冒している。
八軒に「夢のないことはいいことだ。」という校長の台詞は
その子への励ましだと私は受け取った。まずは自分でやりたいと
思うことを探さなけりゃ、夢なんか見つかるワケがない。
こんな世の中だからと嘆かず、自分の人生一度きりなんだからと思い、
とりあえず色んなものに挑んで染まってみたら面白いと思う。
何にでもなれる。のは潰しが利く若いうち!(爆)これだけは本当だ。
(ちなみに息子のオムツの中はもっと臭かったのです。あははは^^;)
素敵な青春酪農コメディ!
とても面白かった。
原作は斜め読み、アニメは見たことない。
だけども、テーマやメッセージは明確で
分かりやすく、ストーリーの組み立てや
キャラクターも際だっている。
むしろ、余計な先入観がない方が
楽しめたのかもしれません。
自分は農家の子としてうまれたので、
酪農に付きまとう、現実感と厳しい環境が
身近に理解できる。
その厳しさをリアルに描かれている反面
暗くなりがちな物語を笑いと
青春のエッチさで見事にカバー。
全体を上手くまとめた、いい作品だと思います。
原作ファンには評判良くないけど、個人的には
大満足の作品です。
ヒロイン役の広瀬アリスも可愛らしく、
玉子さんも笑わせてくれる。
中村獅童のせりふ回しにも深みを感じるし
富士先生役の吹石一恵のセクシードエス
ぶりもなかなかいい
※こういう役は片瀬那奈が向いてると思うが。
八軒役の中島君もへたれな高校生の成長を
上手く演じていると思います。
酪農家が置かれている厳しい現実を
笑いで緩和しながらラストの感動と
お薦め出来る作品でした。
別な作品としてはとても面白い!
原作アニメファンです
銀の匙として見ると色々エピソードが詰まりすぎていてごちゃごちゃしていてなんかなーとゆう感じでした
しかし別な作品と思えば泣けるシーンもありますし各キャラもいい感じでとてもいいお話でした!
そして気にしていた中島健人くんの演技・・・
素晴らしかったです!正直ジャニーズって・・・と思っていましたがとても自然に八軒を演じていてよかったです!
残念だったのがあやめちゃん
原作のあやめちゃんらしさが一切出ていなくただの悪役のツンデレキャラでした。あとあやめちゃんもっとかわいいよ
1番良かったのはやっぱり吹石一恵さん!あのスタイルは富士先生そのもの・・・!!!素晴らしかったです!
相川くんと西川くんと別府くんは出ると思っていたのですが出ませんでした!ちらっとは出ていましたが・・・(最初分からなかった)
注意するのは豚の解剖と牛の出産はガッツリ映っているので苦手な方は・・・
でもこれがあってこそのこの映画だと思いました。生き物の大切さを学ぶにはとてもいいと思います。
まとめると
銀の匙としてではなく別な作品として見るとGOOD!
とゆうことですかね!
ちなみにレディースデーで1000円だったのですが
また見たいとは思いませんでした^^;
できれば銀の匙が完璧に終わってからもう1度作品を作り直して映画化してほしなと思いました。
中途半端な描写が多かったので・・・
大きなイベントは一つに絞ったほうがよかったのでは…
いろいろ中途半端だなという印象を受けました。やはり2時間ほどの作品で各人物の心情の変化やエピソードを原作通りに再現するのは難しいですね。むやみにBGMを流すのではなく、鑑賞者に虫の音などの自然を感じさせるのは良かったと思います。
丁寧な映画化
原作のファンです。
ストーリー
原作・アニメいずれかを見ていないと、わかりにくい気がします。色々なエピソードをちょっとずつ拾って、オムニバス形式にしているイメージ。
ただ、文化祭の肝心な要素が全部吹っ飛んでいる事だけは引っかかりました。
映像・キャラ
素晴らしいの一言。
リアルな北海道や農業高校はこうなんだ、と美しい映像を見ながら感動しました。
アキちゃんの健康的なセクシーシーンと悶絶する八軒が見ものです。
原作と容姿の違うキャラも居ますが、違和感はありません。
総合
全く銀の匙を知らない人には、強く勧めにくいかなと思います。
原作をより楽しむための映像補完としては、とても良い映画でした。
銀の匙
銀の匙みにいきました!
もーーせっかく長文書いてたのに間違えて閉じるおしちゃって全部消えてしまった!
もーー。ってこんなことレビューに書くのはおかしい。
銀の匙はアニメから見てました!
