祇園の姉妹(1936)

劇場公開日:

解説

日本映画界が誇る名匠・溝口健二が、京都・祇園の色街で働く姉妹を主人公に描いた人間ドラマ。義理人情に厚く男に従順な芸者・梅吉の元に、かつてのひいき客・古沢が破産して転がり込んでくる。しかし、打算的で気の強い妹・おもちゃは無一文の古沢のことが気に入らず、古沢を追い出してしまう。その後も何人もの男たちを手玉に取って金を搾り取ろうとするおもちゃだったが……。妹・おもちゃ役に山田五十鈴。

1936年製作/日本
劇場公開日:1936年10月15日

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映画レビュー

5.0「浪華悲歌」と並ぶ溝口映画の双璧‼️

2023年10月7日
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日本映画が世界に誇る名匠・溝口健二監督の「浪華悲歌」と並ぶ最高作‼️「浪華悲歌」同様、溝口監督のヒロインへの容赦ない演出が光っています‼️梅吉とおもちゃは祇園に出ている芸者姉妹。梅吉は二号さん、古いしきたりを守る義理と人情に生きる女で、ダンナさんが落ちぶれてもなお尽くす古いタイプ‼️おもちゃは女学校出のドライな現代娘で、当時としては割りきった新しいタイプの女性‼️対照的な二人が、どちらも男にもてあそばれて惨めに捨てられていくという厳しい女性の現実を、冷徹に見据えた傑作です‼️「浪華悲歌」で完璧な関西弁、今作で完璧な京都弁を披露したベルちゃん‼️素晴らしい‼️「浪華悲歌」と対局を成すラストのおもちゃの絶叫‼️「商売上手にやったら腐ったやっちゃ、と言われるし、あてらはどうしたらええのや。なんで芸者みたいな商売があるんや。こんなもん、なかったらええ」‼️

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活動写真愛好家

4.5私の中での、溝口映画ナンバーワン作品に…

2023年8月3日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

溝口映画について、これまで
「雨月物語」「山椒大夫」「近松物語」
しか観ていなかったが、
このサイトでの皆さんのレビューから、
これら以前の作品の高評価を知り、
昨今、「西鶴一代女」を経て、
戦前の「残菊物語」、
そしてこの作品鑑賞に至った。

そんな中、1956年版を
溝口監督作品と間違えて先に観てしまい、
姉の娘が登場しない違いがあるものの、
基本的な展開は知ったままの鑑賞に。

テーマには不釣り合いに感じさせられる
冒頭の軽快な音楽には驚かされたが、
なるほど、これが皆さんが絶賛され、
キネマ旬報でもベストワンに選ばれた作品
かと納得の鑑賞となった。
そして、更に、私が鑑賞出来た溝口映画6作品
の中でもナンバー1の位置付けとなった。

また、どうしても先に観てしまった
1956年版と比べてしまうが、
比較するのもはばかれる程の
長回し等の撮影技術のレベルの差は元より、
登場人物のひとり一人の性格描写が
しっかりしていることによるテーマ性への
優劣は比較するまでもなかった。

姉は保守的で古風な性格、
初めて見る10代姿に驚かされる山田五十鈴
の妹は男を手玉にたくましく生きる、
ある意味、進歩的でジェンダー平等意識を
先取りしたような人間像だが、
共に芸妓の世界の束縛からは脱却出来ずに、
好まざるを得ない結末を迎える。
そのクリヤーな首尾一貫した演出が
見事に感じた。

今回、観ることが出来たのは69分の短縮版、
果たして95分のオリジナル版が
どんな作品だったのか、
確認の出来ない現在、
映画ファンとしては痛恨の極みに感じる
今回の鑑賞でもあった。

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KENZO一級建築士事務所

4.0祇園という「廓」(場所)で両極端な活き方を選ぶ姉妹の姿を通して溝口監督が描きたかったもの。

2022年8月17日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

①鑑賞後にWikipediaで調べたら祇園でも格下の祇園乙部を舞台にしているという。戦前の祇園に格上・格下が有ることも知らなかったが、道理で「祇園」という言葉から想起される華やかさが無いなぁ、と感じながら観ていたのが府に落ちた。②同じく、祇園・花街・芸妓という安易な連想からもっとしっとりとした話をイメージしていたら、いやに軽快な音楽で始まり、騒々しさから家を壊しているのかと思いきやカメラが右に動いていくと破産した商家の蔵に有ったと思う木箱からお宝を出して競っているのが分かってくる冒頭のカメラワーク。それから、潰れた商家の主人が細君の泣き言に嫌気が差して、昔贔屓にしていた芸妓なところに転がりこむまでの見事な導入部。③

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もーさん

3.5最初のカメラワークと最後の山本五十鈴の男どもに対する怒りが印象的

2021年4月18日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

オリジナルの間尺は90分超も、現在残っていないとのことで、ショッキング。残存する69分んものを鑑賞。最初のカメラが平行移動していき、お店の全貌と、破産してから値打ち品を競売していることを示す長回しは、やはり印象的。

芸妓姉妹の妹山田五十鈴が地味なほぼ素顔で登場し、終わりの方では日本髪のカツラ及び化粧でプロとしての顔に変身する様は魅せる。姉とは対照的に、男達を手玉に取って上手くやって行くんだとの上昇志向のキャラクター設定は、今見ても魅力的。結局、騙した男に復讐されてしまい、社会、そして男どもへの恨みつらみを吠え、それが自分たち庶民の不公平で理不尽な日本社会への怒りを表している様で、共感から胸を打つ。

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Kazu Ann
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