舞妓はレディ インタビュー: シンデレラガール・上白石萌音&長谷川博己“センセ”が周防組にもたらした新風

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舞妓はレディ

劇場公開日 2014年9月13日
2014年9月12日更新
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シンデレラガール・上白石萌音&長谷川博己“センセ”が周防組にもたらした新風

満面の笑みを浮かべた上白石萌音が「今日はよろしゅうおたのもうします」と頭を下げ、大事そうに手渡してきた“小春”名義の花名刺は、16歳の本人そのままにキラキラと輝いていた。昨年5月、周防正行監督最新作の製作決定に際し、配給の東宝で行われたインタビューで記者陣の前に現れたのが、上白石だ。約800人が参加したオーディションを勝ち抜いた上白石はたくましく成長し、今作で“センセ”役を務めた人気俳優・長谷川博己は優しい眼差(まなざ)しで年下の座長を見守る。公開を目前に控える2人はいま、何を思うのか話を聞いた。(取材・文・写真/編集部)

主演の西郷春子に大抜てきされた上白石は、2011年に行われた第7回「東宝シンデレラ」オーディションで審査員特別賞を受賞。現場で取材していた筆者の脳裏には、自分の受賞以上に、史上最年少となる10歳でグランプリに輝いた妹・上白石萌歌の姿に感動し泣きじゃくる姉としての姿が強く印象付けられた。あれから約3年、上白石の純粋な心根は磨きこまれ、周囲を和ませるほどに輝きを増している。

座長として撮影を終えた上白石は、仏パリでのプレミア上映に参加するなど、積極果敢にプロモーション活動に邁進してきた。主演決定が発表されてから約1年4カ月になるが、「実感が全然なかったこともあって、ここまであっという間でしたから、公開もすぐなんでしょうね」とニッコリ。それでも、撮影時を振り返ると反省ばかりが脳裏をよぎるようで、「お芝居に対する考え方そのものが、変わった気がするんです」と話し始めた。

「何回か泣くお芝居をしなくちゃいけなかったんですが、やり直しとなった段階で全く集中できなくなっちゃったんです。そうしたら急に周囲が見え出して、『みんな私が泣くのを待っている』と思ったら焦ってしまって、さらに泣けなくなっちゃいました。そんな自分が悔しくて泣きました。演じる側としては、何度やっても同じように見せなくちゃいけないわけですが、何回見ても新鮮に見えるお芝居ってこんなに難しいんだと痛感しました。先輩の皆さん方は、当然ながら何度同じセリフを言っても新鮮に見える。そういう環境にいられることがすごく贅沢なことですし、たくさん学ぼうと思いました」

この言葉を隣席で聞いていた長谷川は、「パーフェクトですね」と舌を巻く。初参加となった周防組で与えられた役割は、方言の抜けない春子に“京言葉”を教え込む言語学者・京野法嗣役。最も難儀したのは「やっぱり言葉」だといい、「言語学者ですからどこの地方の言葉でもしゃべることができるという人間なわけです。つまり、方言がある以上、自由に演技をしたいときに、どうしてもアドリブができないというところはありますよね。崩したくても崩せない部分があるなかで、どう楽しんで演じるかというのが僕の今回の課題でしたね」と説明する。

京都弁、鹿児島弁、津軽弁と、方言指導のスタッフもそろっていたそうで「京都弁で面白いのは、ひとりの方が正しいと言っても、別の方はそうじゃないと言って、皆さんそれぞれ違うんですよね。これは困ったなあと思いました」と振り返る。というのも、ドラマの撮影などがあり準備期間があまりなかったため、周防監督とはクランクイン前にコミュニケーションを深めたという。

