AIKI

劇場公開日:

解説

デンマークの実在の車椅子武術家、オーレ・キングストン・イェンセンをモデルに、下半身麻痺となった青年が合気柔術を通して再び生きる力を取り戻していく姿を描いた人間ドラマ。監督は「無敵のハンディキャップ」の天願大介で、脚色も担当。撮影に『アジアンビート5 台湾篇シャドー・オブ・ノクターン』の李以須があたっている。主演は「回路」の加藤晴彦。第59回ヴェネチア国際映画祭出品、第27回報知映画賞助演男優賞(石橋凌)受賞、日活創立90周年記念、平成14年度文化庁映画芸術振興事業、文部科学省選定(青年向、成人向)、厚生労働省推薦、東京都知事推奨作品。

2002年製作/120分/日本
配給:日活
劇場公開日:2002年11月30日

ストーリー

ボクシングに青春を懸けていた太一は、新人王決定戦を目前にバイク事故で下半身麻痺となり、車椅子生活を余儀なくされてしまう。それから一年。すっかり自暴自棄になっていた彼は、しかし大東流合気柔術=AIKIと出会ったことで、再び生きる希望を取り戻す。師範の平石やギャンブラーのサマ子らに励まされ、AIKIの基本を会得していく太一。そして、大使館で行われる演武会にAIKIの代表として参加することになった彼は、見事な演技を披露して喝采を浴び、黒帯を与えられるまでになるのであった。それから数日後、今や自らの運命を受け入れ、人としても成長した太一は、愛犬・フェイクと共に、突然彼の前から姿を消した愛する女性・サマ子を捜す旅に出る……。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む

映画レビュー

3.5できねえことはできねえ!

2022年10月21日
iPhoneアプリから投稿

「迫り来る相手を受け入れ、自分の身体の一部とする」という合気道の極意は、太一のハンディキャップへの向き合い方とも通じている。誰かのせいにしようが過去を嘆こうが、下半身を貫くこの無感覚だけが現実であり、それは決して変えることができない。しかしそこを敢えて諦め切って自己自身と向き合うことで、何か新しい道筋が見えてくるかもしれない。

彼がその結果見出した合気道という武術はかなり変わっている。自分からは一切動かず、相手から加えられた暴力をそのまま相手の身体に受け流す。言うなれば徹底的な受動だ。

思えばこの映画には「能動性の失効」がキータームとなるシーンがいくつもあった。そもそも太一は下半身付随という形で「ボクシング」という能動性を序盤から完全に失っているわけだし。

中でも勃起できない太一とサマ子が性行為に及ぶシーンは印象的だ。太一は「こういうのは自分から行かなきゃダメだよ」とサマ子に諭されいざモーションをかけてみたものの勃起できない。ここぞという場で能動性を削がれた太一は落ち込むが、サマ子は大丈夫だよと優しく包み込む。そして二人は勃起の介在しない性行為を心ゆくまで楽しむ。

「障害者だってやろうと思えばなんでもできるんだ!」みたいな「能動性の回復」をゴールに据えた障害者映画は多いが、本作はそういった出来合いのエンパワ映画とはむしろ真逆といえる。障害者なんだからできねえことはできねえ、と割り切ったうえで、だからこそできなさそれ自体にポジティブな価値を見出していくしかねえんじゃねえのか?というのが本作のメッセージだと思う。

サマ子の失踪に関して、その顛末がオープンエンドでぼかされていたのもかなりよかった。もしここで太一が悪の組織を自分一人だけの力でバタバタ薙ぎ倒していく、みたいな描写があったら本作は障害者という奇特さで味付けしただけの俗悪なカルト映画に落ちぶれてしまっていたと思う。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
因果

3.0劇場公開時鑑賞。

2022年7月9日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

イカサマのサマ子…だったかな。ともさかりえの飄々としたキャラクターが良かった。
エンドロールで次々と転がす様子を見て、ちょっとだけだけ合気道を習ってみたくなる。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
なお

4.5もっと注目されてほしい映画シリーズ〜

2018年2月26日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、映画館

楽しい

どんどんぱふぱふo(^o^)o
公開時、渋谷なのに映画館はガラガラだった。
平日だったけど

石橋凌はこの映画からだいぶ役柄の方向性が変わったと思う。それまではやーさんな役ばかりだったけど
「キッズ・リターン」とか
とにかく大東流合気柔術師範役としてのたたずまいがよくて、本当に達人に見える。

映画のストーリーとしては地味かもしれない。ショッキングな出来事がいくつも起きるにもかかわらずだ。
武道を題材にしてるわりに大きい見せ場がない、というかんじだからかもしれないが
最後にスカッとする場面が用意されてはいます

ネタバレでもないだろうから言っちゃうと、主人公は事故で車椅子生活になってしまうんだけど、そのことを変に憐れんだり、特別な人間としてあまり描いてないのがいいんだよね。

それもあってか、終わったあともさわやかな感動が残り、お涙頂戴になってない。
しかし主人公の加藤晴彦最近みないなあ。なんかあったんだっけ?

コメントする (0件)
共感した! 0件)
守銭奴見習い
関連DVD・ブルーレイ情報をもっと見る