劇場公開日 2015年7月4日

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アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン : 映画評論・批評

2015年6月30日更新

2015年7月4日よりTOHOシネマズ日劇ほかにてロードショー

固い信頼関係で結ばれた仲間たちの対立、葛藤の中から生まれるドラマ

アベンジャーズ」において、マーベルはそれぞれ別の映画で主役を張っていたヒーローたちを共演させる無謀な賭けに出た。生まれも育ちも異なる一匹狼たちを寄せ集めたところで、チームとして機能するわけがない。ジョス・ウェドン監督はこの事実に向き合ったうえで、身勝手なヒーローたちが時間をかけて信頼しあうようになるというストーリーを作り上げた。だからこそ、人類最大の危機を前に、彼らがお互いの能力を最大限発揮するばかりか、自己犠牲まで払うクライマックスが感動的だったのだ。

さて、続編ではいきなりエンジン全開だ。東ヨーロッパの雪山を舞台に、チームワークに磨きをかけたアベンジャーズが華麗な戦いを繰り広げる。彼らは固い信頼関係で結ばれており、いまや飲み会を繰り広げるほどの仲良しだ。

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実は、この状況は作り手にとっては不都合だったりする。新たな強敵や、新メンバーを登場させれば、ストーリーはいくらでも作り出すことができる(実際、いずれも採用されている)。でも、メンバー間の葛藤がなければ面白いドラマを描くことができない。そこで、ウェドン監督は彼らを仲違いさせる決断を下す。トニー・スタークが生み出した人工知能を敵に選んだのもそのためだ。この不仲路線は来年公開の「キャプテン・アメリカ/シビル・ウォー」にも引き継がれ、ここではアベンジャーズが二手に分かれて対立することになる。

おかげで今作にもドラマが生まれたし、前作を上まわる派手なアクションがたっぷり詰め込まれている。だが、感動はあいにく匹敵しない。いったんまとまった最強チームにほころびが生まれる展開だから、これは致し方ない。今後、彼らが意見の違いや対立を乗り越えて、より深い友情と信頼で結ばれるとき、とてつもなく大きな感激が押し寄せてくるに違いない。

小西未来

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