映画とても面白かったです。私にいろいろ気づかさせてくれる映画でした
実写ならではのリアル感。
豚丼。豚丼。。
豚丼がお肉になって帰ってくるシーンを見ると、アニメでも映画でも、もうお肉は食べない!って思うんだけど食べちゃう。だって美味しいんだもん。
だからちゃんと、感謝して残さず食べて
いただきます。ごちそうさま。
その言葉をちゃんと言おうと思いました
それて北海道のあの広大さ!素敵やねぇやっぱ!住みたいねー!!
素敵な友達と出会えたりあんな環境で学べられる八軒がとっても羨ましく思います
私もクタクタに疲れたい!それだけ頑張れるような何かに出会いたい!!
とりあえず映画銀の匙見てよかったです
不完全燃焼な作品でした( ˙-˙ )
原作コミックとして読んでいて酪農という世界観を伝えて、食の大切さなどを感じさせる作品です。一部ショックなシーンがありますのでご注意ください๛ก(ー̀ωー́ก) でもやはり不完全燃焼な作品に感じました、何よりまだ完結していない作品をなぜ実写化したのかが疑問に思います。映画製作とかの事情は分からないけど、もう少し時間をかけても良かったんじゃないかと思いました。漫画で見ていたシーンで映画ではなかったという所もあったり、初見さんには伝わるのか分からない所でしたorz
酪農の大変さ、八軒が成長していく姿や駒場の母ちゃんの泣きシーン等など良い所もあるし、キャストも一部を除いては良かったし。個人的には玉子は良かったが校長先生と美影はイメージとは違かったですね。もし、新たに次回作として上映されるなら見てみたいかも♪
いい映画でした!
誠実に作られたいい映画でした。
原作漫画の要素を汲みつつ、吉田監督のテイストで仕上げられた、青春映画です。
予告ではコミカルな面が強調されていますが、作品はとても真っ直ぐで真っ当。
もちろんクスっと笑えるシーンも随所にあるのですが、見ているうちに、だんだんと映画の世界に引き込まれ、計らずも泣いてしまう…そんな映画です。
若い俳優陣の感性をそのまま映した絵が、瑞々しくさわやかです。
一番象徴的なのは牛の出産シーン。
役ではなく素の若者が、出産をじっとみつめている。
酪農家の息子なら子供の頃からもう何度も見ている光景のはず。でも、吉田監督は「後ろの二人は興味無さそうに演技して」などという指示を出さない。
都会生まれの俳優やスタッフたちが、目の前で起こることをただ見る。
そこには演技ではない空気がある。
それをそのまま映す。
そして映画を観に来るほとんどの客もまた、酪農家の子女ではない。
だから観客の目線は彼らの目線と同調する。
こうした演出の積み重ねが、自然と観客を作品世界に引き込んでいく。
動物と10代の俳優を中心にカメラは回るので、ごまかしが無い。馬はヒロインに本当になついているし、主人公がカメラ側へ歩み寄っても後ろで馬がずっと彼を見ている。
そういう、優しく誠実な空気の中で、高校生のぎこちない友情やほのかな恋愛が描かれる。
だから、見終えた後はとても清々しいのです。
原作ファンとしても、大満足の映画でした。
台詞の組み換えや実写エンドへのストーリー変更などは当然ありますが、原作漫画へのリスペクトは随所に感じます。
たとえば「ポアンカレ」Tシャツ。
たとえばエンドロールの「痛そりデザイン」
たとえば、そこは重機を使えよ、という原作改変のあとに、開拓民の誇りの話を出すところ(百姓貴族も読んでいますね)
何より、こんな地味なテーマを、全国公開規模の映画に仕上げてくれたことに、感謝です。
まだ「さんかく」までの実績だった吉田監督に白羽の矢を立て、見事に適任だったこと。
ジャニーズアイドルの夏を丸ごと拘束して十勝ロケ。
アニメのフジと映画のTBSで、局をまたいだタイアップ宣伝。
本当にありがたいです。
爽やかな青春映画です。
怒涛のスペクタクルもハラハラドキドキの冒険も誰かが死んじゃう悲劇も無い、穏やかで薄味の映画だけれど、観た後は心地よく、そして少し優しい気持ちになりました。
薄味で食い足りない。「ふーん」と思って終わる。
「恋愛も友情も、親との葛藤もあって、ユーモラスでウエルメードな作り。でも、薄味で食い足りない。「ふーん」と思って終わる。」という毎日新聞の映画評通り、さらりと終わる作品でした。『ばしゃ馬さんとビッグマウス』毒気のある登場人物同士のぶつかり合いを描いてきた吉田監督にしては、毒気のないところが気になります。
