劇場公開日 2012年8月11日

「二人の父親、それぞれの思いと責任」やがて哀しき復讐者 arakazuさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5二人の父親、それぞれの思いと責任

2013年11月13日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

泣ける

悲しい

あこぎな地上げも厭わない不動産会社社長ウォンの娘が誘拐される。犯人から身代金要求の連絡があるが、ウォンはドラッグに溺れ父親に金をせびるような娘デイジーの自作自演を疑い警察に通報することはせずに、運転手兼ボディガードであるイウにデイジーの居所を探させる。しかし、身代金受け渡し後、デイジーは無残な姿で発見される。ウォンは犯人に対し、復讐を誓うが…。

いかにも2時間ドラマ的な展開ではあるが、この作品の優れた点は、ウォンの視点でのみドラマが展開されるのではなく、同時に彼の腹心であるイウの視点でストーリーが描かれていることにあると思う。イウの視点が導入されていることで、ドラマに厚みがもたらされている。そして、ウォンとイウがボスと腹心というだけでなく、彼等の間の子どもと上手く関係が築けない父親という共通点が絆を強くしている。

ウォンを演じるアンソニー・ウォンの眉間のシワは相変わらず多くを語り、ウォンの忠実な腹心イウを演じたリッチー・レンの佇まいには、昭和の任侠映画の香りがあった。

arakazu