ありがとう(1996)

劇場公開日:

解説

5年ぶりに単身赴任から戻ってきた父親が、崩壊してしまった家族の再生のために奮闘する姿を、ドライな高校生の次女の目を通してシニカルに描く異色ホームドラマ。『ビッグコミック・スピリッツ』に連載された山本直樹の同名コミックを、「眠らない街・新宿鮫」の荒井晴彦が脚色した。監督はこれが劇場映画初監督となる、テレビ・ドラマ『金(キム)の戦争』などの小田切正明。主演の父親役には「新・極道記者 逃げ馬伝説」の奥田瑛二、次女役には「ひめゆりの塔(1995)」の早勢美里がふんしている。“フジテレビ□MOVIES”の1本として製作された。R指定。

1996年製作/日本
配給:東北新社
劇場公開日:1996年7月20日

ストーリー

ある日、学校から帰って来た貴子は、家の中がただならぬ雰囲気であることに気づいた。部屋を覗くと、薬を飲まされた姉の昌子が町の不良たちに輪姦されている。そんなところへ、父の一郎が単身赴任を終えて5年ぶりに家に戻ってきた。昌子の姿に一郎の怒りは爆発し、居間はたちまち不良たちとの乱闘場となる。不良たちは一時は仲間ひとりを置きざりにして逃げたが、再びさまざまな嫌がらせを仕掛けてきた。一郎と貴子は反発を覚えながらも協力して家を守ろうとする。そこへ、同窓会に出掛けていた母・さくらが何も知らずに帰ってきた。さくらを人質に取った不良たちは、取り残された仲間との交換を要求する。不良たちは再び家になだれ込み、貴子がやっとの思いで逃げながら警察に通報して、鈴木家はようやく悪夢から解放されたかにみえたが、本当の悪夢はそれから始まった。薬が覚めて状況を把握した昌子は自殺未遂を起こし、一郎はリストラのあおりを受けて会社をクビになる。さくらはキッチン・ドランカーになった上、不倫に走り始めた。状況のあまりの変化に戸惑う貴子は、さくらの代わりに主婦の仕事をこなし、貴子の学校の送り迎えまでする一郎を受け入れられず、家を飛び出した。貴子は不良グループのリーダー・カクマに相談すると、彼の家に居ついてしまう。それを知った一郎は、子供を溺愛するカクマの母親とマザコンのカクマを近親相姦させ、貴子を連れ戻した。やっと平穏な日々が戻ったと思われた矢先、一郎にベトナムへの単身赴任の辞令が出る。とぼとぼと家を出た一郎を、貴子は明るく見送った。

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