内容については、「イントネーションについて練習しなければならないので、現場でセリフが変わることについては『厳しいな』と思っていました。ですから、『ここはこういう可能性はありますか?』とお聞きして、どんなシチュエーションになってもいいようにしましたね」と明かす。周防監督とのコミュニケーションから生まれたセリフもあったといい、「自信を持ってしゃべるということが一番大事だというお話をしたんですが、そうしたらそのシーンを新たに書いてくださって。彼女(上白石)が落ち込んでいるときに『とにかく自信をもってしゃべれば、それが自分の京言葉になるんだ』というシーンが生まれました。とにかく気持ちや心を大事に方言を話しました」と語った。

映画は、周防監督が20年前から着目していたという舞妓の世界をミュージカルを交えながら描くエンタテインメント作。舞妓がひとりしかいなくなってしまった京都の小さな花街を舞台に、舞妓になるという夢をかなえるため、老舗茶屋の門をたたいた少女・春子の成長がつづられている。いずれにせよ、映画初主演となった16歳の上白石にとって知らず知らずのうちにプレッシャーの波が押し寄せてきたであろうことは、誰の目にも明らかだ。さらに、進学を考えているほど学業にも心血を注いでおり、その努力は並大抵のものではない。

そう問いかけると、上白石はある幻のシーンについて語りだした。「クランクインして2日目に撮影したシーンで、それ自体はなくなっちゃったんですが、撮り終わった後に監督が『今のシーンは、あなたの表情で成り立っている部分がある』とおっしゃってくださったんです。『これから務まるのかな?』と不安に思っていたときに、そういう言葉をかけていただいて嬉しかったし、今後も認めていただけるように頑張ろうって心が軽くなって、不安が一気に変わった瞬間でした」。

舞台経験が豊富で、近年は映画界からも引っ張りだこの存在である長谷川は、上白石の現場での立ち居振る舞いを「肝が据わっているなあと思いましたよ。あれだけの共演陣がいるなかで主役を張るっていうのは、すごいことです。伸び伸びと自由に演技をしているということは尊敬すべきことだし、こういう経験をしていくことが、役者として上手ということよりも大事なこと。すごくいい経験をされているし、それを10代から経験できるのは素晴らしいこと」称える。「なんか説教くさくなってきちゃったな」と照れ笑いを浮かべる“センセ”に、上白石は「心に染み入ります」とほほ笑む。

現場でも長谷川の気遣いに助けられたそうで、「カメラが回っていないときに映画のことを教えてくださったり、お芝居のお話をしてくださいました。それに、私が緊張していると楽しいお話でほぐしてくださったことも。“センセ”が春子にしてくださったように、長谷川さんが安心できる場を作ってくださった気がします。あまりカメラの前でも緊張せずに演じることができたのは、そういう環境のおかげだったんだと感じています」と感謝の念をにじませる。

今作には草刈民代渡辺えり小日向文世竹中直人田口浩正ら、周防組の常連が名を連ねているが、「Shall we ダンス?」以来約18年ぶりとなるエンタメ作品で上白石、長谷川が果たした功績は大きい。映画化に際して徹底的に取材をする周防監督作ならではのリアリティと、そこはかとなくちりばめられた上品なエッセンスは健在だが、2人の運んだ“新風”がスクリーン全体を明るく彩り、エンタメ色を際立たせている。

周防組を存分に堪能した2人だが、謙虚な気持ちで今後を見据えている。「どんな役をやってみたいとか思うことはたくさんありますが、自分で決められるものじゃないですよね。与えられるものだと思うんです。自分で方向を決めるのではなく、与えられたチャンスを逃さず、どんな役でもがむしゃらにやっていきたい。私は自分で何かを決めず、何でもやってみたいと思います」(上白石)、「萌音ちゃんが言うように、役者って待ちの仕事。待たなければいけないんですが、ただ待っているだけではダメですよね。ひとつひとつの作品でアピールしていくことが大事で、それを製作の方々がどう感じてくださるか。『長谷川はこういう一面もあるのか』と思わせていくのも僕の仕事。とにかく作品を、仕事ぶりを見ていただいて、分かってもらいたいですね」(長谷川)。

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