もちろん主人公の八軒を原作以上に、現代の都会暮らし青年に近づけて、等身大で描いているところはいいと思うのです。でも、原作の八軒というのは「バカヤロウ、肉は正義だ!」と雄叫びをあげて、クラスメートの先頭に立っても並々と肉が盛られたスカイツリー豚丼に突進していく肉食男子の激しい一面をもった奴。もし監督が『土竜の唄』の三池監督なら、もっとゴツゴツした肉食男子ぶりが強調されたことでしょう。何となく、草食男子でなよなよしている八軒の都会っ子ぶりのほうが強調されてしまいました。
もう一点気になることは、家畜との向き合い方、個人農家の苦境に八軒父子の確執まで、欲張りすぎて深みがもう一つ感じられませんでした。
主人公の成長物語に絞りながら、酪農家のやりがいや経営的な苦労、そして精魂込めて育てている家畜に対しての愛情と、同時にやがて訪れる出荷時での「経済的生産物」としての割り切り方の描写については、原作のエッセンスをうまく抽出しているとは思います。そして八軒がリタイアした受験戦争やその後の競争社会と、結果が全てという家畜の世界が重なって見える対比も面白いと思えました。さらに食肉解体場面をギリギリまで見せ、家畜の命を巡る現場をキチンと描かれているところにも、酪農の現実を逃げることなく見せてくれたと思います。けれども、それらをトータルでつないだとき、中途半端さを感じてしまったのです。例えば、クラスメートの駒場の実家の借金が原因で離農することに巻き込まれて、アキも可愛がっていた馬を手放さなくなったときも、割と淡々と描かれてしまいました。
現代の酪農の問題にも例えば牛乳の単価が1リットル87円にしかならなくて、これではえさ代を払ったら、利益にならないというような切実な問題にも触れてはいます。でも
実際の酪農家の実態はもっと深刻で危機的な状況にあることまでは深追いしません。
またそんな危機にあって、原作では八軒も悩み、「豚肉ファンド」を立ち上げるなど酪農の未来を変えようとするところまでは踏み込みませんでした。
くわえて、ヒロインのアキとの関係も友達以上・恋人未満で、ラブコメまで踏み込みませんでした。だから、見終わったとき何が伝えたかったかということが、いろいろあって印象に残らなかったのです。あくまで続編前提で作られているところがアリアリなんですね。
それでも演技面では、八軒を演じる中島健人の主人公の成長に合わせた表情の変化にメリハリを利かす演技は、良かったです。中高一貫の進学校から、いきなり農業高校の畜産学科に、何も考えずに進学してきた八軒の戸惑いぶりから、次第に酪農に本気になっていくところには、説得力のある演技でした。ジャニーズのアイドルとしての普段からの冴えない変身ぶりも凄かったです。
またそんな八軒を支えて、酪農や馬術に本気にさせるアキを演じるは、広瀬アリスはヒロイン役にふさわしく、可愛さが際立っていました。中島のほか、同級生役にも存在感があり、中村獅童、石橋蓮司、西田尚美らが要所を締めます。実力派の脇役が揃っているため、ギャグもばっちりで思わず笑えるシーンも満載。これなら原作を知らずとも、肩に力を入れずに楽しめることでしょう。
もう一つ本作を評価したいところは、酪農高校の日常のリアルティにこだわっているところ。いかにも農業とは無縁そうな若手俳優が、堂に入った手つきで牛の肛門に手を突っ込んだり、乗馬も障害までこなすところは、何気なく撮っているけど、慣れるまで大変だっただろうと思います。特に広瀬は、クライマックスのばん馬レースも迫真の演技で実演して見せました。ばん馬はサラブレッドの2倍近い大型馬なので、演じている広瀬も怖かったでしょう。
要所に挿入される酪農高校周辺の風景も雄大で、彼らの奮闘ぶりに華を添えていました。でもちゃんと青々と茂る草木に家畜の排せつ物が写っているんですねぇ(^^ゞ
最後に、酪農高校っていいなあと思ったのは、ベーコンの調理など自分で大量につくって、クラスメートと一緒に校庭でがっつくこと。あんな感じで大勢で食べるとおいしさも格別ですね。八軒が作ったベーコンは、可愛がっていた「豚丼」というブタのなりの果てで、そう簡単に割り切れるものかと思ったのです。可愛かったブタでしたからね。でも、作っているときは、ベーコンの香りがスクリーンから伝わってきて、お腹がぐぅとなりました。人間って、残酷な生き物ですね(^^ゞ
全93件中、61~80件目を表示