「コダーイとの出会い。」未知との遭遇 ファイナル・カット版 よしたださんの映画レビュー(感想・評価)

1.0コダーイとの出会い。

2015年3月28日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

難しい

 SFの古典的作品をファイナルカットヴァージョンで鑑賞。
 これだけの有名作品にかかわらず、何の予備知識もなく見始めた。
 いきなりメインキャストにフランソワ・トリュフォーの文字が。え?スピルバーグの作品ではなかった?混乱していると、スクリーンにフランス語を話す科学者として、トリュフォーその人が登場。
 なんだか意味が分からないまま映画は進み、小さな子供が消え去り、電気技師が車でUFOと遭遇するくだりの画は、子供のころから見てきたスピルバーグ映画のそれに違いない。
 トリュフォー扮するフランス人科学者が宇宙人との交信の糸口にするのが、ハンガリーの作曲家コダーイの手話による音階。これはたまたまこの音階方式が宇宙人と共通だったというのか、それとも宇宙人とコダーイは何らかの接触を持っていたということなのか。その辺のことがよく分からないまま、そして、全体として状況がどうなっているのかあまりよく呑み込めないまま、主人公の電気技師が宇宙船のなかへと消えていく。
 宇宙人のほうも、地球人のほうも、お互いに敵意なくコミュニケーションをとろうとするところが70年代という時代。未知の他者との友好関係という夢が描けた。現実世界では冷戦の真っ最中で、いつ核戦争が起きても不思議ではなかったのにである。
 現在の映画に出てくる宇宙人は地球を侵略する。それに対する地球人も攻撃的だ。地球の人々(あえてアメリカの人々とは言わないが)もずいぶんと好戦的な存在となったものだ。
 なんにせよ、映画の中でコダーイという音楽家との出会いは、「ポンヌフの恋人」の冒頭で流れる無伴奏チェロ以来。

佐分 利信