クラウド アトラス インタビュー: 構想4年、撮影60日——ラナ&アンディ・ウォシャウスキー、トム・ティクバの野心作

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クラウド アトラス

劇場公開日 2013年3月15日
2013年3月14日更新
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構想4年、撮影60日——ラナ&アンディ・ウォシャウスキー、トム・ティクバの野心作

マトリックス」から再び、観客をいまだかつて見たことのない世界へと導いたラナ&アンディ・ウォシャウスキー姉弟。自らを3人目のウォシャウスキーと語る、「ラン・ローラ・ラン」のトム・ティクバという最高に相性のいいワーキングパートナーを得て実現した野心作「クラウド アトラス」は、人種も性別も時間も場所も、全ての境界を飛び越えた美しいラブストーリーだ。(取材・文・写真/本間綾香)

ラナ&アンディ・ウォシャウスキー、トム・ティクバの3人がメガホンをとり、デビッド・ミッシェルの同名ベストセラー小説を映画化した本作。悪人として始まったある男の人生が、過去・現在・未来といくつもの時間や空間を旅しながら生まれ変わり、浄化していく姿を、SF、アクション、ミステリー、ファンタジーといったさまざまなジャンルを内包して描いている。

ラナ「『Vフォー・ヴェンデッタ』(2006)の撮影現場で、ナタリー・ポートマンがこの原作を読んでいたの。私は誰かが本を読んでいるといつもそれを奪い取るんだけど(笑)、彼女に絶対気に入るはずと勧められたのが、この本との最初の出会いよ」

6つの時代と場所で6つの人生を生きる主人公の男を軸として、波乱に満ちた航海や名曲の誕生秘話、原子力発電所の陰謀、編集者殺しの人気作家、クローン少女の革命家など、なんのつながりもないように見える各エピソードが、完璧なタイミングで絡み合いながら1つの壮大な物語を紡いでいく。

アンディ「脚本を書いているときは、もちろん混乱したよ。とにかく多くのパートに分かれているからね。原作のストーリーを細かいピースに分けて、リビングルームいっぱいに広げて、どういう構成にするか並べていったんだ。巨大なジグソーパズルみたいだったよ。脚本完成までにはかなりの時間を要したし、11稿くらい書き直した。細かい修正を入れたらそれ以上になるね」

トム「原作を読んだときに頭のなかに積み重なっていく記憶や心に受ける衝撃、そういったものを映像化していくことに重点を置いたんだ。この物語の世界観をいかに保つか、パートの取捨選択には神経を使ったよ」

映画のなかに登場するキャラクターたちは、違う時代で何度も姿を変えて出会い、別れ、過ちを繰り返しながら、それでも絆を結び直そうとする。

ラナ「輪廻転生にはいろいろな解釈があるけど、原作がもっている思想、そして自分たちの描くキャラクターが信じることを、私たちも信じようと思ったの。1人の精神が、他の人の精神へと生まれ変わったり、自分の行動が遠い未来に生まれた自分に影響を及ぼす、その繰り返しで世界は成り立っていると考えたのよ」

2度のアカデミー賞に輝く名優トム・ハンクスが主人公を演じたほか、ハル・ベリースーザン・サランドンジム・ブロードベントヒュー・グラントベン・ウィショージム・スタージェスペ・ドゥナといった豪華キャストが競演。それぞれが、同じ魂を持つ複数の人物を1人で演じるという、大胆な試みに挑戦した。

アンディ「僕らがまずキャストに求めたのは、“いい人”であることなんだ(笑)」
 トム「一緒にいて楽しいこと、それがいちばん大事だよ。僕らは彼らに演技の天才であることを求めてはいなかった。それよりも気持ちよく撮影できることの方が大切だから」
 アンディ「キャスティングディレクターのローナ・ケネディに、まずどんなドリームチームを結成したいのか考えろと言われたんだ。それで、“トム・ハンクスが欲しいよな”とか話していたら、結果的に彼をはじめハルやヒューゴ(・ウィービング)、ベン、スーザンといった素晴らしい役者たちが集まった。しかもみんなすごくいい人なんだよ。僕たちは超ラッキーだ」
 ラナ「どの俳優もみんなこのプロジェクトに興味をもってくれた。そして、他の映画ではやったこともないようなことに勇気を持ってチャレンジしてくれた。ギャラはとても安かったのに」

ハル・ベリーが、この映画の特殊メイクを経験したら、どんな映画のメイクも楽なものだと語っているように、キャスト陣は時代もジャンルもまるで違う各エピソードで、毎回全くの別人に扮した。性別まで変わる役者たちの七変化は楽しく、スクリーンのなかの彼らも嬉々として演じているように見える。なかでも、悪役のヒュー・グラントは近年でいちばんやる気を見せているのではと思えるほどの力の入りようだ。

トム「ヒューのキャスティングはローナのアイデアだったんだ。僕らは彼が出演してくれるなんて思わなかったよ。なにしろ彼は“キング・オブ・ロマンティックコメディ”だからね。依頼しても冗談だと思われるのではと心配したし、実際ヒューは“俺のことをすごくいい俳優と勘違いしているか、もしくは大嫌いなんだろ?”と聞いてきた(笑)。それで“いや、君のことが大好きだよ”と言ったら、じゃあOKと」
 ラナ「みんな彼にいつも同じような役ばかりオファーしているからね」
 トム「これまでとは全然違う役柄も演じられるということを証明したと思うよ。ヒューはダークなユーモアがあるし、いつものロマコメで見せているような単純なイメージではなく、実際はもっと複雑な人なんだ。ヒューが馬に乗って人を食べるシーンなんて、“これがあのヒュー・グラント?”と思うほど怖かった。彼の情熱と俳優としての力量には感服したし、素晴らしい演技だった。どの俳優も持てる力をすべて注ぎ込んでくれて、本当に感謝しているよ」

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